梅沢正邦「ミタルvs.王子製紙 2つのTOB 2つの経営者像」週刊東洋経済2006.11.18

公開日: : 最終更新日:2012/02/10 書評(雑誌), 週刊東洋経済

気になった記事。M&A、ひいては経営全般に対する2人の経営者のスタンスの違い あきらめない。成功するまで続けることが成功するということだ。人事を尽くして天命を待つ。天は自ら助くる者を助く
・王子製紙のTOBを退けた北越製紙が、日本製紙連合会の鈴木正一郎会長(王子製紙会長)に辞任要求を突き付けている ・言うまでもなく、TOBは合法的な経済行為だ。にもかかわらず、衆目監視の中、意趣返しに及ぶあたり、まるで駄々っ子である。日本の経営者はここまで発育不全だったのか ・アルセロールCEOのギー・ドレは口を極めてミタルをののしった。「血も涙もない乗っ取り屋。戦略も実績も何もない」。ドレが執拗に攻撃したのは、ラクシュミ・ミタル会長がインド出身である点だ。「あそこはインド人だらけ」「モンキー・マネー」とまで言った。サルがカネを背負ってやってきた、「欧州的価値観」がわからないヤツやに会社を引き渡せるか ・ミタルはあきらめなかった。TOB価格を大幅に引き上げ、合併新会社の社名はアルセロールを先にする「アルセロール・ミタル」とし、アルセロールの経営陣の身の安泰も保証。譲れるところは譲り、そして、相手の失策をじっくり待ったのだ ・是が非でもセベルスターリとの合体を成立させ、ミタルのTOBを退けたかったのだろう。だからと言って、ルールまで変えたのでは、「欧州的価値観」が泣こうというものだ。ミタルはそこを攻めまくった。欧米メディアにその非を訴え、アルセロールの株主総会への関心が一気に高まった。アルセロールは自滅した。しかし、その自滅を引き出したのは、ミタルの5ヶ月にわたる、あきらめない戦いである。ひるがえって、わが王子はTOB価格を引き上げるでもなく、三菱商事への第三者増資に法的手段を取るともしなかった。ただ、相手が自分の威光の前にひれ伏すことを期待していたとしか思えない対応だった ・同じ「論理」に突き動かされながら、あきらめないミタルと簡単にあきらめた王子。違いは経営者の「出自」と「資質」に発している。ミタルはインドネシアの小さな電炉工場から出発し、トリニダードトバゴやカザフスタンの国営製鉄所の再建などいくつもの修羅場をくぐり抜け、世界一にのし上がった。ミタルにとって、製鉄産業の近未来は、自分と一族の運命そのものである ・世界経済の大再編期に主役を張れるのは、サラリーマン経営者ではあるまい。ミタルと王子のコントラストを見るにつけ、日本経済の先行き不安は、「経営者資源」の不安である
200701100027

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