杉山勝行ほか「自分ブランドの創り方」全日出版

公開日: : 最終更新日:2011/09/19 書評(書籍)



12人の先駆者からのヒアリングを紹介しながら自分ブランドを作るために必要なノウハウを教えてくれる本

この類の本は多く読んでいるので、追加的な気づきはなかったというのが正直なところ。でも復習になったし、初めて読む人にはエッセンスがまとまった良書であるといえる

読む人によっては著者の自慢めいた部分がイヤということもあるかもしれない

内容が整理されており、著者が自慢するとおりに文章も読みやすい。一読して損はない一冊である

テーマ設定が現実的。本を出すとか、大学教授になるとか、テレビに出る、とか

もっとも強く感じたことは、自分から動かないと何も始まらないということ



p25.今回、セルフブランドを構築した人々を取材してきて感じたのは、みな、コアが1つではないということである。いくるかのコアを掛け合わせることで、さらに、その人にしか持ち得ないオリジナルのコアが形成されている。それによって、よりセルフブランドはパワーを持ち得る

p33.コピーライターの糸井重里氏は「インターネット的」(PHP新書)という著書で「情報は発信するところに集まる」と書いている

p34.受付嬢が代わっても「いつもベストを着ている人が渡辺さん」と、すぐに覚えてもらえるのだそうだ。セルフブランドファクターの「ロゴ・シンボル」を非常に重要視しているのである

p49.ブランドの特徴は、次の3点に存在する。「①ブランドには約束がある。②ブランドの約束とは、そのものの機能だけでなく、購入利用した際の感情も含む。③ブランドの認知には特定の窓口がある」というこよである(「強いブランドの開発と育成」鳥井直隆監修・ダイヤモンド社より)

p60.あいおい損保の山本勝彦氏は勉強会や異業種交流会で印象に残った相手に対し、感謝の手紙と共に自己紹介を兼ねて自分が雑誌や新聞に執筆した記事のコピーを同封することを忘れない。「ぼくに興味を持った人なら必ず返事が来て、お付き合いが始まります」という。それに関して特に印象深いのは、「ギブ&ギブの精神で」という言葉だ

p65.肩書きイコールビジネスパーソンのブランドネームの1つ。データベースジャーナリスト協会といわれると、なんだか優秀な人が大勢いるのではないかと思うものだ。結果として、講演は成功を収め、出版のオファーが来たのである

p71.美人OLの彼女と”精力剤”という言葉は非常にミスマッチである。その組み合わせが、劇的な効果をもたらした。「マカ」について冗談で、「ウチの会社で『マカ』という精力剤があるんですよ」と言葉を発した途端、新聞や雑誌から取材が殺到したのだ

p74.”作家のお嬢さん”というブランドは斎藤さんだけのものではない。だが、”窓際OL”というのは、完全に彼女が創造したカテゴリーブランドなのである

p80.堀明浩氏は30年ほど前、IBM日本・元社長の椎名氏が書いた本に触発され、それに倣って人生25年計画書を書いている

p88.「杉山さん、それはヌーン・オブ・ライフですよ」。人生の正午。40歳前後に、人は、それまでの人生でやり残したことに気づくのだそうだ

p106.田畑行康氏「世の中まだまだ古いですからね。コーポレートブランドの信用力は利用できます。これに自分のセルフブランドを掛け合わせれば相当の仕事ができますよ。それが組織の醍醐味でしょう。理想は『必殺シリーズ』の中村主水で、町奉行所同心としての信用力を利用しながらセルフブランドとしては『裏の仕事』をやる。あの番組は主水が同心という組織人でないと成り立たない」

p110.最近の週末起業ブームをみていて感ずることがある。このブームはあと2年位で終わると思う。それは週末起業の心意気とは裏腹に、具体的な結果が出てこないことと、これは会社の服務規程に違反するケースが多いからである。今回のセルフブランドの本では、会社、社会、家庭を包括したコンセプトを提示しており、田畑氏のケースのように、専門を極めていってセルフブランドを創るというのは王道である

p116.沢木遥さんは女性にとっての現実をこう語る。「日本の社会において、女性はどうしても若さや美しさが重要視され、仕事や出世は必ずしも成功とはみなされない。そうすると、20代のうちはいいが、その後に岐路が訪れる。だからこそ、女性にとってはセルフブランドを築くことは重要です。自分の人生をどう輝かせるか、面白くするかって、自分の責任だと思うから」

p120.これから、独自の”売り”がなければ組織の中で生き残ることは難しいだろう。また、そういう人間を求めない組織は淘汰されていくはずである。つまり、組織人としての価値を高めるためにはセルフブランドの確立は必須なのである。だが一方で最近、個性を尊重しエリート教育が進むあまり、「自分が、自分が」という風潮が見られると藤和彦氏は危惧する。「昔の貴族階級の人々は、エリート教育を受けながら同時に社会に対する責任と言う義務も伴った。社会をリードしていく立場にある人間は、あくまでも社会的責任を忘れてはいけない。それでは、自分さえよければいいという社会になってしまう」



これ、いかにも官僚らしい発言ですね



p129.ビジネスマンが大学教授になろうとした場合、大学院から上がってきた講師や助手が自分のコンペティターになるのだが、筆者の経験からいえば、彼らはビジネスの現場を知らないので、実際にビジネスをやっている方が勝つと確信する

p138.松山真之助氏「出版社への企画書を書くときの留意点について、タイトル、目次は当然ですが、どんな読者を狙っているのか、他との差別ポイントは何かも大切ですね。それと、これが大事なんですが、その本で一番おいしいさわり部分をサンプルとしてつけるのをお忘れなく。出版社も忙しいですから、出版社の人の立場に立った企画書がいい(これはじつは、元リクルートのフェロー第1号、藤原和博さんから教えてもらった技なんですが:笑)」

p140.松山真之助氏「タモリがどこかで行っていました。『テレビは見るもんじゃなくて出るもんだ』。セルフブランドを構築するということは、そういうふうに立場を変えられるということかもしれません。本は読むもんじゃない、書くもんだ、と」

p143.西山昭彦氏「杉山さんに言われた、本というものは読者が電車を乗り過ごす程の、惹き込みがなければ売れないという言葉は、自分が本を書くときに心に命じていることです」



確かにね。この本も一気に読んでしまった。電車を乗り過ごしたかどうかは、そういう環境じゃなかったから不明だけど



p146.西山氏は体験を踏まえて、1冊目の本の出し方で、こうアドバイスする。「私は商業出版を狙っている読者の方に、まず雑誌の現行の執筆、それもできれば連載をお勧めしたいですね」

p164.河村幹夫教授は取引先に「土、日に受験勉強をするので接待ゴルフをできません。これで取引は減ることはあるのでしょうか」という質問をして、「ゴルフをされないから取引額を減らすことはありませんよ。ただ情報は、今まで以上にください」というやりとりがあったりもした

p157.この話し合いの場での山場は、次のシーンであった。ミルトン・フリードマン教授の論文の「この表現は絶対に間違いだ」と思っていた項目の指摘をしたのだ。この指摘に対し「そうだね、ミスター河村のいう通りだね」という答えを貰った時から事態は急展開を見せる。ここまで先物のことを理解している日本人がいるのか、と感嘆され、フリードマン教授に推薦文を書いてもらうことに成功する

p166.社外活動は会社に利益をもたらすものに限定、あるいは、少なくとも会社にマイナスとなることはしない。さらに、東京ガスの西山昭彦氏が以前、言っていたように、「社内報に記事を書くとか、会社の研究発表会で発表するなど、外部でやったことを社内にフィードバックすることも必要」である。社外活動が会社にもプラスをもたらしていることを、できるだけ目に見えるカタチで示すのは大事なことだ



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Comment

  1. 杉山勝行 より:

    著者の杉山です。この本は、紆余曲折があったので、思い入れ深い本です。書評してくださり、ありがとうございました。
    この本は「自分ブランド」という言葉を、きちんと整理した本として、初めての本であるという自負を持っております。

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