渡辺健介「世界一やさしい問題解決の授業」ダイヤモンド社

公開日: : 最終更新日:2012/11/30 書評(書籍)



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この本のもっとも大事な注意点は、中高生と読者と設定しているようであることである。帯に書いてある:中高生にもわかるように解説しました。そして、あとがきに書いてある:ご父母、教師の皆様へ

そういう本を、大人が読むと20分くらいで読み終わってしまう。私はこういった分野の本はムダに読書量があるので、書いている内容に対する新発見はなかったりする。かといって読まない方が良かったかというとそうではない。採用されている事例が巧みだと思う。自分の子供が成長してこの本を読めるようになるまで保管しておこうかという考えが過ぎる

Amazonのカスタマーレビューがかなりの高得点となっている。しかし、大人の方には、こういった戦略的思考に関するまったくの未経験者でない限りは、上述の点について強く留意しながら、この本を入手する必要がある

一つ、教育を目的とし、そのサンプルを提示しようとする本において、すごく気になることがある。例えば、本書では、帯と前書きと後書きで著者の経験についてどうも整合性のない記述があるのだ。これだけ薄い本を――おそらくは一気呵成に書き上げられたのではないかと思われるが――特に注目されがちなこの3つの箇所で矛盾がある。このことは、外国で育ち、外国で高等教育を受け、日米の大手戦略コンサルでの勤務経験がある著者が、これからこの分野での教育の道に進もうというときの自己紹介の本としては、少し抜かったと言えるのではないか

別件で、過去に、幼児向けの「右脳を鍛える」系の通信教育のパンフレットを見たことがある。すべてのページで文章術として非論理的なミスを発見し、また掲載されていた子供の成長曲線のグラフもかなり乱暴でデタラメ。このパンフレットを主たる資料として40万円を超える教材を購入させるにしては、それはお粗末な内容だった。本教材の質が容易に知れた。家族が、「欲しい/購入したい」と考えたもので、私が拒否権を発動したのは、いまのところ後にも先にもこれだけだった

翻って本書。こういう市販の本を出す、そして、それが著者の今後のビジネスの強い販促ツールとなるのであれば、こういうところに神経質になって欲しい。この程度でマッキンゼーなんですか?という感じ



p003.ぼくは22歳でこの思考法と出合い、そのとき、「これが『考える』ということなのか! なぜこれをもっと速く教えてくれなかったんだろう」と強く思いました

p112.問題解決能力に似たクリティカル・シンキング(批判的思考)は、米英の一部の学校で、国語や歴史などの授業を通じて教えられています。私自身は、中学2年生からアメリカで教育を受けたのですが、最も衝撃的だったのが、グリニッチハイスクールでの米国心の授業でした。授業を通じて問題解決能力が身に付くようになっていたのです。国際人として必要な資質は、語学というより、むしろこのような思考の総合力――このように、問題を解決するまで考え抜き、実際に行動する姿勢――にあることを知り、衝撃を受けました。そこで、イェール大学進学後も、経済学から心理学まで幅広い学問を学び、教養の幅を広げながら、こうした考えを磨いていきました。大学卒業後、マッキンゼーに入社し、初めてこれが「問題解決能力」(Problem Solving Skill)と称されていることを知りました





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