伊藤浩昭「民意束ねる機能衰え(激震「郵政解散」瀬戸際の改革②)」日経平成17年8月11日朝刊

公開日: : 最終更新日:2011/09/07 書評(新聞)

筆者は日経新聞の政治部記者 多数決と全会一致の違いは何か。昔、NHKの「その時歴史が動いた」で、パリ講和会議における牧野伸顕らの主張した人種差別撤廃の提案に対する”賛成多数での否決”を想起させる。また全会一致による賛成は否決する慣習を持つ社会もあると聞く 今回の事件のまとめはこんなところか; 自民党:都市部vs.農村部、大きな政府vs.小さな政府という構図での権力の移動。解散は暴挙だという声もマスコミ、野党、与党内”抵抗勢力”において当初あったが、そんなことはない。参議院で否決された以上、究極的に法案を通すために必要な、衆議院における2/3の賛成が現勢で現実的でないことから、衆議院での絶対多数を企図して解散するという説明もできるだろうし、大事な法案だから国民の裏書をもう一度得たい、という現在の自民党執行部の説明も理解できる。また、理由がなくても総理大臣は衆議院を解散する権限があるのだ、という説明でもいい。今回の動きで政党の理念の位置づけが明確になってきたのは高く評価 自民党反執行部:あれだけ郵政民営化を主張し続けた小泉氏が何度も選挙民および自民党員の信任を受けていたことや彼の性格を読めずに、おろかにも反対を声高に叫ぶ。自民党内でクーデターを行うことも、自民党から独立することも、または執行部にわびて復旧することもできない彼らに政治家の素質はない。端金を持って引退するか、端金を使って落選するかのどちらかだ。感情的には、組織に属し、そこから利益を受けている人間が、組織への批判を対外的に騒ぐことに虫唾が走る。政治とはいわゆるパフォーマンスということであれば、ある程度は仕方がないものなのでしょうか 公明党:個人的には評価を最も上げた政党。雑音はあったものの、党として一貫して郵政民営化に賛成、解散に賛成、選挙も自民党と歩調をあわせる堅固さ。都市部国民の代弁者としての性格が徐々に明確になってきた 共産党と社民党:現勢ではコメントに値しない 民主党:何もしていない。今回、最も私の評価を下げた政党。郵政関係従業員の利益代表との性格に縛られて郵政民営化の対案を出す気概もない政党が、今回の解散は政権を奪取するチャンスだとか、過半数を取れなければ党首を辞めるなど意気込んでみせるのは、失笑。私の周辺では、実は党首を辞めたいのではないか、との声もある。何を言わせても浮いて見える。自民党執行部が、”政権を握ることを最も重要とする自民党”との性格を改める動きを見せた今回、逆に政権を取ることに拘り過ぎたツケが今回出てきそう。その事実を垣間見させるのが今回の記事でもある
・郵政民営化法案を党議決定するかどうかを諮る自民党総務会を前に久間章生総務会長;「多数決で決めざるを得ないかもしれない」 ・時間をかけて話し合えば折り合えたのか。久間氏は「これだけ大きな亀裂があると多数決はやむを得なかった。ハラをくくった」と振り返る ・意見集約できないのは自民党だけではない。民主党も安全保障をはじめ、一枚岩ではない ・実は民主党内は郵政民営化賛成派が少なくない。手を打たなければ賛否が分かれ、ハチの巣をつついたようになる。そう懸念した岡田克也代表は議論を避け、対決法案では必ず示してきた対案の提出を押しとどめた。逆造反なしに採決を乗り切った岡田氏は「出していたらこうならなかった」と漏らした
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