竹田孝洋「日経平均より経済実態を反映 『大証修正平均株価』」週刊ダイヤモンド2005/10/22
景気の動向が日経平均の騰落で論じられることについて、以前から気になっていた。この思いを強くしたのが、先の衆院総選挙。新党日本の代表である長野県知事の田中康夫氏が小泉首相を批判するため、日経平均が首相の就任時(2001年4月26日の1万3,973円らしい)を下回ったままのの現状を示し、これが首相の経済面での政権担当能力のなさを示すかのように主張したときだ 小泉政権になってから日経平均は陰線という指摘に対する反論は、日経平均の構成銘柄が結構変わっており、連続性がないのではないかということ。この記事において、その辺の事情をうまく説明してくれている。やはり日経平均は実際の景況感とは異なる動きをする 日経平均という一見説得的な道具を使って、したり顔でこのような誤解を与えるようなことを言うから、彼の党への支持は今後も多くならないのだ。この点も含め、党首討論においては彼がなるべく具体的な数字を挙げながら主張を行っているのは彼の戦法だろう。しかし、より力のある他党の党首諸氏による、国家を論じる幹のところの議論に埋没していまい、考えの小さな理屈屋みたいな悪いイメージが出てしまっている ・足元の日経平均株価は1万3,000円台で、2001年前半の水準に戻ったに過ぎない ・企業業績は絶好調。各シンクタンクが集計する企業収益の水準を見ても、現在は2000年度の水準を大きく上回っている ・日経平均の倍の2万6,000円台をつけ、バブルの熱気が残っていた1991年の水準さえ回復した株価指数が大証修正平均株価。市場関係者は「大証修正平均のほうがより実態に近い」との声を漏らす ・2000年4月の日経平均の30にも上る大量銘柄入れ替えにより、科学、鉄鋼など素材産業の銘柄が主に除外され、電機、情報・通信といった当時、株価がピークにあったネット関連銘柄が組み入れられた。この”ネット関連シフト”が日経平均の足を引っ張った。日経平均の伸び悩みには、銘柄入れ替えに伴うテクニカルな要因も働いたことは間違いない。実態とは関係なく3,000円以上も下げたといわれている ・現状を見る限り、依然低水準の日経平均より大証修正平均のほうが経済実態に近い指標といえる。業界内では、日経平均の連続性に疑問を投げかける声は少なくない 20051016000008google adsense
関連記事
-
-
ロスチャイルドの富は「情報力」で築かれた(社会科学の女王か金儲けの手段か)」週刊東洋経済2007.9.8
ネイサン・ロスチャイルドが相場で大儲けをする有名な話。ここで気になったのは次の文章 ・仮にネイ
-
-
山村武彦「過去の大災害が揃って周年を迎える不気味な年に(特集総予測2007)」週刊ダイヤモンド2006/12/30・2007/01/06新年合併号
代表性というか、たまたま周年の一致するものを集めた気がする。統計のマジックという部分で割り引いて読む
-
-
篠原匡「日本フィルム 成熟商品もヒット商品に(小さなトップランナー)」日経ビジネス2007年6月25日号
20070629064800 今回の日経ビジネスは特に分厚い。もともと広告が多い上に、今回は腕時計
-
-
「私たちが肌で感じた時価総額世界一企業のヒミツを明かそう 元アップル社員覆面座談会(特集 家電淘汰!)」週刊ダイヤモンド2011/11/12
20111206223636 ブランド、レピュテーション、情報に関する管理は、誰もが認めるのこの会
-
-
並木厚憲「大詰め迎えたオリジン東秀TOB合戦 ドンキ流買収策、法の不備を突く」週刊東洋経済2006.3.4
明白な間違い。専門家と名乗り、またはそう称せられる人がどの程度のものであるか、いい一例 ・企業法務に
-
-
片山善博「自民党は末期的症候群『パンと見せ物』の政治だ(特集/政治の混迷、改革の処方箋)」週刊東洋経済2008.9.20
あまり政治を追いかけても仕方のないころだけど、末期的症状であることの再確認と、喩えがすごく面白かった
-
-
塩田潮「政権奪取は可能か 試される小沢代表(Focus政治)」週刊東洋経済2007.9.1
普段、一応目を通すものの大体は特に強い感想も持たないコラムである。今回は、次の件だけが気になった ・
-
-
齋藤孝「勝つか破産かモノポリーで知る資本主義の本質」週刊ダイヤモンド2005/06/11
先日、この連載の前回分において五芒星と六芒星を間違えているのではないかという指摘をした。その後、知人
-
-
佐藤優「筆者自身の効率的な時間の使い方(知の技法 出世の作法)」週刊東洋経済2009.10.17
20091031102203 確か、この連載で筆者が、適切な睡眠時間は人によって決まっているので、
-
-
佐藤吉哉「佃和夫氏 三菱重工業社長 環境技術で世界派遣を(編集長インタビュー)」日経ビジネス2008年3月31日号
20080429060000 プリンスホテルの契約違反の件があったが、同時期にさりげなく三菱重工の