三枝匡「戦略プロフェッショナル」日経ビジネス人文庫

公開日: : 書評(書籍)

タイトルは少し堅苦しい。しかし、内容は物語のかたちをとっているのでスラスラと読み進められる。少し単純な内容だけれども、戦略を説明するための最小限のものという感じだ。成功していると思う。変なレトリックはなく、また、つまらなくもない 終身雇用へのチャレンジとして次の言葉がある:「もしプロ野球で『弱肉強食』と『人材の流動性』が確保されないなら、いかなる球団もたちまち腐っていく。プロとはそんな世界だと多くの日本人は理解している。となれば、ビジネスの世界でも高度のプロ組織となれば、同じ行動様式が出てきても仕方がないと理解できるはずである」 実はそれほど難しいことを言っていない。それだけ言うは易く行うは難しということだ
p114.私の経験でこれは例外なく言えることだが、ルート3企業では個別製品の原価計算システムが、ひどく粗末で頼りにならない。ここの製品の原価計算がいいかげんであれば、価格づけがいいかげんになり、製品ごとに儲かっているのかどうかが分からなくなる。これは、ルート3企業のトップが戦略判断を間違える大きな原因の一つになっている p118.ルート3企業でときどきお目にかかるのは、やたらと情報を集めるのが好きなのに、それを個人的に退蔵して知らん顔をしている変な中堅社員である。しかしそれも、彼ら自身が悪いのではない p128.コスト1円でも、相手にメリットがあれば1万円でも売れる。コスト1万円でも、相手にメリットがなければ1円でも引き取ってくれない。価格決めは、客のロジックを読むゲームである p144.多くの社員がまるで伝染病にかかったように、同じ意見を口にするのも広川には気がかりだった。会社のなかで誰かがネガティブな意見を言うと、それが次々と伝わり、単なる意見がそのうち事実であるかのような重みを持つ。モノトーンの組織によく起きる現象だ p170.「社長、まさにそこがポイントなんです。失敗の疑似体験をするための前提は、しっかりしたプランニングです」社長のあなたが、ある程度論理的に道筋を立てた事業経営をしてみて、それがうまくいかなかったとしよう。次はその失敗をしないための工夫をしながら、もう一度筋道を立て直してみる。そうしたプロセスの繰り返しの中から、今まで考えなかったことに気づく。それが新しく見えた因果律だ。それが、また次のより良い意思決定の布石となる p180.上司に対する反感? いえ、それはなかったですよ、全く。皆もそうだと思います。会社に緊張感が出てきて、何か面白いことが起きそうな感じですから。あの方は、営業でたたき上げた者とは違う見方をします。この3カ月の動きを見ていても、言うことは理に合っていますね p181.社員が「業界の特殊性」や「地域の特殊性」を持ち出すときは、経営者としては要注意である。その言葉は、新しい考え方、新しい戦略に対する、ささやかな抵抗の表現であることが多いからだ p192.「かまわん。君らの足より少し大きめの靴をやるから、勝手に自分で足を靴に合わせろ。もっともこれじゃ、まるで昔の軍隊の話みたいだけどな、ハハハ……」 p208.社長の小野寺には、もし話し合いがこれ以上こじれた場合には、収拾役として出馬してもらわねばならない。2人はそうした事態も予想して、広川が矢面に立ち、小野寺は控えの陣立てをとることにしたのだ。だから、この訪問は広川が単身で行くしかないのである p255.広川は一つのシステムを考案した。彼は東郷たちに、営業マンの行動の進み具合をコード化することを求めた。「まだ何もしていない(F)」から始まって、その次が「第一回訪問(E)」、その後、進展があるたびにアルファベットを逆方向にたどり、最後の「納品・売上(A0)」までを記号でとらえようというのである。途中で見込みがなくなってアプローチを中断した相手は、アルファベットのどんじりZのコードがつけられた p262.トップによる事業の「絞り」の曖昧さは、会社の外部に向けた情報発信までをも不明確にする。そのため外部の協力者たちをネットワーク化するのが遅れる。「絞り」とは、すなわち「捨てる」ことである。我々の経営資源には限りがあるから、何もかもやることはできない。だから「これはやめた」と割り切ることが必要になる。そのデシジョンを先延ばしにするトップは、いずれやりきれなくなることに無駄な投資を続けていることになる。その意味では、企業戦略はもともと「絞り」「捨てる」ための道具そのものだとも言える p265.戦略はシンプルなほど強力である。世の中、なぜ血液型の話がいちばんポピュラーなのか。たった4つの分類しかないシンプルさが一つの原因だと私は思っている p290.ものすごく単純なセオリーに、ずっとこだわり続けるところが彼の特徴です p316.もしプロ野球で「弱肉強食」と「人材の流動性」が確保されないなら、いかなる球団もたちまち腐っていく。プロとはそんな世界だと多くの日本人は理解している。となれば、ビジネスの世界でも高度のプロ組織となれば、同じ行動様式が出てきても仕方がないと理解できるはずである。したがって第三に、プロ社会の特性に従い、これらの分野での人の流動性は非常に高い。もともと転職の多い米国のなかでも、シリコンバレーや金融・投資などの分野では人の移動は一段と激しく刹那的である。米国の大企業組織では対応できない(いわんや、伝統的な日本企業の人事部感覚では気が狂いそうになるほどの)流動的組織環境のなかで、新しいビジネスが展開されている
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  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
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