野口悠紀雄「貿易大国から脱していない日本人の意識(「超」整理日記)」週刊ダイヤモンド2006/04/29・05/06合併号

公開日: : 最終更新日:2012/02/10 書評(雑誌), 週刊ダイヤモンド, 野口悠紀雄



週刊ダイヤモンドと週刊東洋経済というイガミ合う2誌に、著者の同じようなコラムがある。どれを読んでも明快であり、雑誌を買ってよかったと思う。しかし、両誌に同時にコラムを連載していてモラル的な問題はないのだろうか

いわゆる虚業への軽蔑が、とくにライブドアや村上ファンド以降に強くなってきているが、それと一見関係のなさそうに見える人口減少問題への解決のベクトルを繋げて、要は加工貿易の観点でしか物を見ることができない日本なのだ、次元の違いがあるのだと説明している。2次元の世界からは3次元を理解することができない、と整理してしまうと、なるほどこの傾向の強硬さも理解できる



・アメリカは2000年で純資産がマイナス251兆円という巨額の債務超過国であるにもかかわらず、所得収支はいまだに黒字なのだ(94年で240億ドル)。これは、アメリカの対外投資が、企業年金や投資信託などによる株式投資や企業の直接投資など、高リターンを実現するものが多いためだ。ヘッジファンドなどによる高リスク・高リターン投資も増えている。その半面で、アメリカに流人する資本は、リスク・マネーを扱い慣れない国からのものが多い(その代表が日本である)。このため、低リスク・低リターン投資となり、利子支払額が抑えられているのである

・「日本人が汗水流して働いているのに豊かな生活ができず、アメリカ人が豊かな生活をしているのは不合理だ」という意見がある。一人当たりGDPで、いまやアメリカは日本より高いから、「アメリカのほうが豊か」という事実に誤りはない。しかし、その原因は、(しばしば誤って指摘されるように)アメリカがドル紙幣を印刷するだけで外国からモノを買えることではない。また、軍事力を背景に世界経済を操っていることでもない。アメリカが豊かなのは、「他国との頭脳力格差」を利用できているからなのである

・日本では、「ものづくりこそが正当な経済活動であり、ファイナンス理論などはいかがわしい」という誤解が根強い。ライブドア事件は、この誤解をさらに強める結果となった。人口構造の変化に対しても、それを前提として社会構造を変えるのではなく、出生率を高めて人口構造を昔のかたちに戻し、成長率を高めようとする考えが一般的だ。つまり、日本人の意識は、いまだに貿易大国から脱していないのである



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