司馬遼太郎「功名が辻(3)」文春文庫

公開日: : 最終更新日:2013/03/20 書評(書籍), 司馬遼太郎



20050711165100





(3)でも最初のほうは秀吉の話ばかり。仮想園遊会や醍醐の花見。登場人物は秀吉や家康などとポピュラーなので若干退屈。しかし、この辺の時代の描写にこれまであまり接していなかったせいか、それなりに楽しめた

秀吉が死に、関ヶ原が近づくに連れ、千代と一豊の活躍に話が戻っていく。上杉征伐のため関東にある一豊と大阪に留まる千代との連絡

本書では、戦国武将のパーソナルブランドに焦点が当てられている。信長は「革新、必勝、冷酷」秀吉は「人間味、奇想天外、大盤振る舞い」。家康は「温厚篤実、律儀、重厚、陰気」。一豊は「素朴、律儀、忠義、楽天、恐妻」。これら自体は有名であるが、本書では特に強調されているような気がする。これらが周囲の者にアピールして結果に繋がっていくというのが一つのテーマになっているようだ

(1)についてはリンク先を参照

(2)についてはリンク先を参照



p56.どの案をみても秀吉は、「いかん、世に在ったことじゃ」といった。すでに先例のあったような催しはやりたくない。「奇抜な!」といって人が手を打っておどりあがるような趣向をかれは望んでいる

p122.「企画力」があるのだ。千代はこの醍醐の花見をみて、つくづく、(この人が天下を取ったはずだ)とおもった。天下取りも構想力なのである

p143.「男とは、猟師型と農夫型とがある、と申します。大むかし、国土がひらけなかったころ、男どもは。猪や兎を追い、できるだけ多くの獲物をとるために身を粉にして山野をかけまわり、智恵をしぼってさまざまのわなを考案し、そのあくない新しいものへの獲得欲のために世がここまですすんできたと申します。農夫型の男もおなじです。大むかし、百姓は一枚でも田を多くつくるために林を伐りひらき、またあたらしい作物を雑草の中からみつけてはそれを苦心して育て、ここまで富んだ国土ができました。男の進取欲のあらわれだと思います。その欲望が、猪や田だけにとどまるはずがございませんでしょう。あたらしい女をみれば、それを得ようとするのが、男を動かし駆りたてている本然な欲望だと思います」

p173.幕末、この家から出たのが、乾退助であった。岩倉具視が忠告したので、乾姓をすて、先祖の板垣姓にもどり、板垣退助と名乗った

p182.「あれが展覧会のはじめだと思いますし、考えてみれば千代は服飾デザイナーのはじめだったようでもあります」

p198.「げんにあの方は、林羅山という学者を高禄で召しかかえておりましてな、ほかの諸侯のまねのできぬところです。あのひとがもし天下をおさめるなら、かならず文教をもっていするでしょう」

p240.家康は、平和を極度に怖れていた。このまま無事平穏がつづけば、豊臣体制がそのままつづくということになる。つまり、家康の位置も死ぬまでかわらぬ、ということになる。乱が、おこらねばならぬ

p264.「封書をしたまま、関東の殿様にお送りします」と千代はいった。この一言がのちに伊右衛門をして大封を得せしめた、と後世ではいう。千代にすればどうせ家康に付く、と方針がきまった以上、中途半端はいけない、徹底して味方すべきだとおもっていた。それには、石田方からきた公文書も見ない

p314.「そのあと、いまの山内対馬守が封のまま文箱を出した一件も申せ。されば律義者で通った対馬守さえ二心なくわが君に加担した、ということで、人はわれも遅れじとあらそって忠勤をはげむ心になるであろう。こういうときの人の心の不安は、存外、そういうことで一決し、まとまるものだ。さらに対馬守夫人のわれは自害せんという覚悟のほどをしたためた文面も披露せよ。されは、大方の者も、妻子を思う心を切りすてるであろう」





google adsense

関連記事

no image

ちきりん「自分のアタマで考えよう」ダイヤモンド社

20121130234411 著者って最近、素性が割れちゃったんだよなあ。その話って、この

記事を読む

no image

梅田望夫「ウェブ進化論」ちくま新書

最近のベストセラー。ちょっと読むのが遅れたけど。「あちら側/こちら側」だの「ロングテール」だの、最近

記事を読む

no image

中島義道「働くことがイヤな人のための本」日経ビジネス人文庫

20121231011301 相変わらず身も蓋もなくずけずけと真理を吐く。どうしようもない

記事を読む

no image

小池和男『日本産業社会の「神話」』日本経済新聞出版社

そのタイトルのとおり、日本の産業社会における「神話」が紹介されている。ここでいう神話は、「根拠もなく

記事を読む

no image

小林和之『「おろかもの」の正義論』ちくま新書

頭の体操として 「死んでお空の星になるのではなく、生まれてくるずっと前にお空の星だった」って、いうの

記事を読む

no image

団藤重光「法学の基礎 第2版」有斐閣

20120211212529 久しぶりにこんな硬い本読んじゃったなあ。基礎というものの、難しくて最

記事を読む

no image

改定・保育士養成講座編纂委員会編「改定・保育士養成講座2006第4巻 精神保健」全国社会福祉協議会

保育士試験受験シリーズ(5/11) この試験には悪問が多い。正答を予定せずに問題を作るという無計画な

記事を読む

no image

小山龍介「TIME HACKS!」東洋経済新報社

この本"原尻淳一・小山龍介「IDEA HACKS!」東洋経済新報社"の第2弾的な存在。前回同様に結構

記事を読む

no image

久保田競「あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法」ダイヤモンド社

眠りについての本は、昔から好んで読んできたジャンル。なんか無駄や誤解が多く潜んでいそうな感じで、それ

記事を読む

no image

久恒啓一「見晴らしを良くすれば仕事は絶対にうまくいく!」実業之友社

著者は昔、日本航空にいらっしゃったそうだ。個々の従業員は素晴らしい人も多いのに、どうしてこの会社は全

記事を読む

google adsense

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

google adsense

MediaPad M3 LTE プレミアムモデル購入して2か月

20170409130135 もう2か月が経ってしまったけど、記

Windows10アップグレード導入

20160307001116 2台のノートPCにつき、無料のWi

Nexus 6Pが届いた

20151105221617 無事に届いた。 海外荷物受付

Nexus 6Pが発送された

20151103103105 「発送しました」って内容のメールが

Nexus 6Pを発注した

20151031100625 それまでもネット経由でいろいろ調べ

→もっと見る

  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
  • あわせて読みたい
  • にほんブログ村 本ブログへ
PAGE TOP ↑