野村雅道「働かずに毎年1000万円稼げる私の『FX』超活用術」講談社+α新書

公開日: : 最終更新日:2012/03/12 書評(書籍)



スワップをメインに利益を取ろうというタイプの、外国為替保証金取引の入門書。極めて読みやすい上に、このタイプで進める場合の制度に関する基礎情報が過不足なく説明されている。相場動向に関する説明はほとんどないので、その辺は専門の解説書や、日々のニュース等の情報で補充する必要がある

プチリタイアみたいな、アーリーリタイヤメントみたいな、そういう著者の考え方にも触れられており、興味深い。自分が自由に満足した暮らしができるためには大富豪でなくても十分。その程度の生活資金を余資の運用により得るという。また、読者層として、落ち着いた給与生活者を想定している。または読者をそちらへ誘導しようとしているような内容。というのも、金利収入の重要性を主張している

ポイントは、レバレッジは2倍から3倍まで。高金利通貨に投資し時間をかけてスワップを稼ぐ。複利の効果を使う。取引にあまり時間をかけない。分散投資のメリットはあまりなく、むしろ情報収集の効率を考えると、しないほうがいい

著者はその分野の仕事をしてきている人である。現在も為替に関するブログをしている。そちらのほうも面白い。しかし、ブログを見て、その情報の豊富さと緻密さと比較して、この本の思想に触れると、同一人物であるか、と多少驚く。いや矛盾しているわけでもなく、いずれも真実なのだろうと思う



p24.悪名高かった「和牛オーナー商法」は、じつはいまも継続している。アルゼンチン債への投資では失敗したが、和牛オーナー商法に関しては、私がやっているものは現在も高い金利で運用できるうえ、定期的においしい和牛の肉を送ってきてくれる。これでなんとか溜飲を下げている

p30.しかし、こんなプロの外国為替ディーラーたちと同じ手法で外国為替取引に参加しても、個人は身ぐるみはがれるだけである。いや、プロのディーラーといえども短期売買で儲けている者は少ない。だから、最初から為替の値動きで大儲けしようなどと考えてはいけないのだ。私も絶対に考えない

p37.日本の株式市場を例に挙げると、1日あたりの取引額は1兆5000億円前後。これに対して、外国為替市場では1日で100兆円以上の取引が行われている。これだけ取引高が大きいと、資金力にものをいわせて、力ずくで相場を動かすことも、外国為替市場ではできないのである

p41.ひとついっておきたいのは、私はこの「外国為替保証金取引」が永遠に有利な商品で、絶対にこれをやるべきだ、といっているわけではないということだ。あくまで、現在の日本の超低金利の状況と、この金融商品の特性からして、私のやり方なら安定して利益を出せる、という話をしているのである

p43.保証金に対して2倍から3倍の信用枠を受けて取引するのが、もっとも妥当なところだと考える。実際私も、それ以上にすることはまずない

p47.駐車場を経営している地主さんたちにとっては、毎月定期的に得ることのできる駐車場料金がいちばん大事であって、土地の値段の細かな上がり下がりについては、それほど神経質にはなっていない。土地の値段を為替レートの値動き、駐車場料金をスワップ金利を考えれば、理解しやすいのではないだろうか

p48.じつは私は、「年間の収益ノルマ」を設定している。具体的には「自己投資額の10パーセント以上のリターン」でノルマ達成としているのだが、もし為替差益が得られた結果、予想以上に早く年間の収益ノルマに達すれば、それ以上、無理して運用することはしない。あとは「遊んで」いる

p53.おわかりいただけただろうか。じつは、あなたの非常に身近なところに、これだけ有利な資産を増やす方法が存在していたのである。このようなことは正直、いろいろなことに関心をもって調べる、あるいは勉強するというクセを身につけていないと、なかなか気づくことがない。気づかなければ、この超低金利時代、いまでも法外に高い為替手数料を負担して、低い金利の外貨預金などで運用するほかないだろう。私はいまでも、時間に余裕があるときはいろいろな金融商品のセミナーに顔を出して、最新の情報を得るようにしている。それは、この超低金利、高齢化時代を生き抜くためには、前述したように「知らないこと」が大きなリスクとなって、自分自身に跳ね返ってくるからにほかならないのである

p73.「枕を高くして寝られる程度のリスクで運用する」私が「外国為替保証金取引」を行うに際して、つねに心がけていることはこれに尽きる。言い換えると、為替レートの変動に一喜一憂せずにすむ程度のレバレッジで運用するということでもある

p173.とくに危険なのは「儲かっているとき」だ。人間は不思議なもので、損を抱えているときは逆に慎重になるため、大きな失敗はしないものだ。ところが一度大きく儲かりだすと、今度はいままで築き上げてきた利益を、もっと大きく増やしたいと考えるようになる。浮かれて行動が大胆になり、とんでもない判断を下すこともある。まだいける、まだいけると思っているうちに、あっという間に相場が下落へと転じてしまい、損失を被ってしまうのだ

p184.通貨に投資するということは、その国のファンダメンタルズをある程度、把握しておく必要がある。基本的な知識の不足に加え、経済情報がほとんど入ってこないような通貨に投資するのは、やはり危険だ。なにもわからない国の通貨に投資すると、「想定済みのリスクの範囲内」で運用することができない。よくわかりもしないのに、さまざまな通貨に分散投資して満足しているようではダメ。やはり、自分がよく理解できる通貨に投資することが大事だ

p187.自分はけっしてプロではないということを自覚することだ。外国為替取引は、プロでもなかなか儲からない世界である。それは、見てきたように目先の為替相場の変動を狙って、売買をくり返しているからだ。ただ、プロの外為ディーラーたちは、一定の期間内にある程度の収益確保をノルマとして課せられているので、どうしても目先の動きに乗って収益を稼ごうとするとうな投資行動を取らざるを得ない。でも、この本を読んでくださったあなたは、プロではなくアマチュアである。アマチュアにはアマチュアなりのメリットがある。それは、自分が所属する組織の決算などに関係なく、それこそ自分の好きなように為替の売買ができることだ。だからこそ、長期で金利収入だけを確保するといった取引も問題なくできるのである



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