水沢潤「日本一の大投資家が語る大貧民ゲームの勝ち抜け方」自由国民社

公開日: : 最終更新日:2011/09/03 書評(書籍)

この本の初版は2003年11月5日である。この日のTOPIXは1,063.31。日経平均は10,837.54。だいぶ古い本になってしまった。最近の株価の状態が、当時株を買った竹田さんの正しさを証明している。そして株価の動き以外の部分がこの本の大事なところだ 実は発売当時に一度書店で見かけて、この本をその場の立ち読みで一気に読了してしまったことがある。その後も今回のように何度か読み返している。一見びっくりするようなことで、それでも正しいことを、素朴に丁寧に説明している竹田さんの話は味わい深い 竹田さんの投資スタンスは、私淑するさわかみ投信の澤上篤人氏のそれによく似ている 純金メダルの話も心打たれる。好きな話だ。恥ずかしいことだが、9年位前から、自分も金持ちになったら、国政選挙の投票率が上がるように、投票後の門外で紅白饅頭を配るということを大々的にやってみたいと思ったりしている 最後の章は筆者によるCD-ROM版の会社四季報を使った投資銘柄のスクリーニング方法が書かれている。まあ、それは読まなくてもよい。大事なのは竹田さんから聞き書きした部分だ
p6.今では数多くの上場企業の大株主として登場している竹田さんだが、1998年までは、四季報のどこにも、竹田さんの名前は見当たらなかったのだ p7.株が、株であるというだけで叩き売られている今ほど、投資に適した時はないと竹田さんは言う。「もしも倒産すると紙屑になるから株は怖い」というのは、「人食い鮫が怖いから海岸には近づかない」と言うのと同じぐらい馬鹿げている。だが世の中の多くの人たちは、人食い鮫とイワシの区別を勉強するよりも、魚はすべて怖いものと決めてかかる方が楽なのだろう。知らない人、勉強が嫌いな人が何と思おうが、構わないではないか p13.竹田さんは新顔の暴走族を見かけると、満面の笑顔で「よう、腹減ってるか?」と気軽に声を掛けるのだ。「ごちそうしてやるわ。おれはここのオーナーなんだ」と言うと、暴走族の少年の中には、オーナーという言葉が分からない者もいる。「オーナーってのは、社主のことだ。社長よりも偉いんだよ。何でも欲しい物、食わしてやるから、ここの散らかしたのを掃除したら、食堂においで」と答える。 p14.「おまえには、おれは刺せないよ。おれはものすごくツキにツイてる人間なんだから。ツイてる人間は指されやしない。それより、おまえもツイてる人間と出会ってしまったんだから、今日からおまえにもツキが回って来たんだよ」なんだかよく分かったような分からないような理屈だ。そして竹田さんは言う。「おれの話を一時間聞けや。一人千円ずつやるぞ。時給千円だ。悪くないだろう」 p17.「大金持ちになりたいなあ…」と誰かが言う。失笑が漏れる。そこで竹田さんは言う。「おれは金持ちになる方法は全部知ってるよ。この金も、ゼロからみんな自分で稼いだものなんだから。きみらも金持ちになる方法を知りたいかい?」少年たちの目が輝き始める。そんな話は聞いたこともない。親も先生も誰一人、これまで教えてくれなかった話だ。しかも目の前にニコニコ笑顔を浮かべながら座っているオジサンは、この大きなボーリング場の、よくわからないけど、とにかく社長よりも偉い何とかっていう人なのだから、たしかに大金持ちなのだろう。「知りたい!」 p18.「違うんだ。親が千円くれるのは、子供が喜ぶ顔を見たいと思うからなんだよ。だから、たとえ千円しか貰えなくても、本当は五千円欲しいなんて気持ちを絶対に顔には出さず、心から喜んでごらん。心からありがとうって言ってごらん。飛び回ってごらん。親だってね、子供が喜んでくれるなら、お金を出したいと本当は思っているんだから。千円やるだけでこんなに喜んでくれるのなら、この子は五千円欲しいと言ってたのだから、最初から五千円あげれば良かったな、悪いことをしたな、と親は感じはじめるから。そうなれば、きっと次にはすぐに五千円貰えるようになるよ」これで分かる子供もいる p20.「大人になって世の中に出たら、客を殴って金を出させる商売なんて、ないんだよ。お客さんは嬉しい気持ちになりたいし、わくわくしたいからお金を払うんだ。見てごらん。このボーリング場に来ているお客さんを。だれ一人として、ムリヤリ引っ張って来られた人なんかいないだろう。みんな、ああ楽しかったと思って代金を払って行くんだよ。お金っていうのはね、喜びの代金なんだよ。品物を売る商売でも、みんな同じだ。お店で品物を買ったとしても、お客さんがお金を払ったのは品物の代金だからではなく、品物を買って満足して、ああ嬉しいなという喜びを手にするために、本当はお客さんはお金を払ったんだよ」 p23.実際に、ある会社に対して、竹田さんは「株主感謝賞」という賞状を送ったことがある。年間30円の配当を出してくれてありがとう。株主として感謝を示すために賞状を贈ります、というのである。副賞として、純金の2オンス(約62グラム)の記念メダルも贈ったという。その会社でも、まったく前代未聞だと驚かれたそうだ p50.実はぼくはあの四つ角の土地を買ったんですが、できればおたくの土地と交換してもらえないでしょうかと頼んだのです。土地の広さは同じぐらいでも、道路条件は圧倒的に角地の方が良く、商売をするなら絶好の立地であることぐらいは、大人なら誰でも瞬時に判断できます。だけど、ぼくが交換条件に用意した土地が好条件であるなどという点は、ぼくの側からは口にもそぶりにも、いっさい出さないように気をつかいました p94.目的の区画の買収については、申し出に応えてくれた地主もいたが、渋る地主も当然いる。そういう地主には、もとの面積の5割増しで、新たに買ったばかりの田んぼとの交換を持ちかけたのだ p103.多くのボーリング場が文字通り潰れてしまうと、竹田さんのボーリング場には、少ないけれど行き場を失ってしまった熱狂的なボーリングのファンが自然と集まり、かつてほどではないにしても、徐々に客足が戻ってきたのである p109.不況のまっただ中ということで、交渉の結果、ついに竹田さんは破格の割引を獲得することができたのだった。建値の15%。すなわち定価から85%引きという大幅な値引きである。テレビの大量CMの威力は爆発的だった p115.竹田さんは筆頭株主になってから三十数年間、まったく売ったり買ったりせず、ずーっとCBCの株式を安定的に所有し続けてきたのである。この事実こそ、竹田さんという投資家の投資姿勢をなにより雄弁に証明するものではないだろうか p131.「若かった時は、資金という資金は全部、自分の会社に再投資し、仕事を成長させるために使いました。これがもっとも効率的なお金の使い方だったと今でも信じています。しかしぼくも年を取ったので、今では人様の会社に投資させていただいているというわけです」 p133.「山一証券の個人筆頭株主は、ぼくだったんですよ。だけど、会社からは、株主になろうが潰れようが、ついに何の挨拶もありませんでしたね」 p134.「頑張っている会社を応援したいと思ったのです。大旦那が番頭にお金を出してあげて、この金で自由に仕事をしなさい、金を返す心配なんかしなくていいよというのが株式会社というものの本来の姿でしょう」 p141.「売上はあるのだから、利益だって捻出しようと思えば、いくらでも捻出することはできるはずですよね。経費を一律4%ずつ削るだけでも、4%の利益は捻出できるはずでしょう。この場で、来期の復配を約束してくれませんか、と。そう言うと、中にはモジモジとする経営者もいます。いやぁ、実はいろいろとありましてねぇ、と言った経営者もいました。ぼくはその人にだけは言いました。いろいろあるような人には期待しません。いろいろがない人に任せればいかがですか。そうしたら、ほんとうにその人は辞めてくれました。そして新しい社長は、無配予想を変更して有配にしてくれました。なんと言っても社長というのは利益を上げるために存在する人なのですから、いつまでたっても赤字赤字というのでは、話は通らないのです」総会屋問題をマスコミが取り上げるなかで、物を言う株主というのは絶対悪だという宣伝が、国民全体に刷り込まれてしまったのではないだろうか。そしてそれをいちばん喜んでいるのは「官」であると竹田さんは見ている。「官にとっては、日本国の全部を自分たちだけで仕切りたいという強い欲求があるわけです。そのためには、自分の頭で物事を考える「自立した旦那」という存在が、ジャマでジャマで仕方がないのでしょうね。そもそも今の日本経済の4割は、なんらかの意味で官の支配下にあるとも言われていますから、もう大部分、官の野望は成功しているとも言えるのですけどね」 p144.「アメリカのブッシュ現大統領が、就任演説でたいへん重要なことを言っています。福祉を民間が主導してこそ民主主義である、と言い切ったのです。資本主義、民主主義の総本山の大統領が、政府は黒子に過ぎないのだと言い切ったところが重要だと思うのです p145.福祉なんて、相手が政府なら、施してもらって当たり前だとみんなが思います。感謝がない。もっとよこせと不満ばかり言うようになります。政府は審判に戻るべきです。審判がプレーヤーを兼任するなんて、異常な姿です。福祉は民間がやるべき民間の仕事であるはずです。ぼくは、自由市場を相手にしている人は信用するんです。市場で生きている人が市場に見放されたら、自分を変えるしか方法はないからです。お客が喜べるものでないと存在できないからです。だけど税金を食って生きている人たちは、自分を変えるという発想がまったく欠落しています。自分を変えずに回りを変えようとばかりする。その結果が積もり積もって700兆円の借金の山になったのでしょう」 p146.竹田さんは、けっして株を買い煽らない。みずから相場を作ることもしない。仕手筋とは根本的に違うのだ。目を付けている株が安くなれば買い増しするし、買えば何年でも持ち続けるのが大旦那のやり方なのだ。「村の庄屋さんや名主さんは、いちいち土地の値動きなんか気にしないでしょう。株主というのは、現代の名主や庄屋だと思うのです。株の1株1株が、1枚1枚の田んぼです。庄屋さんや名主さんは、今年の天候や作柄には興味があるけど、土地の値動きなんかには興味がないのと同じように、真の投資家は株価の目先の小動きに関心を持って右往左往するべきではありません。株主にとっては、会社が今年、儲けを産むのか赤字なのかどうか、つまりは年貢が上がるのか配当金がどうなるのかという点にこそ、興味を持つべきなのです。もちろん誰かがお金に困って田んぼを手放そうと思い、信じられない安値で売りに出しているなら、誰かが買い取らねばなりません。今の日本が、まさにそういう状況です。だからぼくはいまでも安く叩かれた株を、安値で買い進んでいます。上がってよし、下がってよしの株価かな、と、ぼくはいつも思っています。もちろん株価が上がれば単純に嬉しいけど、下がってくれれば買い増しをすることができるから嬉しいでしょう p150.これまで政府は、ぼくから取り立てた税金を、実にヘタクソに使ってきたのですが、これからは、お前自身が自分で使えと言って投げ返してきたのだと、ぼくは考えています。政府はぼくに、減税した税金の使い方について挑戦してきたのです。そうであるなら、ぼくは軽くなった税金、毎年およそ1億円分を、政府が使うよりもずっと効率的に世の中に還元しなければいけないな、と考えています。これは政府の挑戦なんだから、政府よりも上手に使い、世の中を明るくしなければなりません」実はここ数年、竹田さんは、その年の2月4日(竹田さんの誕生日)に生まれた日本中の赤ちゃんに、もれなく純金の金メダルを贈りつづけている。生年月日を証明する住民票を添えて申し込むだけで、かならず純金メダルが貰えるのだ。言うまでもないが、もちろん無料である。2月4日に日本国民として産まれたというだけで、ずっしりと重たい純金メダルが貰えるのだとしたら、子供たちにとっても、これほどラッキーで幸せなことはないだろう。自分は産まれた時からツイている、と子供が感じてくれたら、きっと子供も親も幸せになってくれるのではないかと竹田さんは考えたのだ。そうすれば、きっとよい子に育ってくれるだろう p151.これをきっかけに、日本中に次々に旦那が出現し、幸せの花のタネが蒔かれることを、このケタはずれの”花咲じいさん”は本気で願っているのだ。「365人の大旦那が現れて、365日それぞれにアイディアを凝らした”花咲かせ”を実施してくれれば、日本はどんなに明るくなることでしょう
20061221005600
日本一の大投資家が語る大貧民ゲームの勝ち抜け方
posted with 簡単リンクくん at 2006.12.21
水沢 潤著
自由国民社 (2003.11)
通常2-3日以内に発送します。

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