山田修「タフ・ネゴシエーターの人を見抜く技術」講談社

公開日: : 最終更新日:2011/09/07 書評(書籍)

この人の書き方は凄く偉そうで、また文章もそれほどうまくないんだけど、内容的にはうなずくこと多し。掘り出し物だった
p24.英語共通テストの一つとして世界中で採用されているTOEFLテストでは、オランダがいつもトップだ(ちなみに日本は毎年最下位を争っている。北朝鮮やモンゴルがその競争相手である)
これがデータの読み方の誤りであることは“田村秀「データの罠 世論はこうしてつくられる」集英社新書”に書いてあったね
p28.中国人の本音を読むのは恐ろしく難しい。それは基本的に彼らが他人というものを信じないからだ。戦乱と政争の4000年の歴史を経てきた人たちは、慎重だし、複雑で洗練された文化の中に生きている。信じられるのは、親子夫婦、血縁、学友、同郷などの「知っている人」だけなのである。「本音をいわない民族」というのが、私が中国系の人たちにつけた称号だ。中国人とビジネスをするときには、彼らはいつも会食をまず先にしようとする。彼らにとっては、酒食を共にすることがまず、「他人でなくなる第一歩」で、とても重要な通過儀礼なのだ。しかし。第一歩を踏み出したからといって、本当の友人づき合いをしてもらうには10年かかるだろう p39.若い人の将来性を見抜くのに、私がどこに着目するかというと、「目の輝き」である。真っ直ぐこちらを見据えて、はっきりした口調で早口気味に語りかけてくるのがよい。内容が粗雑でまとまっていなくても、言葉が途切れることなく出てきてほしい。理解してもらいたがっていて、訴えかけたくって、相手の、上司の目を見据えてその目を逃させようとしない、そんな人を私は買う
この辺はそのとおりだと思ったね
p78.ビジネスマンが会社を逃げ出す理由は、私の体験から4つある。それは、次のようなものだ。①仕事のやりがい②給料を含んだ報酬③その会社での自分の将来性④人間関係 p129.イヴ・サンローラン社などの社長を歴任して、今ではインサイト・ラーニング社を創業経営している、著名なコンサルタントでもある箱田忠明氏が33歳だった私にしてくれた忠言は、「山田さん、転職するなら、縦に跳びなさい。より責任の重いほうに、より給与のいいほうに。蟹の横這い転職はだめですよ。横這い転職ではあなたの価値を下げるだけです」 p139.私は面接官側としても数百人以上の候補者を面接してきたが、今までアルバム・プレゼンテーションをやってくれた候補者が2人だけいら。私はその人たちの準備とプレゼンテーションに圧倒されたものである。これだけやってくる人たちは、その内容もすごかった。2人はとにかく面接官側に、自分たちを見抜くことをいわば強制するだけの力を持っていたといえる p143.話しかけ方も重要な要素だ。「英語なんか下手でもいいから、落ち着いて明瞭に、一人ひとりに話しかける形で」と、いうのである p153.本当に仕事ができて頭のよい人は、相手に合わせてゆっくりしゃべる。余裕があるのでゆったりした雰囲気で仕事をしている。部下が頼むといつでも話す時間を見つけられるくらいで、普段仕事をこなしている。しかも静かにさっさかとこなしてしまうので、ちょっと見にはやり手のようには見えない。人と応対するときやはり愛想がいいのだが、「目は笑っていない」と揶揄されることのないくらい、完璧に愛想がよい。つまり「本当に」やさしく見える。こんな人が、私のいう「本当の外資型やり手」なのだ
この辺もうなずくね
p154.タフ・ネゴシエーターの特徴をいくつかあげておく。交渉相手の会社の担当者に下記の特徴を見抜いたら、警戒するに越したことはない。①自分なりのシナリオを持ち、それを展開しようとしているので、プランや行動にストーリーがある。②そのシナリオから外れていくような成り行きだと、譲ることがない。③自信があるので、余裕がある。④頭がいいので相手に合わせることができる。⑤丁寧な口利きと応対をするので、へりくだった態度のように見える。そのため不注意な相手は、最初は侮ったり見下してしまうことがある。⑥専門語やカタカナ英語は避けて、相手にわかりやすく説明する。普通の会話をしているような調子になるので相手も対話に溶け込める。⑦細かな数字で煙に巻くことをしない。数量的傾向を大きくとらえ説明するので、相手もシナリオを簡単に共有できる。⑧ミーティングの仕切りがうまく、それをするのに強引さを感じさせない。⑨相手への利点を挙げつつ、自分のほうに都合のよい方向に落としてしまう。⑩愛想がよく、また次の会談を持とうとする気を起こさせる
面白いね。使える分析だ
p160.能力と同じように、人の性格形成にいちばん影響を与えるのは、じつはその人が所属する会社である p168.私の知っているアメリカの心理学の教授によると、「カウンセラーは、けっして自分および自分の関係者の心理分析をしてはならない」そうである。偏見や願望が入るので客観的な分析が望めないからだそうだ。まして、心理学の専門家でない私たちが「正しく自分を見抜く」試みをすることは難しいことだろう。そこで私のアドバイスは、「よいメンターに見抜いてもらいなさい」というものだ p170.前述の、インサイト・ラーニング社社長である箱田忠明氏は、私にもうひとつためになるアドバイスをくれた。それは、「会社に忠誠を尽くすな」というものだった。このアドバイスは続きがあって、それは、「その代わり、自分の仕事に忠誠を尽くせ」というものだった p172.「現在の会社での業績、実績は次の会社で評価してもらう」これが、少し気取った私の矜持となってきた。こんな哲学を持つようになった私が、部下の人たちにときどきするアドバイスは、「会社にはいつも貸しをつくっておけ」というものだ。簡単にいえば、「もらっている給料以上に働け」というものだ p179.能力や実力の角度を大きく上げるには、一定期間に集中した努力や時間の投入をすることが必要だ。そんなまとまった時間は、普通は独身時代にしかつくれない。結婚して、特に子供ができれば好きなように勉強したり、あるいは思うようにビジネス・ライフを構築できにくくなるものだ。実際、私の場合も子供に恵まれなかったので、私が好き勝手なことができたという面がある
これは微妙だね。子供は立身の妨げになるとは。お釈迦様は自分の子をラーフラと名づけたってね
p193.同期意識などは、私にいわせれば、傷のなめ合いの世界でしかない。同期の連中との横のつながりなどに気を使う暇があったら、それより真正面から自分の仕事に向かったほうがよい。「仕事に忠誠を尽くせ」、である
完全に同意だね
p194.「着任半年間が勝負だ」これが、私が外資族の人たちに与えているアドバイスだ。半年間わき目もふらずにがむしゃらに働いて、初期の実績をつくってしまうことだ。こんなときにも、同僚の思惑など気にしていられない。それから、特に若い頃は協調などに気を使うことなく、「仕事を中心に据えた正論」を会社の中で真正面から吐き続けることである。そのためにぶつかることを恐れてはならない。重要なことは、結果を出し、貢献を実現していくことだ。そのための摩擦なら、会社はそれを評価するものだ。問題は結果なのだ。それ以外にビジネス社会になにがあるというのか p200.私は、この2年間、部下と理由のないランチに出たことは1回しかない。それも、新入りの部長が私のそんなポリシーを知らずに誘ってくれたので、仕方なく応じたときだけだ。帰りに誰かを誘って、酒を飲みに出たことは一度もない。まったく、ない
理想の上司だね
p201.「酒の席は本音が出る」といって、努めてそんな場所でのコミュニケーションを取ろうとする管理職も世の中にはたくさんいる。しかしあれは私にいわせれば、自分が飲みたいだけのことだ。私は、「酒の席の議論は無効だ」という信条だ。酔っ払ってなにかまともな議論ができるはずがない p202.同じ会社の中ですべての人と同様に親しくつき合う必要はない。特に、仕事のできない人とはつき合いをしないほうがよい。交流しているうちに相手の価値観や生活スタイルに影響されてしまうからである。意識して、距離を置こう p205.中国人は知っている同士、信頼し合う同士としかビジネスを始めないので、契約書などを必要としない、結ばない。華人企業が契約書を結ぶのは、西洋企業や日本企業とであって、彼ら同士の約束は、オーナー会長同士の口約束だけですませてしまう。「知っている同士」の信義は兄弟家族と同様のものが期待され、約束を違えれば、二度と相手にされることはない。このような対人関係の中では、相手を絶対的に信頼できるのだ。また中国人のほうで、日本人と欧米人をビジネス・パートナーとして、どのように比較しているかというと、「アメリカの会社とビジネスを始めるとき、契約まではすぐにこぎつける。というより、まず契約を結ぶように求められる。それから本当のビジネス交渉が始まり、時間がかかる。一方、日本の会社とは、契約を結ぶまでとても時間がかかり、いろいろなことを交渉しなければならない。しかし、一度契約を結ぶと、あとは比較的スムースにビジネスに入っていける」というのが華人企業でよくいわれていることだ p220.1年くらいのスパンで、ビジネス・プランを作成し、「ある程度行き当たりばったりの成り行き、しかし反応が早い」、節操などなく見える経営のほうが今の時代、そしてこれからの時代は環境適応していける p224.業績が向上したときは、日本法人の社長の座は安泰なのだろうか。ところが悲しいことに、これも安泰ではないのだ。外資の会社の社長というものは、「どんな場合にでも」3年から4年で交代させられるものと思わなければならない p227.そしてもうひとつは、タクシーの運転手さんに転身する、という道だ。私は冗談をいっているのではない。現実にタクシーの運転手さんにはたくさんの元社長がいることを私は知っている。外資の会社の社長などという職業はじつはとても危うく、その後の職業の選択肢も限られている、たいへん厳しいものなのだ
最後に急展開で、このタクシー運転手の話は意外だった 20070331213000
タフ・ネゴシエーターの「人を見抜く技術」
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山田 修著 講談社 (2001.5) この本は現在お取り扱いできません。

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