成毛眞「実践!多読術」角川oneテーマ21

公開日: : 書評(書籍)

ここで紹介されている本を多く、読もうという気になった。歴史もの、軍事もの、科学もの、をもっと読もうという気になった。内容についてはいちいち納得することばかり。常識を疑い、最新の情報を得ること
p22.お風呂に一番適しているのは創元社の『知の再発見』双書だ。フランスのガリマール社の『ガリマール発見双書』を原本としたものだが、歴史や考古学、音楽や科学などの知の遺産をカラー図版で見せてくれる。私はこの双書を50冊程度そろえている p29.去年、ジュンク堂が名古屋店と松山店を出店したらしいのだが、「失敗した」という話を聞いた。売れなかったのではない。その逆だ。レジが足りなかったのだそうだ。レジでお客を長く並ばせてしまったというのだ。地方都市は、それだけ大型書店に飢えているという証左だろう p40.モンテスキューの『法の精神』はおもしろい。ただ、この本を法学部生だけに読ませるというのは間違いだ。むしろ読むべきなのは他の学部の学生だろう。この本は確かに三権分立について書かれているのだが、それは全体の数%にすぎない。私は、どこに書かれているのかすらわからなかったほどだ。しかし、それでもこの本はおもしろい。ギリシャ時代からの歴史がうまくまとめられているからだ p49.その時代ごとに、人類は常に最先端の科学や軍事について読み、学んできたことになる。現代人がもしそれを放棄したら、それこそ時代から取り残されてしまう、過去の人間になってしまうと私は思う。ビジネスパーソンにとっても軍事の素養や、自然科学に対する造詣は必要なことなのだ p53.アメリカ人は、常に達成するべき目的を設定して、そのために発見をしようと努力する。あくまでも行動は合目的的なわけだ。だから、「月に行く」と大統領が決めれば、期限内に月に着陸することもできるが、役に立たないような知的探究はイギリス人のほうが優れているように思われる。さらにその蘊蓄を記述することについて、イギリスのほうに歴史があると思うのだ。それはまさに、知的探究心だ。オックスフォード大学やケンブリッジ大学が持っているエリート主義が影響している可能性がある。こうした大学には、イギリス独特の階級社会にあって、いわゆる貴族のような家庭に生まれた人材が集まる傾向がある。食うに困らず、アメリカの学生のように、「卒業したら投資銀行に勤めて一旗揚げる」などという換金性のある夢を持たない人たちだ。換金性にこだわるのであれば、目的のない探究などはできないのではないか。深遠なる科学の世界、または歴史の大海に船出する知的探求心など持てないのかもしれない p60.軍事本のおすすめは最近の戦争に関するものではない。地中海世界から近代ヨーロッパまでが面白い。つまりアレキサンダー大王からナポレオンあたりまでがお勧めなのだ。自分自身は軍政から最新兵器までさまざまな軍事関連本なども読んでいるのだが、これはいささかマニアックかもしれない。付け加えると、軍事本のエッセンスだけを抽出し、ビジネスにこじつけたような本はつまらない p68.じっくり一冊の本を批判的に読むことこそが、その道の専門家でないビジネスマンにとっては鬼門なのだ p74.経営とマーケティングの関係は自然科学と軍事の関係に似ていると説明した。経営は仮説を立て、それを信じてリスクを取るが、マーケティングは現状認識ができないものには手を出せない。だから、経営者は自然科学の研究者のように、そしてマーケティング担当者は、軍隊の作戦参謀のように振る舞うのが正しい p78.カエサルは作戦立案にも優れていたが、むしろ人心掌握の面が極めて長けていた。その才能をいかんなく発揮して、決して撤退しない軍隊を作り上げることができたのだ。しかも、それゆえに戦わずして勝つことも多かった。実際、ガリア遠征中でも、いつもガリア人と戦っているわけではない。一度は戦うが、そのうちにガリア人たちはカエサルの人間性に納得し、軍門に下ってしまう。脅しで屈服させたのではなかったようだ。カエサルは、本物の「人たらし」といえよう。ルビコン川を渡って、カエサルがローマに凱旋したときは、ローマ市民は皆、「この女ったらしの禿げ頭」と叫んで祝福したというが、カエサルは、そう言われるのが嬉しくて仕方がなかったというのだから恐れ入る p80.自分のことを振り返ってみると、私がマーケティング部長の職にあったときは、マーケティング関連の基本書はコトラーの著作を一冊読んだだけだったかもしれない。それ以外は、主に戦記を読みふけっていた。たとえばローマ帝国を屈服寸前まで追い詰めた、カルタゴの将軍、ハンニバルの戦略について書かれた『ハンニバル』や、マケドニアの『アレキサンダー大王』などだ。残念ながら、軍事戦略や軍記といった場合、日本の歴史ものはほとんど用をなさない。日本史の場合、正確な戦いの記録が残っていないからだ p87.「タイタニックはじつは意図的に沈められた」とか、「利休の茶室は朝鮮儒者の庵のコピーだった」などという、まさに仰天もののストーリーを読めば、何についてであれ、疑うことの大切さを学ぶことができるようになる。常識を逸脱することができるようになる。そして知名度が高いだけの権威の言う正論に惑わされることなく、自分の考えを持てるようになる。万巻のビジネス書を読んでも常識を疑う能力はまったく養えない。これが自然科学読み物や、歴史上の常識に異議を申し立てるノンフィクション・ミステリーを読むことをお勧めする所以なのだ p89.じつはビジネスの報告書を書くのに、それほどの英語力は必要ない。月報などは高校生レベルの簡単な英語で書けるのだ。そして、そのレベルの英語では物事を論理的に書くことしかできないのだ。逆説的だが、英語力が高校生レベルであれば、むしろ内容を曖昧に書くことの方が難しい。書こうとする内容そのものが曖昧だと、日本語であれば誤魔化すことを知っているために簡単に書けるのに、英語では途中で書けなくなってしまうものなのだ。つまり英語力を身につけるのではなく、自分の考えをきちんと論理化するためにあえて英語で作文すると考えればよい p124.米原万里氏のすべての著作がお勧めだ。通訳・翻訳者であるがゆえに、日本語そのものが散文的でじつにうまい p145.驚くことに「宗谷」が砕氷船に選ばれた理由は「運の良い船」だったからだというのだ p168.東大をしのぐ軍事教育エリートたちで構成される司令部のおそるべき無能さに驚かされる
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