アーノルド・ベネット「自分の時間」三笠書房

公開日: : 最終更新日:2012/02/10 書評(書籍), 渡部昇一



活字の量自体はそれほど多くない。夕食後寝るまでの間に読み終えてしまう、というのはそのとおりだろう。しかし、内容は簡潔だけど濃い。渡部昇一氏が訳と解説を行っているから買ったのだと思うが、これまで長く積読状態にあったものだ

氏が勧めるだけあって、内容が面白くてためになる自己啓発本である



p21.それなら私もきっぱりと言おう。「日常の仕事でそんなに疲れるなら、それはあなたの生活のバランスが悪いのであって、改めるべきだ」と

p22.簡単に言えば、朝早く起きるということである。早起きが睡眠不足を招くとは私には思えない。私の感じとしては、睡眠というのはある程度は習慣の問題であり、怠惰な生き方にこそ問題があるのだという気がする。そして、この確信は年ごとに深まってくる

p30.朝、目覚める。すると、不思議なことに、あなたの財布にはまっさらな24時間がぎっしりと詰まっているのだ。そして、それがすべてあなたのものなのだ。これこそ最も貴重な財産である。誰も時間をあなたから取り上げることはできないし、盗むこともできない。そして、あなたより多く与えられている者も少なく与えられている者もいないのだ

p40.ブリックストンを出発したというだけでも、なにがしかの意味があるのだ。たいていの人は、ブリックストンを離れたことすらないのだ。旅行会社で、ガイド付き旅行の値段を聞いたことさえない。そして、そうしないのは、時間がないからだ、と自分に向かって言い訳するのだ

p48.なに、ただ始めさえすればいいのだ。なにもことさら魔法のような始め方があるわけではない。プールの端に立って冷たい水の中に飛び込もうとしている人から、「どうやって飛び込んだらいいのでしょうか」と尋ねられたら、こう答えるしかないだろう。「ただ飛び込めばいいのです。気をひきしめて、飛び込みなさい」

p58.大多数の人たちが知らなければならない重要なことのひとつは、知的な能力は、激しい労働にも耐えうるということである。手や足のような疲れ方はしない。必要とするのは、睡眠は別として、知的対象の変化だけである―休息ではない

p63.新聞が素早く作られるのは、素早く読んでもらうためである。私は一日のスケジュールの中に新聞を読むための時間など設けていない。ちょっとした空き時間に読むことにしている。しかし、確実に読んでいる

p78.ささやかなことから始めよと私が心から忠告するのは、私自身、これがいかに難しいことであるかを知っているからである。これをやろうとして失敗すると、いかに屈辱的な思いをしなければならないかを知っているからである。自尊心は大事に守らなければならない

p83.家を出たらひとつのことに思考を集中してみよう(初めはそれが何であってもかまわない)

p96.自分をしっかり見つめることは必要である。一人で帰る通勤電車の中などは、なかなかこれに適しているのではないかと思う。一所懸命その日の糧を稼いだ後などは、自然と自分をふり返って考えてみようという気になるものである

p117.小説は「思考を要する読書」には入らない。わるい小説は当然読むべきでないし、いい小説というのは、一所懸命に頭を使って読まなければ中身がわからないようなものではないからである

p124.よく読むと同時によく考えよ。自分が読んだものについて、少なくとも45分くらいかけて、注意深く、しんどくなるくらいに反芻してみないなら(最初のうちはおそろしく退屈なものだが)、せっかくの夜の90分も無駄に費やされたのだといっても言い過ぎではない

p131.時間を1分も無駄にせず、すべて活用しようとする時、肝に銘じておくべきことは、活用するのは自分の時間なのであって、他人の時間ではないということだ

p133.自分の計画したことに当然のこととして重きをおくこと、つまり、尊重しすぎることもなく、おろそかにすることもなく、バランスを心得て生きることは、経験のない者が考えるほど簡単なことではない



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