母里啓子監修「今年はどうする? インフルエンザ」ジャパンマシニスト

公開日: : 最終更新日:2011/09/03 書評(書籍)

ああ、いったいここ数年の自分の中の熱狂はなんだったのか。ご説ご尤も。このまま気が変わらなければ、来年からはインフルエンザの予防接種は受けないことになるのだろうと思う
p15.(母里)インフルエンザが流行している時期に病院へ行くのは、愚の骨頂なんです。別の型のインフルエンザにうるちにいくようなもの。インフルエンザにかかったら、家の中で寝ているのがいちばんです p20.(母里)激しく流行するのは、大変異を起こしたときだから、なおさら効かない。だけど、そんな大変異は歴史の中で何度もあったはずです。それが自然なのだということ。「スペインかぜ」(1918年)や「アジアかぜ」(1957年)がその例だけど、現在、私たちが暮らす日本では、栄養状態や衛生状態が昔とはちがっているでしょう。だから、それをもって「インフルエンザはこわい」としないでほしい p25.(母里)昔は医者のほうも、「放っておいても治るけど、いちおう薬は出しておきましょう」という人が多かった。ところが、こどもの数がどんどん少なくなってきたから、万が一のことがあると大問題になる。だから、医者のほうも防衛手段として、こわいことを並びたてておどして、薬も渡し、「私はいうべきことはいったし、やるべきことはやりましたよ」というところに逃げるようになった。医者が「ほうっておいても治る」とはいえない世の中になってきたんです p30.(山本)実は以前から指摘されていたことですが、インフルエンザ関連脳症の死亡率は、ジクロフェナクナトリウム(商品名はポンタールやボルタレンなど)などの非ステロイド系抗炎症剤(解熱剤。NSAIDs)が使われたときに高くなるということがわかりました p32.(山本)比較的安全ではないかということでアセトアミノフェンが使用されているのですが、本来ならば解熱剤が必要ないことは、多くの医者が知っていることではないでしょうか。にもかかわらず解熱剤を出すのは、「熱が高いと苦しそうでこどもがかわいそうだ」といわれれば出さざるをえないからです p34.(山本)厚労省の研究班は、「インフルエンザにかかった人の脳症は阻止できないが、ワクチンによってインフルエンザを予防できれば、脳炎・脳症を防ぐことができる」といい方を変えています。しかし、これにも疫学的な裏づけはまったくありません。むしろ最近では、インフルエンザワクチンには「効果がない」という研究報告がいろいろと発表されています。その中でももっともインパクトのあったのが「高齢者の超過死亡を減らせない」という報告です p41.(浜)インフルエンザにかぎらずふつうのかぜや水ぼうそうで熱が出るときには、その熱は、体がウイルスと闘っている証拠なのです。実際、熱だけでもウイルスや細菌はやっつけられます。発熱は、ウイルスや細菌など外敵の攻撃から、体を守る大切な体のしくみ(防御機能)のひとつです。こどもの発熱はほとんどがウイルス感染によるかぜのためです。ウイルス感染のかぜのときの発熱は1~2日、長くても5日くらいでおさまりますから、解熱剤を使う必要はないことがほとんどです。だから、基本的には熱を下げないほうが、早く治るのです p45.(浜)大人用の市販薬の鎮痛解熱剤としてイブプロフェンやアスピリンがまだ使われています。それに医療機関では注射や坐剤で強力な非ステロイド抗炎症剤がいまだに大人用に処方されています。使用が規制されたアスピリンやメフェナム酸、ジクロフェナク以外に非ステロイド抗炎症剤の坐剤や解熱剤注射(メチロン)などを使われて消化管出血や脳症など多臓器不全を起こして死亡した21歳の男性がいます p48.(浜)結局、「タミフルが多少効く子にはタミフルは必要がなく、本来効いてほしい子には効かない」つまり、「タミフルは小児には使い道はない」のです p51.(浜)「体温の低下とともに同時に走りはじめ、窓から飛び降りようとした。母親が気づき抱きとめた」という例が厚労省に「幻覚」の例として報告されています。熱せん妄なら高熱時に起きますが、体温が下がってからの異常行動です。タミフルには体温低下作用もありますから、これなどはまさしく、タミフルによる害反応といえるでしょう p54.(浜)こうしたデメリットを考えると、かぜのときは市販薬もすすめられません。熱とともに、鼻水や頭痛、咳などがあり、体の節ぶしが痛くだるい感じがするといったような症状がある場合には、まずインフルエンザをふくめたかぜ、つまりはウイルス感染症と考え、薬は必要ありません。むしろ、悪寒とふるえがして熱が出て脈が1分間90以上あり、呼吸も1分間20回以上もしているようで、ふつうのかぜのような鼻水や頭痛、咳、体の節ぶりが痛くだるい感じがするなどの症状がない場合、注意が必要です。また、黄疸や、背中から腰にかけてを軽く「トン」とたたいただけでとても痛がる場合には、別の病気を考える必要があるので、かかりつけの小児科(できるだけ薬は使わない小児科医)を受診してください p65.(毛利)入浴は、よほどぐったりしていないかぎり、たとえ熱があっても、してもかまいません。本人がいやがるのに入れるのはどうかと思いますが、本人が好きなら入れたほうがよい。入浴することで、血液の循環がよくなり、新陳代謝が促進されます。また、皮膚が温まることによって自律神経を刺激して、病気を治す力が増します。ただし、あまり長湯をさせず、さましてから着せてやるのがよいでしょう p70.(母里)介護老人保健施設などで暮らす高齢者では、本人が摂取の必要を感じていなくても、「迷惑をかけてはいけない」という思いから、多くの人がインフルエンザのワクチン接種を受けています。「周囲にうつすといけない」いう気づかいもありますし、「世話をしてくれている人に迷惑をかけては申し訳ない」という気持ちもあるようです。ひどいケースになると、ワクチンの摂取を承諾しない場合には、施設を追い出されてしまう場合も過去にはあったようです。これでは任意接種ではなく強制接種です。施設では、資金と人材が不足しています。飲みこみがうまくいかない高齢者では、口から食事をとると肺に口内雑菌が入りこみ、肺炎を起こすことがあります(高齢者の肺炎の多くは、インフルエンザではなく、こうした「嚥下性肺炎」によって起こります)。そこで、ゆっくりと食べさせてあげる介助が必要なのですが、それには人手と時間がかかるため、それらを節約するために、鼻から管を差しこんで栄養液を流しこんだり、おなかに穴をあけて胃に直接食べ物を流しこむなどといった残酷なことがおこなわれています。効かないワクチン接種に多額の公費をつぎこむのはばかげています。そんなお金があるのなら、人手を少しでも増やしたほうが、高齢者の肺炎による死亡を防げるはずです p80.(古賀)そもそも「インフルエンザワクチンは効かない」ことはわかっています。だからこそ、1994年に予防接種法が改正され、インフルエンザは予防接種法の対象疾病からはずされたのです p83.(古賀)インフルエンザにかぎらず、ワクチンは、厚労省、業界、医師という利権のトライアングルに消費者が巻きこまれてお金を払わされ、副作用のリスクにさらされているという構図です。私たちの健康とはいっさい関係のないところでワクチンは製造され、使用されているということを多くの皆さんに知っていただきたいと思います p88.(母里)ところが、新聞記者は、ピークを過ぎたのに、まだ同じペースで流行しつづけるとして、『記録的な猛威』と書いてしまいました。ニュースとしての効果を狙おうとしたんでしょうけれども、比較してはいけないデータを使っているから、こういうことが起きるんです p90.(母里)もうひとつここで注目しておいてほしいのは、この記事には『ワクチン離れ影響』という見出しがついていることです。『インフルエンザが流行しているのは、予防接種を打つ人がこれだけ減っているからだ』ということなんでしょう p92.(母里)その当時のデータを見ると、インフルエンザ流行の時期と、脳炎・脳症の患者の多い時期だってまったく一致していなかったんです。10年間のグラフを見ると、ピークの時期がずれていました p105.(近藤)マスメディアの問題は大きいんだけど、報道している人たちは悪意でやっているわけではないのね。その情報を流している役所や医者のほうが問題でしょう。マスメディアは、「薬というものは効くんだ」という一般社会の通念を体現しているに過ぎないと思う
つい数日前の日経夕刊でもインフルエンザの危険性とワクチンの有効性が書いてあって、すごくタイムリーだった。いや、一般社会の通念を体現するだけのマスメディアは存在価値がないよね
p109.(近藤)自由経済主義的な医療でやるか、統制医療的なものであるかのちがいが出ているのだと思います。イギリスやオランダなどでは家庭医をもたなきゃならない。家庭医のほうは、自分のところに登録されている人数によって収入が決まる。薬や検査とは関係ないんです。そうすると、患者がきて忙しいといやなわけですから、「かぜだったら家で寝ていなさい」ということになるんですよ。これが自由経済主義のアメリカになるとちがって、薬を使えば使うほど、検査をすればするほど収入が増える。そういう意味では日本も同じです。だから、かぜに抗生物質は効かないとわかっているのに、抗生物質を出す。医者のあいだでさかんにいわれているのは、薬を出せば診察は3分ですむけど、出さない理由を説明したら30分かかってしまう。そうやって説得したあげくが1銭もとれない。3分診療で薬を出せば薬代がとれる。じゃあ、どっちにするかといえば、答えは明らかでしょう
この辺から社会体制や経済体制の変な話になってくる。いや、説明を30分もやる必要はないように思うし、いま同時に読んでいる別の本では、アメリカの医者による、このような議論を止揚するようなやり方の紹介があった
p113.(母里)自然に直すから放っておけ、といっても通じない社会になってしまっていますね。予防接種を受けさせない親のところに、「ネグレクト」(放置)じゃないかといってきた保健所もあったそうです。ネグレクト、つまり虐待ですよ。ワクチンに否定的な親までもが、そうやって巻きこまれていくシステムになってしまっているんです p116.(母里)いまの状況を変えるには、そういう情報を発信しつづけるしかないですね。(浜)それしかない。いまやワクチンや薬のメーカーは、マスメディアを大々的に使って患者に直接、医療用の薬を宣伝しようとしています。アメリカでは医療用の薬の宣伝は合法化されていて、日本ではまた法規制があるから少しはましですけど、だけど、マスメディアを使って報道というかたちで、宣伝をしてくる。それに対抗するような情報を、われわれは発信していくしかないでしょう。(母里)「ひとりの人を長くだますことはできる。たとえばうちの妻のように。大勢の人を短期間だますことはできる。たとえば政治家のように。だけど、大勢の人を長くだますことはできない」といった人がいます。それが希望ですね
20070111235900
今年はどうする?インフルエンザ
posted with 簡単リンクくん at 2007. 1.11
母里 啓子監修
ジャパンマシニスト社 (2005.10)
通常2-3日以内に発送します。

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