堀紘一「人と違うことをやれ」PHP文庫

公開日: : 書評(書籍)

こういう自己啓発本は、このブログの過去ログを見るまでもなく、いろいろと読んできたが、久々に結構メモの多い今回の本だった ビジネスでいちばん大事なことは、何が問題なのかを考えること。解決策は大した問題ではない 不足する能力を補充することはできるが、信頼に関しては不足を補充することは絶対にできない
p20.ここにヒロセ電機の高収益の秘密がある。他のメーカーに真似られた製品の製造はすぐ打ち切り、常に市場を一歩リードする優秀な新製品を送り出してきたから、強気のビジネスを保ってこれたのである p43.落ちこぼれ人間の就職先が、彼らの努力で成長し、そして20年も経って成熟して、何の将来展望もないような大企業になったころ、「寄らば大樹の陰」で、一流校の秀才がどっと押し寄せるのだ。では、一体その後はどうなったか? 業績が隆盛で秀才ばかりが働いている会社なら当然、その後も業績をどんどん伸ばし続けていなければならない。しかし、現在では皆、落ち目の会社ばかりではないか p60.しかし、彼の場合は、私情や打算を一切排除して、徹底的に「公平の原則」を守ることを実行し続けた。この結果、若いうちは「生意気な奴だ」とか「偉そうな顔をしてやがる」と恨まれたり、嫌われたりもしたが、10年以上もかたくなに続けた後には、「上野という男は、本当に公平無私な男だ」という評価を得られるようになったのだ。そして30代ではやくも頭角を現わし、40代以降はぶっちぎりで出世街道をばく進していった。そして、とうとう副社長にまで出世したのである。彼のような出世の仕方は、三菱商事開闢以来の出来事だ p67.名も知らぬ日本の小さな音響メーカーが、そんな壮大なビジョンと戦略を抱いていることなどつゆ知らないブローバ社の社長は、商談を断りに来た盛田氏を、さも「商売を知らない馬鹿な奴だ」という調子でこう言ったという。「自分の会社は50年もかけてブローバを世界中で知られるようなブランドにしたんだ。そのブランドを利用しない手はないではないか」それに対して盛田氏は次のように言い返した。「それでは50年前に何人の人がブローバの名前を知っていたのですか? わが社は50年前のあなた方と同じように、今50年の第一歩を踏み出したのです。50年経ったらソニーを今のブローバと同じくらい有名にしてみせる。だから、この話はノーサンキューです」このように、何ごとにも動じない確固たる目的と長期的視野に立った経営戦略、そして、気迫があったから今日のソニーができあがったのである p96.「いいか。ビジネスでいちばん大事なことは、何が問題なのかを考えることなのだ。経営者やリーダーにとって解決策は大した問題ではない。そんなものは部下に任せればいいことだ。指導的立場に立つような人間は、そんなことよりも何が問題なのかをひたすら考えなければいけない。問題さえわかれば必ず試行錯誤によって正解に到達できる。だから、大切なことは方法論を学ぶことではなく、何が問題かということを常に考える思考力を養うことなのだ p111.あるいは、野球場に行ったら、私はグラウンドでプレーする選手の姿はあまり追わないようにする。そんなものはテレビでいつも見ているのだ。せっかく野球場へ来たのだから、普段、テレビでは見ることができないブルペンとかダッグアウトとか、観客席の客たちの様子とかヤジに目や耳の神経を集中させる。すると、野球がまた違った角度から見えてきて楽しみ方も増す p116.こういう原稿を新聞記者の業界用語で”成り注原稿”というのだが、これは何も考えていないことの証明だ。自分が発想力に乏しく、頭の悪い記者であることを世間に公表しているようなものである p142.私たちが長く生かされるのは、次の世代に知恵として何か伝えるものを残すために違いない。自分たちの直接体験を後に続くものへ間接体験として伝え、彼らがより快適に生きていける手助けをする使命がある。人間は、ただ種の保存をするだけでなく、代々そうやって命を受け継いできたから著しく進化し、万物の霊長となり得たのである p166.不足する能力を補充することはできるが、信頼に関しては不足を補充することは絶対にできない。信頼を得るというのは一朝一夕にしてできることではない。大きな仕事を前にして、どんなににわかに取り繕ってももう正体は見破られてしまっている。長い間の地道な努力の積み重ねがあってはじめて評価され、信頼されるようになるのである。その評価にしても、そう簡単には上がらない。逆に落ちるときには一気に落ちて、それを取り戻すには何倍もの努力と時間が必要になる。では、常日頃の地道な努力とはいったいどういうものなのだろうか? より具体的に言えば、日頃の細々としたつまらない仕事でもきちんとやっておけということである p173.その後の中内氏は、私と会うとメモを取るどころか説教をするようになった。「世の中とはこうこうこういうものなのだ、君、こういうことがわかっているか?」という調子である p180.福原氏の手紙の送り方がまたユニークである。書いたらすぐにそれをファックスで送ってくれるのだ。一刻も早く相手に気持ちを伝えたいということだろう。後日、オリジナルが郵便で送られてくる p184.さまざまな異質の人間たちを束ねて部下として使い、仕事を遂行していくのが管理職の務めとなる。こういう仕事は、従来のゼネラリスト型管理職にはとても務まらない。これまでゼネラリストでも管理職が務まったのは、第一線で働く構成員が、放っておいてもよく働く20代から40代の日本人男性ばかりだったからである。金太郎飴のように同じ価値観で発想、能力を身につけた人間を管理していくのに大した能力は必要ない。だが、さまざまな価値観や生き方、能力の人間を束ねて所期の目的を果たさなければならないとなると、もはやゼネラリストの中途半端なリーダーシップでは通用しない。心理学とか社会学といった専門的なことを学んだ、管理職としての専門能力を身につけた人間でなければ務まらない p195.ビジネススクールというのは、もともと実践のビジネスを教えるところではなく、経営学を教えるところである。私のいたハーバードビジネススクールでは、教材こそ現実の企業内で起こったさまざまなケースを使っていたが、自分で問題を考えること以外の理論や実践は、あまり教えてくれなかったことは前に書いたとおりである。経営者レベルになってはじめて生きてくる評価法だ p254.「最高の処世術は妥協することなしに適応することである」という言葉がヨーロッパにある p274.青木功選手のパンチショット打法を見たゴルフ関係者の多くは「あんな打ち方は邪道だ」と決めつけ、盛んにけなした。ところが、そのパンチショットを駆使して彼が連戦連勝するようになると、手のひらを返したように「最上級テクニック」と激賞し、「風の強い日はパンチショットでなければならない」と訳知り顔で説きはじめたという。所詮、世の中なんて、こんなものである。「勝てば官軍」という言葉があるように、プロの世界は「結果」がすべてなのだ p291.私の人脈の最大の活用法は”ディスカッションパートナーとして”という言い方ができるかもしれない。何かについてある程度考えると、いったん思考を停止させる。そして、「これについてはあの人がいい」と、しかるべきディスカッションパートナーを物色する
20090928233958

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