橘木俊詔・森剛志「日本のお金持ち研究」日本経済新聞社

著者が日本のお金持ちにアンケートを実施し、その結果をまとめて分析を加えたもの。日本の仕組みについて多くの示唆に富み、社会学の材料として面白い
自ら獲得した生のデータというところに価値がある。オーナー経営者と雇われ経営者、勤務医と開業医、弁護士など、一見それらしいお金持ちの実情を解説してくれる。アンケート結果をもとに、典型的なタイプを設定して提示。そこに対する解説を加えていく。データを細かく提示しているところは、少し退屈なところも
嫉妬と自惚れの心は誰にでもあるともいわれる。取り上げた内容に複雑な気持ちになる読者もいるかもしれない。逆に溜飲が下がるということもあろう。そういうエゴ丸出しでも面白く読める。ただ、読了したとき、そのような感情は消え去ってしまうと言っておく
書店において平積みになっていたことと、帯に惹き付けられたのと、出版社への信頼を元に購入して正解。早い人ならば3時間程度で読み終わる本。ただし、お金に興味がない人は買ってはいけない
p4.調査対象は年間納税額3,000万円以上の人々全員。ただし、その所得が継続的なものでなければ本当のお金持ちとはいえないと考えた
p6.金持ちは、アンケートに答えられないほど忙しくなく、それほど用心深くなく、聞けば自分のことをどんどん答えてくれる
p6.30年間同じことをただ勤勉にし続けてきただけというお金持ちが多い。資産を相続等で受領していない人にとって重要なのは、どのような仕事を選択したかにかかっている。才能に恵まれたという億万長者に出会わず、大事なのは自分の信念であると答えた人が多数
p13.私の余暇の過ごし方は、仕事です。仕事といっても、すでに第一線は息子に譲っているので、私の会社が経営する支店が数十店舗あって、みんな元気にしているか見に回って、そのついでに掃除をしていくのです。会社のまわりをきれいにするのが好きなのです。車は以前はベンツに乗っていました。事故にあったときでも、ベンツだと丈夫なので、死ぬことはないと思ったからです。体が一番大切ですからね。でも今はトヨタのセルシオに乗っています。ベンツもいいのですが、ときどき故障するので、今の車に変えました
p20.いかに東京都に高所得者が集中しているかがわかる
p40.医業というような、官に規制、保護、依存するような『なりわい』にとっては、お上の胸先三寸によって、大きく揺らぐような側面があります。診療技術、最新の知識、手術手技の絶え間ない工場の努力、これらは必要最低限の要因でしかない
p46.1億円以上の収入がある人は弁護士全体の4%未満。全体の6割の弁護士が申告所得1,500万円以下に集中、特に500万円未満の所得しかない人が20%に達している
p56.年収だけに関していえば、弁護士になるためにした苦労が報われている職業であるとは到底いえそうにない。日本で弁護士の置かれた経済的地位がそれほど高くない背景には、法律に対する需要がそれほどない点と、もうひとつは何よりも多彩な人材が法曹界にはほとんどいない点があるといえる
p70.財閥を中心にした所得の大半は、株式保有による配当金
p98.高所得者は「一流大学に行く」ことや「器用である」ことは、あまり重要と考えていないようである。高所得者の座右の銘は「運根鈍」「誠実」など。「誰にでもできることであっても、誰にもできないほど続ければ、それは大きな力になる」
P102.なんの愚痴もこぼさず、そこでまた一から商売を始めた父。「次世代に残したいもの、それは生き方です。私が父の背をみて、今までそうしてきたように」
p116.橋本(2000)は、世界の先進国はどの国でも90%前後の人が自分を中流とみなしているので、日本だけが例外的な中間階級社会ではないとした
p138.お金持ちは消費や余暇からと同様に、富を蓄積することからも満足感を得る。資産が多くなればなるほど、さらに多くの資産形成のために努力するという行動をとる
p164.高額納税者が経済的成功を収めるのに重要であると回答した要因。①肉体的・精神的な健康、②自分の職業を愛している、③正直な人柄。ワースト3は①一流大学に行く、②器用さ・要領のよさ、③知能指数が高い・優秀な頭脳を持つ
20050630062500

日本のお金持ち研究

posted with 簡単リンクくん at 2005. 6.30
橘木 俊詔 / 森 剛志
日本経済新聞社 (2005.3)
通常24時間以内に発送します。

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