野中広務・辛淑玉「差別と日本人」角川書店

公開日: : 最終更新日:2012/07/04 書評(書籍)



発刊されたことはかなり話題となったよく売れたように感じる。いま図書館で借りると、複数の在庫が、誰からも借りられずに眠っているのだ

野中部分はリアルな感じがしておもしろい。辛部分は、どうもあんまりだった気がする。その証拠に対談本なのに、野中の部分が圧倒的にメモの対象になった。部落差別がないところに育ったことから、この辺の意識は希薄である。社会人になってから在日の人と知り合うことにはなっても、仕事以上の付き合いとなることはなかった気がするし、その後、特に最近は、在日以外の民族的な混交が進んでいるように思う中で、日本人とだけ仕事をするということのナンセンスさを思う。それにつけても、海外経験をしていることで、どれだけ経験上助かっているかとも思う

野中を見直したというか、言っていることの真っ当さに感じ入る。同和利権を自分だからなんとかできるし、なんとかしなければいけない、とか。また、松本智津夫の子への不当な取扱いとか。ちょっと仕事人間なところが、奥さんがかわいそうだけど



P3.「野中さんは大阪におったら飛ぶ鳥落とす勢いだけど、地元に帰ったら部落の人だ」私は耳を疑った。その声の主は、私がわざわざ地元から鉄道管理局に就職させて、手取り足取り仕事を教え、私が行けなかった夜間大学にも仕事を調整して行かせてやり、おまけに学校から帰ってきたら味噌汁も作ってやった後輩だったのだ。そんな人間に裏切られるとは……。私は茫然自失の状態となり、4日間ほど、のたうち回った

p21.今でも、結婚差別に関する実態調査をすると、京都の社会意識としての差別観念は他に比べて高いと言われ、実際、どこが被差別部落なのかといった話になると、私が京都で出会った人の多くが、密やかに小声で被差別社やその居住空間を特定できた。そんな眼差しと文化の中で「野中広務」は育ったのである

p73.「それは私が理解しておればいいことです。親や兄弟まで了解を得なければいけない話ではありません。私は分かりました」そう言うて結婚したんですよ。30歳の時だ

p77.それがずうっと後悔として残っている。実は、僕は臓器移植法案の発起人になっていたんだけれども、採決の4、5日前から、死んだ長男が毎晩出てくるんですよ。そこで自民党のみんなが集まる部屋で言った。「悪いけど私は棄権させてほしい。自分には苦い経験があって、いま、それがガンガン、ガンガン毎日私を責めるんだ。その時の思い出が甦ってきて耐えられないんだ。だから今回の採決だけは申し訳ないけど棄権させてほしい」と言ったら、中山太郎さんは、「いや、私も小児科医をやっていたから、あなたのそのお気持ちはわかる。今回ははずれてもらっていいですよ」と言うて了解してくれたことがありました

p108.スイス犬が海外から援助にやってくるという話も弱った。世論が使えとやかましいが、犬1頭にドイツ語とフランス語の通訳を2人つけてくれと。おまけにお犬様と通訳が泊まるところをつくれ、でしょ。人間がちゃんと寝るところさえなくて、あの寒い中をテントで皆寝てるのにだよ。しかし、どうして海外からの援助を受け入れないのかというマスコミからの集中砲火と国民の世論の批判を浴びて、5頭だけ受け入れはしました。ただ、スイス犬は死体を見つけてくれただけでしたけどね

p113.松本智津夫氏の子どもたち全員と私が関わったからなんです。両親が犯罪を犯したからと、子どもも犯罪者のように扱われ、小学校にも行けないというのは異常でした。住むことも、食べることも、働くことも、公衆浴場に行くことも、電気ガス水道の使用も拒否されるなんていうのは、すさまじい大衆の暴力です。朝鮮人が叩かれている時もそうだけど、政治家は、それはいけないことだと言ってほしい。アメリカのあのブッシュでさえ、「9・11」の後、アメリカにいるイスラム教徒は別なんだっていう話をした

p159.重度障害者の授産施設を引き受けて38年ほどになりますけど、ずっと無報酬でやってきた。これ、僕の一つの誇りだと思っている。みんな商売でやるけれども、僕は無報酬でやってきた

p165.麻生さんが初めて選挙に出た時、福岡の飯塚の駅前で、「下々の皆さん」って演説した。これが批判を受けて選挙に落ちたんだ。彼はずうっとそういう感覚なんですよね

p172.僕の隣に外務省の書記官がおったけれども、「もっとやってください」と僕のヒザを叩いて再三言っていた。お互いに激しくやりあった。そうしたら司会役の山村新治郞氏が、「野中さん、もうここらで、ここらで」と締め括って、金容淳が「あなたは絶対的に友好的な人でないから、これから何回も来なさい」って。ね。「われわれの真意をわかりなさい」って、何回も行かなければならなくなった。それで一番の友人になった

p177.自分の出生問題の波及の大きさ、日本の閉鎖性と、僕はずっと闘ってきた。誰も手をつけなかった同和利権に関する税の問題などは、自分が政治家でいる間につぶしておかなければ、永久にこれは続いていくと思った。四面楚歌の時もあったけれども、いろいろな人の力を借りてやってきた。みんなまじめにやろうよと、一生懸命やろうよということを僕は伝えたかったからね

p193.うちの女房は買い物も映画も僕と一緒には行かないんです。いまだにですよ。自分も杖を突いているから、タクシーに乗せて行って、荷物も持ってあげると言っても、「いや、あなたとは行かない」って。みんながあなたに声かけるから煩わしい、というのが女房の本音なんですよ。だから飯を食いに行っても、絶対に僕の顔のわからないところを選ばなければいけない

p200.「お連れ合いと時間を戻せるとしたら、何をしたかったか」という質問も受けた。即座に答えを見つけることができなかったが、これからのことならば、少しは考えていることがあったので、話した。それは、2泊3日ぐらいのスケジュールで女房をクルマに乗せて、小旅行をしようかなということだ。罪滅ぼしになるのかならないのかわからないけれど



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