粂和彦「時間の分子生物学」講談社現代新書①

公開日: : 最終更新日:2012/02/28 書評(書籍)



最近読んだ本の参考文献となっていたのがこの本。生物学系の本は好奇心をくすぐられて結構はまる

前半が生物時計の話。後半が睡眠の話。いずれも、最新の研究成果をわかりやすく説明してくれていい



p3.人間とショウジョウバエは、ほとんど同じ遺伝子を使って時を刻む生物時計を持っています。哺乳類と昆虫が進化的に袂を分かったのは、7億年以上前のこととされていますから、その頃の共通の祖先にはすでに私たちと同じ遺伝子を使った生物時計がそなわっていたわけです



不思議だとか驚異だとかとも思うけど、そういうものだと言われれば、そういうものなのかもしれない。人間とハエというと、なんだろう、昔テレビで見たアメリカ映画、The Flyだっただろうか、それを思い出す。なんか、生物を合体させる真・女神転生のような機械があって、そこに主人公の友達と一緒に紛れ込んだハエが入って、合体してしまうという気味の悪い話があった



p36.病気や生まれつきの理由で視覚を持たない人は、光による生物時計のリセットがうまくできないので外部の時間とずれやすく、睡眠などの障害をきたすことが多いことが知られています

p39.コルチゾールは起床前に分泌が高まり、日中は多く、夜間は少なくなります。メラトニンは逆に夜間の分泌が多いものです。また、成長ホルモンも夜間に分泌されます。昔から「寝る子は育つ」と言われますが、これは睡眠中に成長ホルモンがたくさん出るという事実を反映しているようです



昔、時差ぼけ解消としてメラトニンを服用することが、当時のスチュワーデスで流行っているなどと謳った栄養補助食品があったような気がする。なんだか気味が悪かった。いまはどうなっているんだろう



p41.私たちの体のほとんどの出来事が一日の中でリズムを作っています。たとえば、夜間には皮膚細胞の分裂が盛んになります。それに目を付けた化粧品会社が、日中と夜中に異なる化粧品を使うことを勧め出しました



こういう事例を聞くに付け、何でも知っておきたいと思うもの



p43.1999年にアメリカのチャールズ・ツァイスラーのグループがサイエンス誌に発表した論文によれば、完全に外部の影響をのぞいた環境下では、年齢によらず概日周期はほぼ24時間に近い値で、個人差も30分以内とされています。ただし、アドリブ条件下では25時間に近いのも事実です

p49.「明日、早く起きたい」、あるいは「起きなくてはいけない」という「意志」が、眠っている間にも働いていて、眠っているはずの脳が生物時計を使って、今何時なのかを推測して、起きるための準備を始めていることは確かなのです。この研究から考えて、生物時計は、「今だいたい朝だ」というような大雑把なものではなく、少なくとも10分から15分程度の差は、十分感じることのできる時計だということがわかります



へえ、そういう意志の力ってあるのかと感心。あるものは利用しなければならない。意識改革をしていきたい



p75.生物時計で振り子の役割をはたしているタンパク質は、もちろん振り子時計のように小刻みに振れているわけではなく、24時間周期で増えたり減ったりしています

p76.それにしても、振り子は別にタンパク質の量でなくてもよかったはずです。実際、心臓のリズムは、ペースメーカー心筋細胞に流入するイオンと細胞膜上のイオンチャンネルが、あたかも「ししおどし」のようなしくみを作って、1秒に1回程度の「カチコチ」を作り出しています

p91.面白いのは、この発振機構を、生物時計の中枢であるSCNだけでなく、全身の細胞が持っているということです



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