三浦展「下流社会マーケティング」日本実業出版社

公開日: : 最終更新日:2011/09/07 書評(書籍)

ベストセラーになった”三浦展「下流社会」光文社新書“の第2弾か。この本のあとにいろいろなところから講演を頼まれて、そのマーケティングへの応用の部分を、そのままにまとめたもの、ということだ。所要時間は1時間程度か やっぱり、こういう本は、自分や自分の周りの人間をクラス分けして楽しむところにあるのだな、と思う。人間、嫉妬と自惚れは克服できないものだ、と何かの本で読んだことがあるが、そういう心の動きを満足させてくれるから売れるのだと思う 自分がどの世代や階層に属するかを認識しやすいから面白い、ということもある。「オヤジギャル」「なんとなくクリスタル」など、昔のことを思い起こさせてくれる。国会議員が脳死だけに大騒ぎで議員立法に頑張るように、自分の知識経験があり、また分かりやすいから、理解も進み、どんどん深まっていく
p29.団塊の世代が14インチのテレビを36インチに買い換えたような大きな消費の伸びは期待できません。なにしろ、最初から30インチを超えるテレビをもっているわけですから。それが、25年後には100インチになるとは考えにくいでしょう
そうは思わないけどな。25年前にいまの生活を想像することはできなかったと思うし、25年後には居住空間に劇的な改善がなされているかもしれない
p38.「総シングル消費」では、何が大きなテーマになるでしょうか? それは、自分の問題は自分で解決しなければいけないということです。たとえばファミリー消費が主流の時代には、家族の誰かが風邪をひくと「まあ大変!」とお母さんが薬を差し出します。しかし、こういうイメージが通用しない時代が訪れようとしているのです p54.「一億総中流」と言われた時代は、「中」に向けた商品によって、「上」や「下」も取り込むことが可能でした。現代は、「上」に向けてものを作ると「中」がついて来る。一方で「下」に向けてものを作っても「中」がついて来る。でも「中」に向けてものを作ると「上」も「下」もついて来ない
なかなか面白い分析だと思った。いえてる
p60.新宿伊勢丹では、1階の化粧品売り場には、何年か前からボーテ・コンシェルジュ、美に関するコンシェルジュが配置されました。一見、こういうやり方は、化粧品メーカーにとってありがたくない方法のように見えます。でも、お客様により高い満足を与えることになれば、化粧品を買うときは伊勢丹に行こうという人が増えます。その結果として、結局は各メーカーの売上げも上がるわけです p63.ロンドンとパリを結ぶ新幹線ですと、ワインやシャンパン付きでちゃんとした食事ができます。日本の新幹線は今まであまりにビジネスマン向けでしたが、シニアのレジャー需要が増えるこれからを考えると、ヨーロッパのようなサービスがあってもよいでしょう。それからビジネスマン向けには、パソコンなどを使うための電源が各シートにあるとか、無線LANで通信できるとうれしいですね。国際線ビジネスクラスではできますから
これ、最近の報道では、飛行機内のパソコン通信サービスは軒並み廃止されていると思う。結局、機内でのニーズはなかったとかなんとか。でも、特急くらいまでの車内サービスの向上は賛成だな
p72.このように、出生数の推移と、高度経済成長という社会経済的な現象から「団塊世代」「新人類世代」「真性団塊ジュニア世代」の3つの世代が定義できるわけですが、3つの世代の中間部分を見てみるとそれぞれ48年、63年、78年で、15年間隔になります。そのことは、15年間隔になります。そのことは、15年周期で社会が大きく変化してきたこととも深く関係しています p80.このようにニューファミリークラスタの夫は、妻に片思いで依存しているといえるでしょう。また彼らは仕事人間で、勝ち組としてずっと威張って生きてきたため、当然妻にも威張ってしまうのでしょう。一方妻は専業主婦として、夫に命令される生活に疲れています。旅行くらいは気のおけない友達と一緒に行って、のんびりしたいと考えるのも当然でしょう p102.これらの雑誌を出版している光文社は、女子大生になったら『JJ』、OLになったら『CLASSY.』、結婚したら『VERY』、子どもが成長して手がかからなくなったら『STORY』という、まるで出世魚のように雑誌を乗り換えていくシステムを作り上げました。そのシステムを担ってきたのが、新人類世代の女性たちだったのです p110.このように、新人類世代は、高度経済成長期に進んだ中流化の流れの中で生まれ育ち、物質的な豊かさを求めるという特性をもっています。今でも『VERY』、『STORY』という雑誌を開くと、車は必ず外車で、結婚していて子どももいるのにファッションは若いOLのようです。そして時には、子どもを旦那さんか親にあずけて、六本木や銀座居のバーに出かけたりする。あるいは自宅でもお気に入りの食器をそろえて、しばしばパーティを開いたりする。そういう、とても見栄っ張りで、人に自分の暮らしを見てもらいたいという気持ちの強い人たちだといえます p116.真性団塊ジュニア世代のベースにあるのは、現状肯定志向です。働く意欲、学習意欲、消費意欲、総じて生きる意欲が低い人たちです。つまり私が『下流社会』の中で言いたかった、「下流化」が顕著に現れている世代だといえます p124.ニセ団塊ジュニアには特筆すべき特徴があります。非常に慎重で、堅実で、目立つことを好まないということです。彼らは消費に関しても慎重で、比較的地味で目立たないけれど、上質で上品なもの、長く使っても飽きないシンプルでベーシックなものを好みます。和み、癒しといった言葉も、ニセ団塊ジュニア世代によって広く使われるようになったと思います p137.ところで、電通が出している「電通報」という新聞に私が連載していたとき、このアテハカの話を書こうとしたら、電通がアテハカの宣伝を担当していることもあって「こういう記事は書かないでくれ」と言われました。こちらも「自由に書けないなら辞める」と連載を中止しました。このことからわかるのは、広告代理店はクライアントに文句は言えないということです。たとえクライアントが間違ったことをしていても、広告代理店は「それは違いますよ」とは言えない。「間違っているのに」と思いつつもそれを口に出さずに、どう売ろうかと考えるのが代理店の仕事だからです。しかし、明らかに売れないとわかっている商品を一生懸命宣伝する仕事は、むなしいはずです。それでも、代理店に本当のことは言えない。同じようなことはシンクタンクにもいえます。日本のシンクタンクも、クライアントの言いなりです。ということは、広告代理店のレベルはクライアントのレベルに比例するということです。クライアントがアホならば、代理店の担当者もアホになるしかないのです
この部分はプロフェッショナルも大したことはない、利益の前には、能力を発揮できずに跪くという実例の一つなので、当然にメモだ
p144.ニセ団塊ジュニア世代のエントリーカーとして初代キューブが発売されたわけです。当初は、日産の内部でさえ「なんだ、このつまらないデザインは」という意見があったようです。ところが、実際に販売されると大ヒットしました p145.彼女が「必ずこういう車が売れる」と提案しても、他のスタッフは理解してくれませんでした。そこで、原宿辺りを連れ回して、若者に人気の店を見せたり、こういう色が流行っていると説明したりして、やっと納得させたらしいです p146.もしキューブやラパンが売れなかったら、2度と私にスズキから仕事は来ないわけですから、私のようなフリーの人間というのは、真剣に仕事をしているわけです
この部分も、上述の引用部分と本質的には同じなのだが。意気込みが感じられてよし
p150.ところが新人類世代は30代の子育て期に入っていました。すると、スポーティなクルマが欲しいと思っても、現実にはミニバンのようなファミリー向けのクルマを買わざるを得ない。結果、ミニバンであり、かつスポーティなスタイルのオデッセイやエスティマを買うことになるのです p154.日産「キューブ」を好む人と、トヨタ「ウィッシュ」を好む人とを分析すると大変興味深い結果が出ます。具体的には、キューブを好む人は、生活水準意識は低いけれども生活満足度が高い男性が多い。一方、ウィッシュは、生活水準意識は高いけれども生活満足度が低い人が多くなっています p158.無印良品のファクスに何をプラスしたのか? 「すぐに壊れるのは嫌だよね」「もう30過ぎだし、もうちょっと大人っぽいのがいいよね」「もうちょっと高級感があったほうがいいよね」といったニーズがあるに違いないと考え、新しい価値を追加していったわけです。それが「無印プラス」という発想です
この点、なるほどねえ
p160.無印良品は、マイナスの思想の商品です。無駄なデザイン、無駄な飾り、そういうものを徹底的には排除したミニマム(最低限)なデザインになっています。そのため、そういうデザインが好きな人には非常に好ましいわけです。たとえば「ボーズ」のオーディオシステム「ウェーブオーディオシステム」も、私は無印プラスだと思います p167.人間は、自分が知っていることしか見えないからです。つまり、1人で街を歩いて「面白いものを発見した!」と思っても、実は、それはしばしばすでに自分が知っていることを確認しているだけなのです。ということは、自分のそれまでの見方や価値観を補強するだけで、新しい視点や新たなアイデアのネタを手に入れることはできないのです。本当の意味で新たな発見をするためには、「今流行っているものはこれです」とか「ここが人気の秘密です」と教えてくれるガイドがやはり必要です。ある程度、街を見るポイントを頭に入れない限り、いきなり1人で街を歩いてもあまり成果は上がりません
20070108214100
下流社会マーケティング
posted with 簡単リンクくん at 2007. 1. 8
三浦 展著 日本実業出版社 (2006.9) 通常24時間以内に発送します。

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  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
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