西田睦美「民意に応え改革徹底を 2/3の衝撃(1)再出発の小泉政権」日経平成17年9月13日朝刊

公開日: : 最終更新日:2011/09/07 書評(新聞)

筆者は編集委員。マスコミの低レベルな論説の中、これは比較的よい記事だった 日曜日から報道を気にして見ていると、安定して見ていられるテレビはNHK、新聞は日経という感じになってしまうのだろうか。フジは総じて悪くなかった。意外。その辺のことを以下にまとめておく。なお、各氏の発言の引用は私の記憶によるものであり、極めて不正確であるかもしれない。敬称略 テレビ等マスコミで後講釈が盛んだ。マスコミのトーンでは、今回の自民党の勝利が極めて驚きということらしい。昨日のワールド・ビジネス・サテライトでは自民の勝利を予測した日経の田勢が予言者のように扱われていた。総選挙については以前のコメントが大体あたっている。塩川正十郎も言っていた「このくらいのことが理解できないのは、マスコミと自民党県連だけだ」とは、よく言った。どの国会議員も選挙民も分かっている 今回は、体制を明確にする選挙。自民がいいか、民主がいいか、と聞かれたときに、どうせ、自民は郡部と既得利権の擁護だから、と思っていたり、どうせ民主は労組だとか旧社会党だから、と思っていた人が多いのではないか 今回の選挙の盛り上がりは、郵政のせいではない。郵政民営化に象徴される既得権益へメスを入れて改善する、という意思を示したところ、そして、それに応じる人間かということをリトマス紙として党として”形式的に”流血してまで政治家を選別した、そういう意気込みを示したというところにある。それに付いていけない人は去るのだし、旧来の「与党に自分の居場所を置きたい」という人はそういう行動をするのだろう。そういう近未来が見えたから、都市部住民は今回自民党を支持しているのだ。それを自らのイニシアチブで作り上げた首相だから支持しているのだ。投票する価値を見出したのだ そういう気概もない人間が、いまの小泉に勝てるはずがない。そういう本気の度合いを国民は見ているのだ。公明党だって、創価学会のくせに、自民党を100%付いていく姿勢を崩さない。あれはもう公明党とも創価学会ともは言わないのだ。少しのチェックポイントさえ、注意しておけば比較的安心できる 岡田と小泉は年輪が違う。小泉は誰も見向きもしなかったころから自我を押し通してきたことでブレようのない強い人間になっている。刺客論に対しても極めて説得的な説明だった。曰く、これまで何年も郵政民営化を唱え、党総裁選と国政選挙を経て、総裁、首相となった人間が解散総選挙を導き出したとき、郵政民営化法案への裏書を行う選択肢を国民に対して提示しないのは申し訳ない。このように、持論に世論がマッチしたときに恐いものはない 亀井、野田、小林などの気味の悪い奴らは嫌いだ、という人間は今回、清々して自民党に投票できる。一部で、刺客を放つのは非情だ、という意見もあったが、どうして。彼らこそ、非情だ。小泉人気を利用して国会議員となった詐欺犯であり、その党の方向性を党外においてこれ見よがしに批判して党のブランドを破壊した背任犯である。非情という以上のレッテルが彼らに与えられるべきだ 「郵政民営化にダラダラせずに、一定の期間を経たら一定の結論を出すことを考えなければならない」、「選挙に表れた国民の声を尊重しなければならない」、「法人税を増やすのは企業インセンティブに悪影響がある」。武部幹事長は、確かにその風貌に鈍としたところがある。だからこそ、こういう良いこと、大切なことをノーネクタイで朴訥と説明するところ、そして、ときに道理の通らない相手を恫喝するところに、強烈な好感を持った。すごいヨゴレ役だ。ヨゴレ過ぎていて輝いている。こういう人間の存在はよく記憶して後世に語り継がなければならない。一方で、刺客の応援演説を一切行っていない安倍が将来の首班含みであるなら、彼の今後については注意して見ていかなければならないな。ただし、武部発言の中で「総選挙は郵政民営化についての国民投票」という表現は気になる。これでは郵政民営化法案を成立させたら、再度、衆院を解散させて、それ以外の政策に関して、通常の総選挙を行わなければならない。間接政治の否定にも繋がってしまう 小泉の「来年9月辞去」の宣言も、うまい。これで期限が設けられ、今後の国政の運営に規律ができる。仕事をグダグダとやらない。また、後進へのスムーズな交代への準備が始まった。新しい自民党が長期的に継続していくための布石として小泉の早めの辞去は必要である。院政と、危機感が醸成された最悪の場合の救世主の可能性は誰もが脳裏に描いている前提。それを、テレビのインタビューで小泉に「小泉さんじゃなきゃダメなんだよぉー」と独り酔っている田原には失笑。人ひとりいなくなったぐらいで国政が滞るようじゃダメなんだよ 堀江の質疑応答に極めて共感。意味のわからない質問にはアホかとあしらい、いい質問には突っ込んだ興味深いコメントをしてくれる。特に久米と古館、あとどっかの大新聞の編集員の質問には吐きそうになったが、堀江の相応なリアクションに溜飲が下がった。また、堀江と小泉を中継で繋げた会話をテレビでわずかに見たが、そのときの2人の顔はすごく良かった。父と子のような顔をしていた 人間40歳を越えたら自分の顔に責任を持て、とリンカーン。今回痛感したのは、大体、政治家は顔でわかるということ。気味の悪い顔は選ばないほうがいい。大体、意図せんところは理解していただけると思うが、あえてマイナーどころを言うと、亀井、堀江と争った民主党候補、前回の落選を越えて東京小選挙区から選出された石原ジュニアなどもそうだ。その点、党首の中で神崎の顔は良いのが記憶に残った。ああ、暴論だ、暴論でいい 小池百合子のコメントの旨さに関心。「環境で経済が云々と”面罵された”」というのも面白かったが、日曜のテレビでは「小泉政権下で財政が悪化したと主張する田中党首の横で、その小泉政権の財務副大臣だった小林が諾々と聞いていたのはいかがか」という発言は快哉。社長になるという人間ほど、周りは決して社長にさせたくないと思っている、ヴァイス・ヴァーサ。総理大臣にも、これはあてはまるのではないか ・民主党が労組依存体質を改めることができず、旧態依然のリーダーを選ぶようなことになれば、万年野党に安住したかつての社会党の道をたどる危険をはらむ ・首相の最大の功績は、自民党=改革政党というイメージを植え付けたことだ。綿貫民輔、亀井静香両氏らの民営化反対派を切り捨てて「新しい自民党」をアピールした。結党50年で耐用年数が尽きかけた感もあった自民党が「改革政党」に脱皮し、都市部や無党派層の支持を維持できれば、中興の祖となる…「耐用年数」ってさすがに経済新聞だね ・重要なのは自民、公明両党で衆院の2/3の勢力を占め、参院で法案が否決されても衆院で再議決できるようになったことだ。参院の構成は変わらないが、「強すぎる参院」は一夜にして無力化した…この特殊な状況下でもようやく2/3。参院の必要性の議論にはならない。いまのシステムは実に絶妙に出来ている ・首相は特別国会後の内閣改造・党役員人事で「ポスト小泉」の候補者を処遇する意向も示した。互いに競わせることでレームダック(死に体)になるのを避けるとともに、小泉内閣の改革路線を継承させる狙いを込めたものだろう ・しかし有権者の圧倒的な支持で選ばれた首相が、党のルールを理由に辞めるのは筋が通らない。総裁任期を区切って、派閥のたらい回しで総裁を選んできたのは、自民党単独政権時代の遺物である。政権選択選挙が根付いた今、衆院選から次の衆院選までを総裁任期とするよう党則を改めることが急務だろう。民意を追い風に改革を加速させる時だ。その任を全うするには、一年間では短すぎる…うーん、そうなのかなあ。総選挙はあくまで国会議員を選出するものであって、総理大臣を決めるというよりは政党を決めるということ。その中で今回は小泉が1年で辞めるということも選挙戦で主張されていたということだから、国民の判断にも織り込み済みであると考えるほうが筋が通る 20050913153433

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