竹内一郎「人は見た目が9割」新潮新書

公開日: : 書評(書籍)

だいぶ前、この本が流行っているころに読んだのだが、メモするのがだいぶ遅れた。改めて読み直してみると、結構、著者の主張ってのは独自の見解というか、偏見というか、根拠が本当にあるのか?思いつきで言ってるだけじゃないかと感じられるものも多い。しかし、引用されている事例は豊富だし、面白いのでネタ帳的にはかなり役に立つと思う。メモしたから処分しようかとも思ったが、そうもできないでいる
p16.ロビン・ウイリアムズ主演の映画『今を生きる』のラスト・シーン。学校の古い体質に抵抗するが、結局学校から追放される新米教師。彼が学校を追われる日、教え子たちは、何も言うことなく、机の上に立つ。「あなたを追放した学校は間違っている」「私たちはあなたの教育方針を支持する」という態度の表明である。台詞があると、臭くなって観ていられない p19.私たちは「本をたくさん読む人」の中に、人望もなく、仕事もできず、社会の仕組みがまったく理解できていないと思える人がたくさんいることを知っている p20.動物行動学者デズモンド・モリスは、『マンウォッチング』(小学館ライブラリー)の中で、動作の信頼尺度を作っている。他人から受け取る情報のなかで、一番嘘をいわないのは何か、ということである。モリスによれば人間の動作を信頼できる順に並べると次のようになる。①自律神経信号②下肢信号③体幹(胴体)信号④見分けられない手振り⑤見分けられる手のジェスチャー⑥表情⑦言語 p25.男優の場合、髭は重要である。演出家は「髭」を基本的に「コンプレックスの表れ」と見る。「自分を実際よりも上に見せたい」心理は髭に表れる。髭には周囲に威圧感を与える働きがある。逆に言えば、そうした「小細工」をしないと周囲を威圧できないという意識がどこかにあるといえる。周囲を見渡してみると、自由業の人やアーティストに髭をたくわえている人が多い p29.芸能人は「素性を知られたくない」から、外出するときサングラスをする。一般人の私たちはサングラスをすることで「ヤクザ」あるいは「素性を知られたくない芸能人(多くの場合美男美女)」の振りをすることができる。見た目に自信のない人が自信を付けるには、いいかもしれないが、そこを見透かされる危険性もあるような気もする。他人と付き合っていくなかで、最初はともかくずっとサングラスをかけるづけるわけにはいかない。道具として、髭やサングラスを使うことは時には有効だが、その狙いが相手にわかってしまうと、かえってみっともないことになる p44.大きなアクションは、日本人の場合、薄っぺらい感じ、あるいは「底の浅い印象」を与える。日本人のコメディアンなのに、妙にオーバーアクションの人は、そういう印象を狙っているのだ。こういう人を舞台で使う際の役どころは、「普段は、積極性を持った好人物だが、ここ一番の勝負に弱い男。あまり頼りにはならない男」になる。簡単に言えば「軽い男」ということだ p58.社会的に力を持っている女性は、相手の心情を察する必要がない。相手がどう思っていようとも、命じて動かすことが大事だからである。ところが、社会的に立場の弱い女性は、相手がどう思っているかが大事なのである。自分が生き延びるためには、相手の気持ちを尊重しなくてはならない。必然的に、相手の本心を見抜く勘が磨かれる p64.「可愛い女の子」のポーズの第一の特徴は、快活に足を広げているときも、膝は内側を向いているというものである。女の子らしさの象徴は、内側に向いた足。これは舞妓さんの歩き方の変形であると私は考えている。従順の表明である。パーソナル・スペースを狭くしてでしゃばらないという印象を相手に与える p92.芳賀氏は、文化人類学者の石田英一郎氏の説を用いてこの特性の起源を説明している。それは弥生式農耕文化の時代に日本民族のコア・パーソナリティ(精神の核)が形成された、という説である。一人で黙々と田畑を耕す農民の相手は人間ではなく、自然である。仕事中に他人とぺちゃくちゃ喋っている必要はない。その結果「語らぬ」文化が出来たというのである p94.日本にそもそも「わからせなくてもよいのだ」という伝統がある。例えば、西田幾多郎や、小林秀雄、渋沢龍彦、蓮見重彦などの文章を思い出してみればよい。日本の代表的知識人に、わかりやすい文章を目指していない人のなんと多いことか p99.農耕民族は、基本的に強い自己主張をしない。田畑を耕し、そこにより多くの愛情を注ぎ、手を加えることで、生活の向上が得られる。こうして、おとなしく控えめな基本性格ができていく。儒教の「謙譲の美徳」が入ってこなくても、謙遜をする国民性は持っていたと思しい p100.「憎茶」を通じて、夫人は「あなたが嫌いです」と伝える。客は「俺は嫌われているのか」と察する。京都には「そろそろお引き取り願えませんか」というサインの「ぶぶ漬け」という週刊もある。言葉より伝達力を持った日本独自の表現方法である。声高に主張することができない、立場の弱い人々から発せられるノンバーバル行動には、はっとさせられるものがある 騒色騒動が起こったのは、1981年のことである。黄色は注意を促し、赤は危険を表す色だから、バスをその色で塗れば、人々の黄や赤に対する注意力が減衰するという意見は、もっともであるといえる。ところが、その指摘は、20年後の現在生かされているとはいえない p115.赤やオレンジ色のやかんは、キッチンを楽しく見せる暖色である。メーカーはこれを売りたい。そのために、赤やオレンジを引き立てる黒を商品のなかに混ぜておく。人気薄の黒に引き立てられて、「よりよく見える赤やオレンジ」を客は選ぶのである p117.私はジョン・ファイト氏になぜこのような運動を始めたのか訊いた。彼はこう答えた。「病院に来る患者は、必ずどこかが痛いんだよ。でも、待合室に一枚でも絵があれば、それを見た瞬間『あっ、きれいだな』と一瞬でも思うだろう? 人間は『きれいだな』と思った瞬間には、痛みを忘れるものなんだよ。なぜなら2つのことを同時に思うことはできないからね。絵があれば、1秒でも0.1秒でも、痛みが忘れられるんじゃないかと考えたのさ」 p121.演劇の学校で教えていると、発表会のときなど生徒は、時にオーバーなメイクをやりたがる。私が「客席が近いのだから、もう少し控えめに」といっても、なかなか聞こうとしない学生がいる。理由は、役に「化けたい」のである。自分以外のものになりたいのである p141.フリースクールの生徒は、N先生ほど、自分のために時間を使ってくれた先生とそれまで出会ったことがないはずだ。で、私はこう思った。自分のために膨大な時間を費やしてくれたN先生に、生徒たちは打ち解けていくのである、と p155.どちらも、それらしく振る舞うよう指示されるわけではない。ところが、服を着せるだけで、本物らしい振る舞いになっていったのである。囚人は卑屈な態度を取り、看守は命令口調になる p161.「何たる偶然」とはどんなゲームか。2人の役者に対座してもらい、片方が相手に対し、お互いの共通点を10個探すのである。で、共通点が見つかると、2人同時に「何たる偶然!」と叫ぶ。10個見つける頃には、2人の心理的距離は相当縮まっている。初対面の役者が、いつまでも他人行儀のままでは演技の練習にならない。その距離を埋めるためのメソッドである。大変そうだが、10個の共通点は数分で見つかる。このメソッドをやった後は、演技の稽古がやりやすくなる p179.芸人さんたちにこんな話を聞いたことがある。刑務所の慰問に行くと、おもしろくないネタでも受ける。刑務所で受けたからといって、寄席で同じことをやると、ひどい目に遭う、と。刑務所のなかの人たちは、笑いに飢えているのである。というより、笑いが必要なのだ。だから、それほど面白くないネタでも笑うのである
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Comment

  1. ky より:

    >p19.私たちは「本をたくさん読む人」の中に、・・・
    そうなんだよなあ。

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  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
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