国定浩一「『ライブドア事件』の効果(十字路)」日経平成18年2月23日夕刊

公開日: : 最終更新日:2012/03/31 書評(新聞)



著者は大阪学院大学教授

前にも、筆者のこのコラムに対する違和感を覚えて、メモしていたと思う(国定浩一「株は値下がりもある(十字路)」日経平成17年10月20日夕刊参照)。今回も気になった。何が言いたいのかわからない。または、偏った考え方を広めようとしているのではないか



・ライブドア事件には、安易な気持ちで株式投資に流れていた個人投資家たちが目を覚ますきっかけになったというプラスの効果があった



…フムフム



・私は大学の「証券市場論」で株式投資の基本がファンダメンタルズ分析であると繰り返し説明してきた。貸借対照表や損益計算書に基づく企業の将来性への判断こそが重要であり、インターネット上で一日に何度も売買する「デイトレード」のリスクを学生たちに教えてきた



…ん、P/LとB/Sが分かるとなぜに企業の将来性が判断できるのでしょうか。いずれも過去の、ある時点またはある期間の財務データですが、それで将来性が分かるはずもないと思うのが自然ではないでしょうか



・しかし、いわゆる「ヒルズ族」への若者のあこがれは根強く、真意がなかなか伝わらないもどかしさも感じていた。それが事件後の期末試験の論文では、何人かの学生が「ようやく目が覚めました」と書いていた。現実の事件は教室の講義に勝る説得力を持っていたようである



…ヒルズ族へのあこがれが、株式投資でファンダメンタルズを考慮しないということに繋がっているような書きぶりだが、ちょっと意味がわからない。それとも「ヒルズ族」はファンダメンタルズを考慮せず、それが若者に影響を与えた?。これもそうは思えない。まあ、わからないことをやるからこそ、それほどのアホな学生だというくらいのことでしょう。次



・一般社会を見ても、株式市場に幻想や甘い夢を抱いていた人々が冷静さを取り戻しつつある。ひところ目立ったデイトレードに熱中する個人投資家を持ち上げるようなテレビ番組は姿を消している。M&Aを題材にしたゲームソフトが販売中止になったというニュースも流れた



…ん、デイトレードがいけないということだろうか。デイトレードは投資を行っている期間が超短期というだけであり、ファンダメンタルズ分析とは相反しないのではないか。デイトレードの定義がファンダメンタルズも見ずに短期売買を行う、ということであるとしても、それを持ち上げてはならない理由はないのではないかと思う。持ち上げていけないのならば、ダメ出しをしてもいけない、というのが最低線ではないか。M&Aも同じ。永守氏による日本電産のM&Aはよく好意的に取り上げられるし、イオンなどの総合スーパーは小規模商店のM&Aの歴史の産物である。M&Aそのものは手段であって、それに善悪もない。デイトレードやM&Aに対して最初から悪いレッテルを貼っていないか

ライブドア事件はシンプルに「企業経営において法令違反があった」ということである。したがって「ライブドアやその経営陣が法令違反者であった」という幻滅は覚えるかもしれない。私もその口である。その実業には疑問を持ちつつ(渋井真帆「渋井真帆の日経新聞読みこなし隊」日本経済新聞社参照)、その言動には少なからず共感を覚えた(西田睦美「民意に応え改革徹底を 2/3の衝撃(1)再出発の小泉政権」日経平成17年9月13日朝刊参照)

しかし、デイトレードやM&Aとは関係はないはずではないか。例えば、株式市場がこのような事態に対して簡単に場を閉じたり取引時間を短縮したりしてしまうような取引所によって独占的に運営されていることや、最も取引の厚みがある銘柄であってもその銘柄の急落に際しては何日経っても売買が成立しない怖さがあったことへの幻滅であるということであれば、極めて頷ける



・個人投資家の増加は時代の流れであり、歓迎すべき傾向である。しかし、「投機家」の増殖は経済の本筋を外れているように思う



…投機家も、その行為により市場の取引の厚みを増して価格形成機能と取引の流動性を高めることに役立っている。実需が本筋であり、仮需が本筋でない、とはどうしていえるであろうか。正直、投資と投機の区別というのは自分でも明確に線引きできていないが、どのように呼ぼうとも、自分の持ち金を投下して経済に参加するという意味では等しく貴重な行為であると思う



・必要なことをしっかりと勉強し、身の丈に応じた運用をする―投資の基本をもう一度確認する機会をライブドア事件はもたらしたといえるだろう



…なんか、予断があるような気がする。身の丈に応じた運用が、人によってはタンス預金になり、外貨預金になり、株式になり、不動産になり、デリバティブになり、または住宅ローンになるということではないか。なんか、投機や証券取引に対するネガティブなイメージ作りと、ファンダメンタルに基づく投資に対する正統性の強調がおかしくないか。「必要なことをしっかりと勉強」することには同意。しかし、勉強を重ねて果たして筆者のような、ファンダメンタルズ絶対視で、投機反対の価値観になるのだろうか。

こういう人が教授をしているということが微妙。ふーん、大学教授。前に読んだ本の名言を思い出した。「できる者は行い、できない者はできない者に教える」(金森重樹「1年で10億つくる!不動産投資の破壊的成功法」ダイヤモンド社参照)

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