小阪裕司「招客招福の法則2」日本経済新聞出版社

公開日: : 書評(書籍)

新聞の連載コラムの単行本化。内容的に日経の堅いイメージとは違うようにも感じるが、日経MJのほうのようだ 見開きの2ページで一つの話題になっていて細切れ時間でも読みやすい。一気に読むとあっという間に読み終わるくらいの分量。涙腺の緩むような話もある お客さんの信頼を勝ち得、そこから「正価」にこだわって物を販売していこうというメッセージが取れる。そのためには売り手の個性をアピールするので、プライバシーとは相容れないものがある
p16.店頭で価格の異なる2種類のサンマの実物を並べて比較し、「生サンマのおいしい見分け方!」「脂ののりが違う」「焼いてて肉汁がたれおちる」と、お客さんに高いほうのサンマを買うべき理由を大きく書いて教えてみた。結果は、表示し始めた週からサンマの売り上げが前週比70%増と大幅に伸びた。ほとんどのお客さんが高いほうのサンマを買っていったそうだ。また予期しなかった出来事として、こう表示し始めた途端に「ほかにお勧めの魚はどれ?」「こっちの魚はどう見分けるの?」と、声をかけられるようになった p105.私の知る店では、人形探しだけでなく、お客さんとじゃんけんやゲームをしたり、子どもに人気のガチャポンを大人のお客さんに楽しんでもらうために導入するなど、この手の企画を積極的に行うことが多い。このようなことをやろうとすると、スタッフなどから「こんな子供じみたことにお客さんが乗ってくれるでしょうか」と反対されることがある。よくある反応だ。そのときは、かのウォルト・ディズニーの言葉、「人はいつから子どもじゃなくなったんだね?」を思い出していただきたい。実は大人と子どもに境目はない p117.「売る」という行為には2種類ある。「お客さんが買いに来たものを売る」ことと、「お客さんを欲しい気持ちにさせて売る」ことだ。そして後者ができる商人はどんなものでも売れる。これもまた、商売の無限の可能性なのである p125.マニュアル作りの最大の効果は、各人が実際にセールストークを行うときの具体的な参考になるということだ。慣れないことには戸惑いがあるのが普通なのだが、たとえば今回のような販促活動の際、スタッフに「お客さんに何を話せばいいんでしょうか」と聞かれると、つい「そんなことは自分で考えろ」と言ってしまいがちだ。あるいはこういった細かいマニュアルを作って渡すと、各自が創意工夫をしなくなるといった懸念も聞かれるが、皆がスムーズに始められることで実際には成果につながる p132.売り手と買い手との間に人間関係があり、売り手が提案するものに常に嘘がなく、期待通りかときに上回るものであれば、商品の中身を知らずして顧客は商品を買うことがあるのだ。中身を知らずとも正価で買うのであれば、売り上げ作りは決して難しいものではなくなる。そして必ずしも店頭在庫を持つ必要もない。買い手はその商品が何なのかを知らないので、緊急の必要性とは関係なく買っているからだ。商品が入荷するまで待つことができる p168.「私は人形です。オリンピックを目指して体操の練習をしていました。平均台から落ちて足を負傷。手術は成功。夢は実現しませんでしたが、第2の目標で顔晴ります。こんな私ですが、お友達になってくれませんか?」 すると、来店した50代のご婦人がこのPOPを見て「人形を2体ください」と言った。女性スタッフが「1体は不良品ですので、1体しかありません」と応えると、そのお客さんはこう返した。「いいんです。けがした人形も含めて、2体ほしいのです」。そうして彼女は2体の人形とともに、そこに張られていたPOPまでも一緒に買っていった。もちろん2体とも「正価」である
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