山田ズーニー「伝わる・揺さぶる!文章を書く」PHP新書

公開日: : 最終更新日:2012/02/10 書評(書籍), 文章術/レトリック



文章を7つの要件に分けて丁寧に解説してくれる。意見、望む結果、論点、読み手、自分の立場、論拠、根本思想

読み進めていくうちに思い出すのは、義務教育のころ。国語の目的やどうしたら成績が良くなるのか、などは誰も教えてくれなかったような気がする。中学、高校くらいから本をよく読み、国語の成績もなぜか良かったため、これを因果関係のように思うようになったが、確かにそうかはいまでも分からない。明らかに国語力があると認める人が普段は全然本を読まないというケースを知っている

著者も、その辺のもどかしさを自分の仕事として十分に経験した上で築き上げた方法論なので、血肉を強く感じる。そうだ、文章を理屈で説明できないはずがない。そういうアプローチは好きだし、自分にとっては馴染み易そうだとも感じる。共感しそうな人には一読をお勧めしたい

全体的にキレイに整理されており、いい意味で読み応えがある、よく練られた本だと思った。さすが、文章をテーマにするだけのことはある文章

実は、著者の本は別のも買って持っている。「あなたの話はなぜ…」だ。しかし、縁なくまだ読んでいない。いい機会なので近いうちに読んでみたい



p32.本書が目指す文章力のゴールは、1編の完成された文章をまとめ上げることではない。書くことによって、あなたの内面を発現することにも留まらない。あなたの書いたもので、読み手の心を動かし、状況を切り開き、望む結果を出すこと、それがゴールだ

p60.自分が書いた文章を読み終えたとき、読み手に、どう言ってもらいたいか、その言葉で結果をイメージするのだ。これなら、結果を具体的に描きやすい。例えば、後輩に仕事のやり方を書くとき、読んだ後輩にどう言ってほしいか?

p69.それだけでなく、これら、5つのタイトルを見ただけで、内容は読まなくても、そこに「BRUTUS」独自のものの見方・センスが感じられはしないだろうか。そう、読み手は、まだあなたの意見を読んでいなくても、問いの立て方だけで、あなた独自の見方・センスを感じ取るのだ。独自性の発現に、論点はよく機能する

p100.問題を多角的に見る。(1)自分の体験・見聞を洗い出す (2)必要な基礎知識を調べる (3)具体的事例を見る (4)別の立場から見る (5)海外と比較して見る (6)歴史を押さえる(背景) (7)スペシャリストの視点を知る

p108.極端に短く言うことで、いらないものを捨てる、大事なものの順番がわかる。ということは、すなわち、自分とまわりの関係性が発見できるということだ

p142.議事録を書くいちばんのポイントは、議題を「問い」の形にして頭に大きくはっきり書く。これにつきる。ここが、最も難しく、腕の見せ所だ

p147.その会議の、1つ前と、1つ後の展開を書いておくと議事録としては、より役に立つものになる

p151.実力があるのなら、それに見合った、自分を伝える術を持つべきだ

p172.こちらの常識の範囲ではどうしても悪いと思えないのに謝罪文を書かなければならないケースもあった。そういう場合は、徹底的に相手の側からものを見て、相手の論理で詫び状を書いた。理屈で勝っても、だめな場合がある

p192.「今年」の話をするなら「去年」のことを、「来期の戦略」に入るのなら「今期の戦略」を、「意見」がほしいのなら「問題点」を。このような1つ前のプロセスを読み手と共有しておくことが必要だ

p219.「…だから、自分の考えで、人と関わっていきたい」と自分で言って、自分で「そうか!」と思った。「自分の考えで」、人と関わりたい。自分の中からわきあがってくる印象、想い、考え。それを通して、話し、行動し、人と関わる

p223.最近、経営・人気があまりかんばしくない、団体とか、商品とかの担当者の話を続けて聞く機会があった。共通して言えることは、彼らが、一般の人がどう思っているか、ということに驚くほど関心がない、知る方法を持たない、ということだった。それどころか、一般人に話を聞くということを明らかにバカにしている人もいた。では、彼らが、何をたよりにリニューアルをしようとしているか、というと、自分たちのカンのみだ。結果、かわりばえせずに、すべっていく

p228.言葉によって表現されている問題は、あなたと相手との大きな関係の中では、あくまで「部分」にすぎない。背景には常に相手が、あなたに思う「なんかあなただ」という全体があって、言葉で語られているのは、言葉にして確認しなければならない必要か問題のある、ごく一部のことだ

p229.「いまさら言うまでもないことだ」とか、「照れるから」と言って逃げず、恐れず、私は、日ごろあなたをこう見ている、あなたの仕事を私はこう受け取っている、という根本思想をコミュニケーションのはじめのところではっきりと示していこう。そうすれば、大切な人とのコミュニケーションは、もっとずっとブレなく、スムーズになっていくはずだ

p235.常に読み手にとって心地よいことを書いていけば、相手に嫌われないが、それでは書く意味を見失い、読む側の興味も失せてしまう。相手という個性に、自分として向き合ったとき、自分の中に湧き起こってくるものがある。その相手だからこそ言いたいこと。自分にしか言えないこと。そういうものに、私たちはもっと忠実になっていいと思う



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