岩崎夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」ダイヤモンド社

公開日: : 最終更新日:2012/02/03 書評(書籍)



それなりに面白かった。じっくりと練られている

うまくドラッカーを伝えられている。また野球というスポーツ、それも高校野球という舞台設定をうまく絡められている

これは、ドラマ化または映画化されるに決まっている



p55.「つまり、『野球をすること』というのは、ここでいう『わかりきった答え』なのよね。だから、それはたぶん違うと思うの」

p128.「そうよね! 合ってるよね!」とみなみも、興奮して激しくうなずきながら言った。「私、知ってるの。一人、野球部に感動を求めている顧客がいることを!

そうなんだ、彼女が顧客だったんだ。そして、彼女が求めているものこそが、つまり野球部の定義だったんだ。だから、野球部のするべきことは、『顧客に感動を与えること』なんだ。『顧客に感動を与えるための組織』というのが、野球部の定義だったんだ!」

p287.いきなり、教室に大きな声が響き渡った。「そういうピッチャーはいないんだ!」 みなみは、びっくりして教室を見回した。

p305.そのためには、まずは「試合の魅力とは何か?」を分析しようと文乃は考えた。そこで、加地と二人で「試合にあって練習にないもの」は何か――というのを話し合った

p347.野球部がイノベーションを実現するためには、まず、既存の高校野球は全て陳腐化すると仮定するところから始めなければならなかった。そのうえで、高校野球の古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを、計画的かつ体系的に捨てていく必要があった

p355.すると加地は、これについてもすぐに答えた。「おれの知る限りだと、二人いる。一人は、池田高校を率いた蔦文也監督で、もう一人は、取手二高を率いた木内幸男監督だ」

p357.「この二人は、おれにとっても憧れの存在なんだ。甲子園の歴史を振り返った時、伝説の名将としてまず名前が挙がるのが、この二人だからね」

p371.それは、自分たちが取り組んできたマネジメントの方法を、野球部以外にも広げてみてはどうか、というものだった。マネジメントを通じて、他の部にも貢献する。マネジメントによって、他の部の部員たちをも生かす。そうすることで、社会の問題について貢献しようとしたのだ

p397.すると、いつもはニコニコ笑って「なれるよ」と答えていた父が、この時ばかりは苦笑いのような表情を浮かべ、それには何も答えなかった

p424.それは、アイデアの良し悪しを判断するのは自分の役目ではないと思っていたからだ

p426.みなみは、正義のやろうとしていることの良し悪しは分からなかったが、それが「新しいことを試み」ているというのはよく分かった。だから、彼の「意欲」や「士気」を大切にしようとしたのだ

p454.野球部では、ボール球を見送る練習を集中して行うことになり、攻撃に関しては、それ以外の練習は一切捨てた。

続いて、守備のポイントを「エラーを恐れない」ということに決めた。

加地は、投手陣には「ノーボール作戦」という指針を打ち出していた。これは、ボール球を投げずに、全球ストライクで勝負するというものだ

p462.グラウンドの同じところを、何度も何度も行き来した。おかげで、彼の走ったところだけ芝生がはがれ、くっきりとした跡が残った。そこはやがて「桑田ロード」と呼ばれるようになり、彼の伝説の一つとなった

p524.彼をキャプテンにすることを思いついた。そうすれば、たとえ下手でも大手を振ってベンチに入れる。そして、マネジメントが本当に欲し、重視し、報いようとしているものが何であるかを、組織の中の人間に対して知らせることができる

p531.これに目をつけた応援団は、いつしか文明がリードを始めると、その歩みを大声で数えるようになった。「イーチ! ニーイ!

サーン!」と、歩数を全員で唱和するのだ。 すると、これがさらなるプレッシャーとなって、相手エースを苦しめた

p623.「見ていろ。敬遠したことを、心の底から後悔させてやるから。敬遠のフォアボールは、いかなる場合も使うべきではないというイノベーションを、おれは今ここで起こすんだ」

p627.今回は八歩リードを取ったのである。そのため、八までを数えた観衆からは、おおというどよめきとともに、大きな拍手が湧きあがった

p632.そんなふうに、うんざりしかけた、その時だった。不意に、心にコツンと、小石の当たるような感覚を覚えた。

それで、思わず次郎に言った。「今、なんて言った?」



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