林望「知性の磨きかた」PHP新書

公開日: : 最終更新日:2011/09/23 書評(書籍)



高校生か、または大学入学したばかりの人が読むべき本。勉強の仕方、大学生活のすごし方、本の読み方について著者の見解が披瀝されている。半分以上は納得できる。本の買い方、読み方についてはまったく賛成

最後に引用した部分、立川談志さんだったかの言葉が思い出される。確か、女子高校生が売春とはけしからんというコンテクストの中で、売春婦が高校に通って勉強していると思えば見上げたものじゃないか、というのがあった。どちらも真理ではないか



p22.とんでもない、私にいわせれば、私はただ一つ、学問の方法というものを身につけているにつぎない、まったく一芸の主なんです

p31.大切なことはね、学生が勉強していることを聞いて、ほんとうにこの学生がね、正しい方法で進んでいるかどうか、何か独善的な方法に陥ってはいないか、そういうことをチェックし修正することなんです。教師の最大の任務はそれです

p39.大学で遊ぶか遊ばないかは、本人の自由なんだ。大学というところはモラトリアム=人生の執行猶予期間であって、絶対これをしなきゃいかんというものがない。自由裁量でどう使ってもいい時間というものを4年間、何百万円という金で売ってあげましょうという、そういう機関なんですね。そういうふうにもう、はっきり割り切っていい

p45.「知性」とは何かということについていえば、まさに「方法」を身につけることである、ということです。それは何の学問の方法でもいいんです。ただし、身勝手な方法を身につけちゃだめなわけで、そこで大切なことは善智識を得ること、つまりいい先生につくということです

p49.たとえば日本の職人の世界なんかでは弟子には一切教えないというのが原則ですね。それは非常に正しいやり方なんだと思います、私は。物事は、教えられるというと、その教えられたところが一つの範囲を形成してしまって、そこから出ることがむずかしくなってしまう。反対に教えられないことについてだったら、どこまででも先に行くことができる

p115.「古今の名著」などというものも畢竟、その時代その時代の「流行」である。ということは、「古今の」名著という言い方自体が形容矛盾だともいえると思うんです

p133.3時間、4時間とかいうような時間しか寝ないで勉強している人間が、みだりにスポーツなんかやったら死んじまう。「退屈して遊んでる人はスポーツでも何でもおやりください」と私は思う。でもね、ほんとうに根を詰めて一生懸命、神経症的な仕事をしている人に対しては、無責任に「スポーツをやれ」なんていうべきではないんです

p135.自分が読んで面白かったなあという本が書棚にたまっていくということは、その人の人生の軌跡なんですね。だから、私はどうしても本は買って読むべきだという立場であって、あるいは読んで面白かったら買うべきだという立場をとります

p138.本を読もうと思ったら、わざわざ図書館まで出かけていかなきゃならないってのは、まず億劫な話です。そして、図書館というところは、人がいっぱいいる。それから、声を出しちゃいけない。閲覧室でちょっとおしゃべりなんかすると、「シーッ」なんていわれたりなんかする。あんな状態のなかで、私は落ち着いて本なんか読めないと思う。だからどうしても館外貸出ということになる。すると、1週間なら1週間で読まなきゃいけない。でも本はそういう強迫観念的時間枠のなかでよむべきものじゃないんです

p140.誰か他人に、「この本面白いから読んでごらん」と薦められて読んだ本で面白いと思ったことは、ほとんどありません

p144.図書館というものは、基本的には、辞典とか参考文献とか、調べものをする場所だと思います。だから本来は、ああいうところで娯楽のための読書なんていうものをサポートする必要はないと思うんです

p147.本は寝ころがって読むことを皆さんにお勧めします。昔から「馬上、厠上、枕上」といって「三上の読書」というんですね。我が家の便所には必ず雑誌とか、何か活字が置いてあります

p150.リーダーカンパニーとしての本屋は、志ある品揃えを目指して、もうちょっと努力してもらいたいと思わずにはいられません。池袋のリブロなんかは行くと「おお、こんな本をよく置いてあるなぁ」と思うような本があって、志が感じられますけどね

p162.多くの人は大学という枠だけ見て、「いまの大学生は本を読まなくなった」というようなことをいうけれど、そうじゃないんです、事実は。私がいいたいのは「本を読まないような人たちでも大学へ行くようになったということを喜ばなきゃいかん」ということなんです。これは皮肉でも何でもなく



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