司馬遼太郎「功名が辻(4)」文春文庫

公開日: : 最終更新日:2013/03/20 書評(書籍), 司馬遼太郎



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文庫本ではこれが最終巻。このようなショッキングな終わり方をするとは想定外。「峠」の河井継之助ほどでないものの、相当に後味が悪い。夫婦円満な成功物語として「新史太閤記」のエンディングの先入観を持っていたら、最後で裏切られた

どうしても時節柄、来年のNHK大河ドラマを想定しながら読んでしまう。この結末をどのように描くのか、それとも描かないのか

(4)の守備範囲は、小山軍議~関ヶ原~領国経営~一豊の死

(1)についてはリンク先を参照

(2)についてはリンク先を参照

(3)についてはリンク先を参照



p95.「ほう、城番を山内対馬守がさせられておると?律義者の損じゃな」

p140.関が原に出陣した東軍諸将のなかで、織田、豊臣、徳川の三代を生きのび得た者は、家康その人のほかに、伊右衛門しかいない

p141.(この亭主殿だけが、はればれしくも生きのこっている)それが千代にはおかしかった。可もなく不可もない人間で律儀一方の男だけが人の世の勝利者になるものなのだろうか

p144.千代が走りよると、伊右衛門はしくしく泣きはじめている。「千代も泣け」ごろりとあおむけざまになった。「泣かぬか。敵にまわった石田三成をはじめ関ヶ原の死者と敗者のために泣いてやれ」

p146.「しかしそちらは、武功と申せば槍先の功名のみと思っているのであろう。槍働きなどやろうと思えばたれにでも出来る」

p172.男に、出世とはこわい。分不相応の位置につくと、つい思いあがって人変りのする例が多い

p192.「もっと、ぼんやりあそばして、あの仁はすこしうすのろか、といわれるぐらいのほうが大国の国主に似つかわしうございます」

p221.「そなたは、わしをばかにしすぎている」「そりゃ、太閤様でも北政所様にとってはただの夫でございましたもの。妻の目からみれば、夫はさほどお強いともおえらいとも思えるものではありませぬ」

p227.「50万石ではなかったか」ととぼけることで、ひとりの無邪気な大名を歓喜させてしまっているのである。あの老人にとっては、片言隻句が、徳川家永遠の基盤をつくる土台石の打ちこみになっているのであろう

p238.「まだ山坂がある、ということほど、人の世にめでたきことはございませぬ。気根を揮いたたせねばならぬ相手があってはじめて、人はいきいきと生きられるのですから」

p250.「元親ならできまい。利口者はえてして気がはやいものだ。おれは英雄ではないから、この工事はできる」

p288.(これが、すごろくでいえばアガリだったのか)と千代は、胸中、くりかえしくりかえしそのことをおもった

p308.千代は遺骸を抱いた。ゆり動かそうとした。まるで卑賤の農婦のような、身も世もない慟哭のしかたであった。(わたくしどもの長い一生が終わった)と、千代は哭きながら、思った





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