竹内薫「99・9%は仮説」光文社新書



20100507220350





これもかなり昔の本になってしまった。内容は面白いが、誰が読むべきなのか、はっきりしない気がする。毀誉褒貶の激しい本または作家。わたしは好きなほう

惑星ではないと思っているにもかかわらず、惑星だとあえて表現するセンスについては仕方がない。科学の世界でこうなのだから、実業の世界ではある程度の表現上の誇張は許されるとも思う。科学技術のためならば騙しが正当化されて、実業の世界であれば非難されるというのもどうか



p32.科学は絶対的なものごとの基準ではありません。あくまでも、ひとつの見方に過ぎないのです。よく「科学的根拠」がないものは無視されたりしますが、それはまったくナンセンスです。なぜなら、科学は全部「仮説にすぎない」からです

p47.逆行はふつうの星(恒星)には起こりませんが、惑星には起こります。もともと、逆行して「惑う」ように見えることから、「惑星」という名がついたのです

p59.常識にとらわれて、頭の中にある仮説の群れに気がつかなければ、それは「頭が固い」といわざるをえません。頭が固ければ、ただ社会の荒波に翻弄され、ただ流されていくだけです。逆に、常に常識を疑う癖をつけて、頭の中にある仮説の群れを意識するようになれば、それは「頭が柔らかい」ということなのです。旅をすると、そういった頭にこびりついた常識がくつがえる場面に出会うことがよくあります

p116.どうやら、海王星の外には、カイパー・ベストと呼ばれる小惑星対が広がっているのではないか、というのが現在の天文学の常識です。だから、2003UB313もその小惑星体の小惑星の1つにすぎないという考え方が、天文学者たちの間では一般的になっています。実際、わたしもそう思います。そういう常識があるのに、なんで10番目の惑星などといいだしたのかというと、そういったほうがカッコいいからなんです!? びっくりしないでくださいね。少々きな臭い話になりますが。現在、科学の世界では「話題作り」が大切なのです。マスコミに取り上げられて世間の注目を浴びると、その研究は重要だと思われて、研究資金の目処だってつきます。だから、科学者たちも研究機関も、自分たちの研究を宣伝しないといけません

p177.あらゆる問題のうちで、起源に関するものほど難しいものはありません。宇宙の起源、生命の起源、意識の起源――

p182.実際には、どんな人間でもたくさんの人格、つまり「役割」を演じているのです。だから役割理論と呼ぶんです。罪を犯した人がよく「魔が差した」などといいますが、あれって魔が差したわけではなくて、もともと悪い面をもっているんですよね。つまり、最初から、罪を犯すような面ももっている。もちろん、そうじゃない面ももっている。ただ、いろいろな役割をもっていただけの話なんです

p190.いまだに一般の人は相対性理論をよく理解できないでいますよね。「相対性理論がいまいちわからない」といった質問が、よくわたしのところにもきます。やっぱり、いくつもの仮説が対等の立場で共存しているというのがピンとこないみたいです。正直いうと、わたしだって気持ち悪いですよ。でも、その気持ち悪さが平気になってしまうと、意外と相対性理論というのは腑に落ちるんです。ある意味、諦めることが肝心なんです。太郎君からみたら世界はこうみえる。次郎君からみたら世界はこうみえる。また別の人からみたら別の世界がみえる。単にそういうことなんだって諦めがつく人は、相対性理論を理解できるようになります

「人を殺してはいけない」という戒律を破ってしまっている思想活動に対して、宗教という言葉は使いません。そんなのは、すでに宗教ではないと考えているからです。でも、宗教と関係ない人は、人殺しの行為も含めて「宗教」という言葉を使う。これじゃ、お互い、話は通じませんよね。「宗教」という言葉が同じで、発音が同じだと、人はそれらが同じ意味だと思ってしまうんです。でも実際は、まったくちがう仮説のネットワークの中に組み込まれてしまっているわけですよ。その言葉自体の意味は。文脈が違うといってもいいでしょう。だから、共約不可能性というのは、われわれの身のまわりに常に起こっている現象なんです





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