改定・保育士養成講座編纂委員会編「改定・保育士養成講座2006第7巻 保育原理」全国社会福祉協議会

公開日: : 最終更新日:2012/02/10 書評(書籍), 保育士試験

保育士試験受験シリーズ(8/11) この保育原理という科目は、次につづく2つの科目(教育原理と養護原理)と相互に侵食した内容となっている。ほかの部分も多少の差こそあれ、ダブっている部分があるように思う。科目が多すぎるといえるのではないだろうか。詳しくは知らないが、どうも短大などの保育士資格を得られる教育機関における科目がこうなっていることによるもののように思われる
p11.かつて学校がなかった時代には、読み書き計算を教えるのは家庭の責任であった。当時は、家庭教師を雇うことができる上流家庭の子女のみがその恩恵を受けた。産業が発展し、読み書き計算ができる質のよい労働者が必要になって、公に学校が設立され、子どもの教育は公的責任であると考えられるようになり、義務化されたのである。今日、日本の社会においては、就学前の子育ては私事であり家庭の責任であるとみなされている。しかし、現代の家庭と地域が、かつてのような地域共同体感情を育む場を失い、子育て文化を伝承する生活の場を失いつつある今日、社会全体で子育て家庭を支援する社会的養育システムを地域のなかに新たに構築することは、緊急の課題である。女性の社会参画を積極的に促してきた先進諸国においては、すべての子どもの保育保障を目指しての保育制度改革が進められている p42.明治23年に、季節託児所の代表的なものである「農繁期託児所」が、一農夫であった筧雄平によって鳥取県の農村にはじめて作られている。当時、農家では乳飲み子は野良に連れて行かれていたが、幼児は家に放置されていた、その子らの安全と衛生面の配慮として、自宅を開放し、村の尼僧の協力を得て開かれたものであった p49.今のところ、保育所の役割は大きくは2つ、保護者の労働や疾病により保育に欠ける乳幼児を保育することを目的とする児童福祉施設であることと、地域の子育て家庭への相談・助言等による支援活動とである p69.種としての行動様式は、動物の場合は生物学的な遺伝によって後世に伝えられるが、人間の場合は、生後に習得(学習)するものの影響が大きいことが理解できる p69.人間の場合、誕生時には、人間のおとなに特有の行動特性は何ひとつ遺伝的に伝えられておらず、行動の基本となる有機体としての諸機能(発声の調節、手指の器用さ、歩行等)の成熟も、誕生後に母胎の外で行われる。つまり、人間としての行動様式は、生後の成長発達の過程で、子ども自身が生活のなかで外界と関わりながら獲得していかねばならない仕組みになっている p79.子どもが育つうえで一番大事なことは、人から愛されることである。心身ともに未熟な状態で生まれてくる人間の子どもは、1人では何もできないが、その分、最も社会に開かれた存在であり、自己の生命を含むすべてを、身近にいて世話をしてくれるおとなに委ねている p158.「保育」を英語で表記する場合も、early childhood education and careであり、careとeducationの2つの機能が一体化した活動としてとらえられていることがわかる p163.数年前、小学生が外部からの侵入者に殺傷される事件が発生し、学校だけでなく、保育所や児童福祉施設における児童の安全確保が見直された。ここで大切なことは、外部の人を入れないという対応策ではなく、むしろ、ボランティア、保護者、関係団体などの協力を得て、地域に開かれた施設づくりをしていくことが予防であると確認された p182.一時保育は、保護者の育児疲れの解消等の私的理由で利用する場合もあり、このニーズは福祉施設である保育所の利用のあり方として消極的な議論も一部にはみられるが、子育てに対する心身の負担感や孤立化の問題が指摘されている今日、新たな役割としての期待が高まってきている p187.「イヤだよ。分かってよ。誰か、私に『頑張ってるね』って言ってよ。こんなこと外に向かって言ったら、『甘えてる』『何を言ってるのか』と叱られます(現に叱られたこともあります)。もうイヤだ。こんな生活はもうイヤだ。そう言って、子どもと3人で泣いたこともあります」 p189.従来のわが国の子育ては、家族だけが担ってきたわけではない。子育ての民族をたどってみると、地縁や血縁による人間関係のなかで子育てを協力して行ってきたことがわかる。例えば、「宮参りや誕生祝、七五三などの祝いごとは、家族が子の成長を喜ぶだけでなく、周囲の大人たちが子どもの成長を祝うと共に、地域の子どもとして承認し、皆の協力によってその子を一人前に育てていくという社会的な結合をつくる機会となっていた。赤飯を配ったり、近所の人を招いて一緒に食事をすることも、人間関係をつなぐ一助になっていた」のである p210.子育てに悩みはつきものであるが、考える過程を尊重する教育ではなく、いわゆる「正解」をいかに効率よく出すかということを求める学校教育を受けてきた母親たちは、子育ての悩みにも正解を求める傾向がある。いうまでもなく、子育てに決まりきった「正解」はない。しかし、母親たちは子育てのハウ・ツーや「こうしたらよい」という答えを求める。さらに、「女性には子どもを愛し育てようとする性質が本能的に備わっており、女性は母親として献身的に子どもを育てるべきだ」とする「母性神話」は、母親たちに子育ての責任はすべて自分にあると思い込ませ、彼女らを追い詰める。子どもはたくさんの人の中で育っていくという当たり前のことを母親は見失ってしまうのである
20060816001800
保育士養成講座 第7巻
posted with 簡単リンクくん at 2006. 8.16
改訂・保育士養成講座編纂委員会編
全国社会福祉協議会 (2006.1)
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