マーク・ピーターセン「日本人の英語」岩波新書

公開日: : 最終更新日:2013/01/13 書評(書籍), 文章術/レトリック



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久しぶりに岩波新書を読んだ。古い本

不定冠詞のaとそれにつけられたglassという名詞、というのが目から鱗。また、乗り物に乗るときのonとinの違い、など興味深い説明が多い



p13.ちゃんとした意味を持っていたのは、”a second glass of the old Madeira”のglassではなく、そのaである。そして、glassという名詞の意味は不定冠詞のaに「つけられた」ことによって決まってくる。あるいは、これは文脈にもよるが、”a glass”に対して、たとえば、定冠詞の”the glass”は「例の一杯」という意味に、定冠詞の”glass”は「硝子」という意味になることもある

p16.本当は、aという言葉で意味的カテゴリーをたててから、それに適切な名詞を探していって、結局manに決めるのが英語の思考プロセスであるので、英語の「冠詞用法」を理解するためには、manにaをつけるという類の考え方は役に立たないであろう。むしろ、その理解を妨げる可能性が強いような気がする

p29.翻訳するとき、名詞の使い方の問題だけに限れば、英語から日本語に行くより、日本語から英語に行く方がよほど難しいような気がする

「『ない』は『何もない』という意味ではないか、『ゼロ』ではないか、『なさ』には度合いがあるか、『なさすぎる』なんて、どうしても私に納得できないことである。英語は決してそういう非論理的な言い方を許さない」

p45.冷蔵庫というものは、どの家庭にでもあるというふうに意識されるが、電子レンジはまだそこまで普及していない。her microwaveのherの単なる所有関係に対して、the freezerのtheは、the freezer that is the expected pert of any homeという意味を与える

p53.このセンテンスのtheの意味的カテゴリーに入っているbeginningやheaven、earthも、語り手と聞き手の間の相互理解では、3つともそれぞれ「一つしかないもの」であるので、それ以上限定するまでもなく、3つともそのままtheのカテゴリーに入ってもよいのである

p70.これは乗る人と乗り物の運転との意識の上での距離の問題である。例えば、airplane、ship、busなどの場合、乗る人は一人の乗客にすぎず、乗り物の運転に特に何の影響も及ぼさず、ただ貨物のように「運ばれている」感じが強い。それに反して、car、taxt、private、aircraftなどに乗せてもらう場合、自分とその運転との距離は意識の上で全然違うものである。単に「運ばれる」のではない。乗り物の運転と自分との間につながりがいくらか感じられるために、これらに乗っている状態はonではなく、”in”となる

p73.outというのは三次元関係を表し、動詞に「立体感のあるものの中から外へ」という意味を与える。それに対して、offというのは二次元関係を表し、動詞に「あるものの表面から離れて」という意味を与えるわけである

p81.come over (to my house)は単なる(come to my house)よりずいぶん柔らかい、リラックスした、インフォーマルでフレンドリーな印象を与える。come aroundもまさにそうであるがcome overのやや「一直線」的な感じに対して、come aroundでは、いくらか「回ってくる」ような、「ついでによる」ような気持ちが入っているので、謙遜な雰囲気がわずかに出てくるのである

p100.どうして英語と日本語との間にこういう違いが出てくるかというと、いつも「時」のことばかり気にする英語の特徴に対して、日本語は、「時」事態に関して特に気にせず、いつも「相」(aspect)のことばかり気にするからである。それは簡単にいいかえれば、英語にとっては行動と状態の時(the timing fo the action or condition)がもっとも大事であるが、日本語にとっては行動と状態の完了の程度(the degree of completion of the action or condition)がもっとも大事なのである

p114.By the time I got to Phoenix, she had cried for two hours straight. She has cried for two hours altogether.





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