樺旦純「面白いほど人を動かせる暗示トリック」青春出版社

公開日: : 書評(書籍)

「心理学では『○○』と呼んでいる」という記載が多い。そういうキーワードを覚えて使いたいという衒学心旺盛な自分にはもってこいの一冊 一般の書店で買うのは少し恥ずかしいのでネットで買う。だって帯には「操られるまえに操る人になれ!」とか、「人間心理のウラをかくすごいテクニック」って書いてあってなんだか 恥ずかしいのを我慢して買って読んだんだから、少しは実践しないといけない。比較的やりやすいのは、初頭効果とか、カリギュラ効果とか、または親近感を抱かせ、好意を得るためのテクニックかな。ベタベタにならないように気をつけて
p017.あらかじめ方向が決まっているかのような前提に基づいて、相手を特定の答えに誘導することを、心理学では「誤前提提示」という p024.人は、さまざまな情報を得た場合、最後に聞いたものに強く影響されるということを心理学では「親近効果」と呼んでいる p027.いったん引き受けてしまったことは、少しぐらい条件が悪くなったからといって断れないものだ。すでに仕事を引き受けたつもりで先のことを考えているし、断れば人間関係にヒビが入りかねない。このテクニックは、心理学的には「ロー・ボール・テクニック」(釣り球を投げるテクニック)と呼ばれる。ロー・ボールを投げて手を出させておいて、とにかくいったん関わりを作ってしまえば、あとはこっちのもの、というわけだ p030.心理学的には、人は「両面提示」に動かされやすい。ひたすらメリットや長所だけを連呼する広告やCMが「嘘っぽく」見えるのはご存じのとおり。短所を積極的に話のなかに織り込む「両面提示」によって、その話自体が客観的なものであるという印象が生まれ、話全体の信憑性が増す。そして、それを聞く人々は心を動かされやすくなる。なお、「両面提示」はふつう、相手が知識を持っているという自覚のある事柄について、有効となる p039.人は何かを口にしているときのほうが、心を操られやすい状態になる p049.1ドルだけもらったAグループのほうが、20ドルもらったBグループよりも、退屈な作業を「本当に面白かった」と評価する傾向が強かったのだ。1ドルの謝礼しかもらわなかった学生の心の中では、本心(つまらない作業だった)と行動(「面白かった」と嘘をついた)の間に「不調和」が生じている。その不調和をなくすためには、本心を曲げて「作業は、実は面白かった」と思い込めばよいという作用が働いているのだ p059.「フット・イン・ザ・ドア」テクニックは、詐欺の典型的な手口でもある。詐欺師はまず「2万円」「5万円」という細かいお金を借りておいて、きちんと返して実績を積み重ねる p061.まずはじめて、とうてい応じられそうにない無理難題をふっかけておいて、だんだん要求のレベルを下げていくというものだ。相手の目の前でドアをバタンと閉めてしまう“門前払い”の様子から「ドア・イン・ザ・フェイス」テクニックと名づけられている p083.塀に穴を開けて、「のぞくな」という張り紙を出しておく。すると通行人は100%、この穴をのぞいたのだ! 単なる塀の穴がこうも興味をひきつけたのは、それを禁止したからに他ならない。この心理状態を、アメリカでかつて上映禁止になった映画のタイトルにちなんで「カリギュラ効果」と呼んでいる p085.心理学的には、赤信号を渡るという行動を起こすときに個人が抱く危機感や罪悪感が、集団になることによって薄まってしまったと考えることができる。これを「希釈効果」「拡散効果」と呼んでいる p092.「嘘が大きければ、必ずその中に“信じられる一定の要素”がある。人は小さな嘘よりも大きな嘘にひっかかる」……これはヒトラーの言葉である。例えば、悪質な脱税者は、税務調査が入ったときのことを想定して、帳簿の一部にわざと単純なミスを作っておくという p094.ヒトラーは、ひたすら繰り返して目に触れることで人を動かすという「熟知の法則」をフル活用していたのだ p099.心理学では、「自己概念」理論として説明されている。ある決断(言動)をした直後に、同じような状況に置かれると、前と同じ言動を繰り返す傾向があるというものだ。自分の持っている概念を、一定の状態に保ち続けたいという欲求が働くからである。いまある状態を保つことは、変化することよりも、ずっと楽なのだ。「はい」としか答えようのない質問に「はい」「はい」と繰り返し答えていると、しだいに「いいえ」という心の構え(メンタル・セット)がなくなっていく。そして、どんな質問にも「はい」と答えてしまうという、恐ろしい心理法則なのだ p103.松下電器の松下幸之助氏は、仕事で行きづまっていたり調子の悪そうな部下に気づいたときには、奥さんに電話をして励ましたという。奥さんの立場からすると、夫を真剣に心配してくれる上司ということで、よい印象を与えることになるし、奥さんとコミュニケーションをとることによって、職場では知ることのできない情報を得ることができるのだ p104.ナポレオンは戦地に赴くと、毎晩3時に野営の歩哨兵を見回って歩いた。そのとき必ず、歩哨兵に名前で呼びかけたのだ。最高司令官から名前で呼んでもらえることは、歩哨兵にとって、このうえない名誉である。これは兵士の士気を鼓舞するのに大いに効果があったようだ。ちなみに、アメリカの社会評論家、D・カーネギーは次のように述べている。「世の中で最も耳に甘く響く音楽は、自分の名前の響きである」 p106.この心理を「暗黙の強化」と呼ぶ。Wさんを直接避難したり攻撃したりせずにリストラに成功したのは、「暗黙の強化」を巧みに使った「成果」といえる p108.「みんながそうしているから、自分もそうしなければ」という心理状態に基づく行動を「同調行動」と呼ぶ。人を操る側の人間は「同調行動」を最大限利用する。ファミリー・レストランでは、客がきたら、外から見える窓際のテーブルから順に案内するよう、従業員マニュアルに書かれている。また、コンビニエンス・ストアの雑誌売り場が必ず窓際にあるのは、店内に客が常にいるという状態をつくっておくことが集客に大きく貢献するからだ p110.リオのカーニバルなどで繰り出す楽隊を乗せた車をバンドワゴンというが、お祭り気分でその場を盛り上げて、集団の意思決定などに影響を及ぼす効果のことを「バンドワゴン効果」と呼ぶ p113.自分の言動や考え方に対してプラスの評価が得られるのは、心地よいことである。その結果、ほめてくれた相手を好意的に評価する気持ちが生ずる。これを心理学では「行為の返報制」と呼んでいる p113.「ほめる」という行為は、人間関係の潤滑油になるだけではない。ほめられること、期待されることによって、本来持っている能力がよりパワフルに発揮できるようになるのだ p121.一般に、大きく、低く、よく響く声の持ち主ほど、外向的で、説得力にすぐれ、カリスマ的な魅力やリーダーシップを備えているといわれる。また、低く沈んだ声で話しているときは、相手との心理的距離を縮めようとしているときである p135.人間の記憶のメカニズムを調べると、ある一連のできごとが起こったとき、人間の記憶に強く残っているのは、最初と最後だという p136.人には、はじめに与えられた情報のほうを信じやすいという傾向がある。心理学ではこれを「初頭効果」と呼ぶ。いったん抱いた印象を維持しようとするために、こうした現象が起こる。例えば、恋愛の初期の段階でとても優しかった彼氏がだんだん冷たくなってきたとする。しかし、女性は、優しかった頃の彼氏の姿が「本来の姿」だと信じていることがしばしばある。その後、冷たくされても、自分のなかでキープしているイメージは修正したくないのである p140.ただ単に接触する回数が多ければ多いほど、その人に好感を抱くようになる p141.「嘘も100回言えば本当になる」という言葉がある。どんな荒唐無稽なことでも、たびたび耳にしていると、それが真実だと思い込んでしまうことがある p165.相手が苦情を言い始めたときは、弁解したり、話をさえぎったりすると、ますます反感を買って相手のテンションが上がる。満足いくまで相手に喋らせていれば、、やがてエネルギーを吐き出し終わって冷静になってくれる p174.商品の色が大切なのは、買うときのイメージだけではない。先の実験のように、本来心の動きには左右されるはずのない使用感にまで影響を及ぼす p182.銀行、病院、鉄道駅、ガソリンスタンド、コンビニなど、制服を着て仕事をしている人は多い。制服は「仕事中です!」ということを、だれにでもわかるように表し、「私は信頼に値する人物」とアピールしている。制服への信頼感があるから、私たちは安心することができるのだ。制服を身につける側にも、制服は大きな影響を及ぼす。そんなに朝眠いときでも、出社してロッカーで着替えて、「制服を着ると気分がキリッとするの」という人は多いだろう p198.アドルフ・ヒトラーが演説を黄昏時に行った、というのも、その一つだろう。人間の体には一定のリズム(ボディ・タイム)があり、時刻によって心や体の状態はずいぶん違う。黄昏時は一般に、日中の活動による疲れがピークに達し、ボディ・タイムが一番不調な時間帯なのである。人は疲労していると判断力・思考力が低下し、なにを言われても反論しようとする気持ちが薄まってしまう。そして、周囲のペースに巻き込まれやすくなる p213.親しみがわくかどうかは、相手が自分にどれだけ心を開いてくれているかに左右される。これを心理学で「自己開示」と呼んでいる。プライベートな話題をもらすということは、その相手を信頼しているという気持ちの表れだと受け取れる。その信頼の気持ちを感じて、相手も心を開いてくれるというよい循環が、人間関係を滑らかにすることになる
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