大前研一『「知の衰退」からいかに脱出するか?』光文社

公開日: : 最終更新日:2012/09/19 書評(書籍), 大前研一



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スタイルとしては多分、口述筆記だろう。言葉に洗練さが見られない。またタイトルにかぎ括弧があるのも少し気に入らないんだけど

内容は氏のほかの著書と被るところがかなりあるとは思うものの、それの直近版と思って読めば、新たな発見はかなりある

物事をしっかりと考えないことに対する痛烈な批判

上っ面だけで満足する風潮に対する批判

古いタイプの教養が、最近の経済の要人においては無意味となってきたことの指摘。これはただのファッションのような気がするけど

日本が元気でイギリスが病気だった時代の話。歴史は場所や登場人物を換えつつも、本質において同じことが繰り返えされていること



p54.この国ではみんなが口を揃えて「失われた、失われた」と言っていたために、人々が本当に失われたような気持ちになっていたにすぎない。まさに「失われた」は呪文であって、この呪文に惑わされなかった企業は”ちゃんとやっていた”のである

p75.いまの日本のトップの人間たちは、ダボス会議に行くこと自体が目的になっている。それで、「行ってきました」と言うだけで、まるで観光旅行よろしく、会議を見学して歩いているだけだ。もちろん、会議で講演を頼まれるような人間はほとんどいない

p97.官製不況に関して言えば、じつは、私たち国民の側にも大いに問題がある。それは、少しでも頭を働かせれば、「お上にまかせるとロクなことはない」とわかるのに、それをしてこなかったからだ。国民の多くはなにも考えず、ただ「どうにかしろ!」とメディアと一緒に騒ぎ立て、結局はお上に委ねる選択を繰り返してきたにすぎない。これは、次々に発覚した「食品偽装問題」を振り返ってみれば、明らかだろう

p151.税金は、大まかに言って、全部で2つになる。資産税と付加価値税の2つだ。すべての人と法人の資産の現在評価価値に1%、付加価値に5%の均等な課税のみでやっていけるのである。これで、日本人の「経済音痴」は、ある程度治せ、しかも日本の衰退は回避できる可能性があるのだ

p291.従来の工業社会では先に生まれて経験を積んだ人間が先生になれたが、いまは違うのである。答えのない世界では、新しいことにトライして、試行錯誤していく能力が問われる。考えながら試し、「リスクを取る」ということが、答えを探す道である

p431.現在求められている「21世紀の教養」は、サイバー社会も含めた最新の情報に基づいた”考える力”であり、それによって地球市民としてどのように社会に関わっていくかという意識である。そして、そこから導き出されるアイデアこそ、今後の力の源泉である。またそれが世界の中でリーダーシップを発揮できる源泉でもある

p437.1970年代のイギリスに行くと、イギリス人たちは、この敗北主義を濃厚に漂わせていた。当時、マッキンゼーの年1回のチェアマンズ・カンファレンスで私がスピーチすると、「確かに日本はいい。でもついていけない」と言う人が多かった。「日本はあまりにもアグレッシブで、こんなわけのわからない経済だけの国と戦っていくべきではない。なぜ、我々が東洋の国と競争せねばならないのか」「アメリカみたいな巨大な国と戦っても、仕方ないではないか」と言う経済人は多かった。当時はたまたま北海油田が発見されたのでOPECにでも入り、その中でぬくぬくとやっていうほうがいい、と真顔で言うのだった。「石油が出たので、われわれは別の道を行く。日本やアメリカとは違う道を!」まさに、集団としての知性が低下し、イギリス人といえども情緒的になっていたと言うしかない。しかし、このイギリスを1人の鉄の女、マーガレット・サッチャーが変えてしまった





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