大前研一『「知の衰退」からいかに脱出するか?』光文社

公開日: : 最終更新日:2012/09/19 書評(書籍), 大前研一



20090831005453





スタイルとしては多分、口述筆記だろう。言葉に洗練さが見られない。またタイトルにかぎ括弧があるのも少し気に入らないんだけど

内容は氏のほかの著書と被るところがかなりあるとは思うものの、それの直近版と思って読めば、新たな発見はかなりある

物事をしっかりと考えないことに対する痛烈な批判

上っ面だけで満足する風潮に対する批判

古いタイプの教養が、最近の経済の要人においては無意味となってきたことの指摘。これはただのファッションのような気がするけど

日本が元気でイギリスが病気だった時代の話。歴史は場所や登場人物を換えつつも、本質において同じことが繰り返えされていること



p54.この国ではみんなが口を揃えて「失われた、失われた」と言っていたために、人々が本当に失われたような気持ちになっていたにすぎない。まさに「失われた」は呪文であって、この呪文に惑わされなかった企業は”ちゃんとやっていた”のである

p75.いまの日本のトップの人間たちは、ダボス会議に行くこと自体が目的になっている。それで、「行ってきました」と言うだけで、まるで観光旅行よろしく、会議を見学して歩いているだけだ。もちろん、会議で講演を頼まれるような人間はほとんどいない

p97.官製不況に関して言えば、じつは、私たち国民の側にも大いに問題がある。それは、少しでも頭を働かせれば、「お上にまかせるとロクなことはない」とわかるのに、それをしてこなかったからだ。国民の多くはなにも考えず、ただ「どうにかしろ!」とメディアと一緒に騒ぎ立て、結局はお上に委ねる選択を繰り返してきたにすぎない。これは、次々に発覚した「食品偽装問題」を振り返ってみれば、明らかだろう

p151.税金は、大まかに言って、全部で2つになる。資産税と付加価値税の2つだ。すべての人と法人の資産の現在評価価値に1%、付加価値に5%の均等な課税のみでやっていけるのである。これで、日本人の「経済音痴」は、ある程度治せ、しかも日本の衰退は回避できる可能性があるのだ

p291.従来の工業社会では先に生まれて経験を積んだ人間が先生になれたが、いまは違うのである。答えのない世界では、新しいことにトライして、試行錯誤していく能力が問われる。考えながら試し、「リスクを取る」ということが、答えを探す道である

p431.現在求められている「21世紀の教養」は、サイバー社会も含めた最新の情報に基づいた”考える力”であり、それによって地球市民としてどのように社会に関わっていくかという意識である。そして、そこから導き出されるアイデアこそ、今後の力の源泉である。またそれが世界の中でリーダーシップを発揮できる源泉でもある

p437.1970年代のイギリスに行くと、イギリス人たちは、この敗北主義を濃厚に漂わせていた。当時、マッキンゼーの年1回のチェアマンズ・カンファレンスで私がスピーチすると、「確かに日本はいい。でもついていけない」と言う人が多かった。「日本はあまりにもアグレッシブで、こんなわけのわからない経済だけの国と戦っていくべきではない。なぜ、我々が東洋の国と競争せねばならないのか」「アメリカみたいな巨大な国と戦っても、仕方ないではないか」と言う経済人は多かった。当時はたまたま北海油田が発見されたのでOPECにでも入り、その中でぬくぬくとやっていうほうがいい、と真顔で言うのだった。「石油が出たので、われわれは別の道を行く。日本やアメリカとは違う道を!」まさに、集団としての知性が低下し、イギリス人といえども情緒的になっていたと言うしかない。しかし、このイギリスを1人の鉄の女、マーガレット・サッチャーが変えてしまった





google adsense

関連記事

no image

ロバート・キヨサキほか「金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント」筑摩書房

豊富な事例を滝のように出してくれる。同じ主張を、手を換え品を換え、これでもかこれでもかと説得される

記事を読む

no image

金谷武洋「日本語に主語はいらない」講談社選書メチエ

20111113231930 言語学というのだろうか。日本語の構造についてのタイトルどおりの内容の

記事を読む

no image

齋藤孝「頭がよくなる必殺!読書術」PHP研究所

20050910212900 非常に簡単ではあるが、本を読むことの大切さ、本の読み方、感想

記事を読む

no image

蛯谷敏「三井物産 人材活性プラン、そろり始動 (現場力)」日経ビジネス2009年5月18日号

社員が同質であることの限界。視野を広げる 部門を横断して様々な経験を退職の危うさなしに可能とする、社

記事を読む

no image

梅原猛 町田宗鳳『仏教入門 法然の「ゆるし」』新潮社とんぼの本

20111120154722 法然が気になる。正確にいうと、昔から気になっている。子供向けの、日本

記事を読む

no image

佐藤優「野蛮人のテーブルマナー」講談社プラスアルファ文庫

やっぱり、この人の本は、乱造のところはあるのかな。最近の新刊は読んでみたいと思ってはいるのだけれど

記事を読む

no image

山根一眞「メタルカラーの時代2」小学館文庫

20111224103333 山根一眞「メタルカラーの時代1」小学館文庫 | hiogの次の巻

記事を読む

no image

松田公太「すべては一杯のコーヒーから」新潮社

20051023000608 起業の話は好き。この本は起業を題材とした極めて典型的な内容。

記事を読む

no image

ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」角川書店

200506120133 面白い。 自分で年をとったと感じる。文字の並べ替えなどの言

記事を読む

no image

ケン・ブランチャード「ザ・リーダーシップ」ダイヤモンド社

リーダーシップのいろはが、ストーリー仕立てでわかりやすく説明されている。ストーリーが陳腐になりがちな

記事を読む

google adsense

google adsense

MediaPad M3 LTE プレミアムモデル購入して2か月

20170409130135 もう2か月が経ってしまったけど、記

Windows10アップグレード導入

20160307001116 2台のノートPCにつき、無料のWi

Nexus 6Pが届いた

20151105221617 無事に届いた。 海外荷物受付

Nexus 6Pが発送された

20151103103105 「発送しました」って内容のメールが

Nexus 6Pを発注した

20151031100625 それまでもネット経由でいろいろ調べ

→もっと見る

  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
  • あわせて読みたい
  • にほんブログ村 本ブログへ
PAGE TOP ↑