平田育夫「対米義援金『1億円』の薄情―市民感情わきまえた外交を(中外時評)」日経平成17年9月11日朝刊

公開日: : 最終更新日:2012/07/02 書評(新聞)



筆者は論説主幹


これを読んで同意するとともに、アメリカが発表した対テロ協力20カ国に日本の名前がない、という話を思い出した


日本が海外派兵すると、多数国の支持を得ても少数国から難癖をつけられる。そこで、昔から考えていることがある。日本の国際貢献は、災害復興支援に限定し、特化してはどうか。台湾で大地震が発生しても、国連は支援に動かない。台湾は中国のものという立場をとる国連は、中国からの申し出がないと動けないからだ。国連のいろいろな柵を越えて、日本は災害復興支援に出動する。テントでもいい、浄水器でもいい、医療施設でもいい、風呂でもいい。地震、火山、台風、水不足の多発する災害大国であり、技術力もあり、世界一目の肥えて厳しい消費者を持つ日本が貢献できる。派兵は他の国に任せる。しかし日本は大量のブラックジャック、大量のナイチンゲール、大量のパトラッシュ、大量の銭湯、大量のコンビニ弁当、大量の簡易トイレで支援しようではないか


そのような国に侵攻する勢力があれば、自衛隊で守るだけでなく、地震の東アジア諸国が、津波のインド洋諸国が、ハリケーンのカリブ海諸国が、旱魃と火山の南米・欧州だって我先にと守りに来てくれる。長野・山梨・群馬の山中に証明を設置して、スペースシャトルから、ソユーズから、東風から、アリアンから、アグニから、テポドンから、夜の日本列島のど真ん中に微光ながら赤十字が見える。ここを攻撃してはならない、というサインだ




・米ハリケーン被災に対する同盟国日本の支援額は100万ドル。別に医療、救助など緊急援助隊の派遣も申し出ており、その貢献ぶりにもよるが、資金額をみる限り「真の友」とはちょっと恥ずかしくて言えない


・中国は日本の5倍。韓国は政府・民間合わせ3,000万ドル。敵対するキューバも1,100人の医療チームを派遣すると伝えた。米国批判を繰り返すベネズエラのチャベス大統領も100万ドルの供与を表明。支援は総額1,100億円で日本政府の分はその1000分の1だ


・人道上だけでなく、外交面からも、ここで米国民に支援の手を差し伸べることには意味がある。ブッシュ政権が3年半後に交代した後も、日本は米国民とはずっと付き合っていくのだ。その米国民はどの国がどんな風に助けてくれたか、いつまでも覚えているだろう


・各国の支援の内容は新聞やテレビを通じて世界中に伝わる。情の厚い国は慕われ、薄情な国は嫌われる。市民の感情は選挙を通じてその国の外交政策に反映される。軍事力を軽々には使えないこれからは、人情の機微にふれるような外交を展開していく必要がある。まさにハーバード大のナイ教授の言う「ソフト・パワー」がカギを握る。相手国の国民感情や世論の動向を、より重視して進めるのが新時代の外交だろう


・トヨタ自動車が政府の5倍の資金提供などを申し出たほか、ホンダも従業員と合わせ500万ドルなど、米国と関係の深い日本企業が支援し始めたのは頼もしい。募金活動を始めた小売業者などもある。今は民間が政府に代わってがんばっている


・太平洋戦争では、本土空襲や原爆投下など米国から非人道的な仕打ちを受けた。戦後は民主主義の定着や経済発展を助けてくれた。怒りと感謝の両方あるが、恩讐を越え人道的な行いをするのは大事。それが世界から尊敬され、好かれる国になる第一歩である




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