カーマイン・ガロ「スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン」日経BP社

公開日: : 最終更新日:2012/11/16 書評(書籍)



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この本を読んでからスティーブ・ジョブズのプレゼンを見るようになった。確かに魅力的だ。すでにiPod、iPhone、iPadを持っているにもかかわらず、あらためて良い製品だと思わせられ、購入者として満足を感じる。先日のiPad2のプレゼンも良かった。長すぎて途中から寝てしまったが

あのようなプレゼンの映像に、文章は出てこない。単語や、もっと端的には数字だったりする。目を見張る実績と、それの効果的な示し方。本文にあるように、決して箇条書きは出てこない

自分に後悔。なぜ初代iMacの時点でAppleの株式を売却してしまったのだろう

この本は、現在に生きる人間がこの同時代に注目すべき大事なひとつを教えてくれる。たぶん、iPad2を買う



p10.最底辺から一段上がったら、しゃべったり書いたりした言葉でどれほど他人に影響を与えられるのか、それが実態としての自分の能力を規定する――ピーター・ドラッカー

p16.退屈なはずのものを取り上げてすばらしいブランド・ストーリーが作れる人はごくわずかしかいない。そのひとりがシスコのCEO、ジョン・チェンバースだ。チェンバースが売っているのは、インターネットのバックボーンとして使われているルーターやスイッチではない。チェンバースが売っているものは、実は、我々が暮らす、仕事をする、遊ぶ、学ぶというその方法を変える人と人とのつながりなのだ。これは、人を惹きつける魅力を持つコミュニケーターに共通する能力である。難解な製品や日常的な製品に新たな意義を持たせる能力だと言ってもいいだろう。スターバックスのCEO、ハワード・シュルツはコーヒーを売っているのではない。彼が売っているのは、職場でもなく、家庭でもない「第3の場所」だ。資産形成や金融問題の大家、スージー・オマーンは信託やミューチュアルファンドを売っているのではない。彼女が売っているのは、金融という世界における自由という夢である。同じように、ジョブズはコンピューターを売っているのではない。彼が売っているのは、人の可能性を束縛から解き放つツールなのだ

p17.スティーブ・ジョブズは世の中を救いたいという熱員に突き動かされている。「宇宙に衝撃を与えたい」と思って仕事をしている

p20.シーン1「計画はアナログでまとめる」、シーン2「一番大事な問いに答える」、シーン3「救世主的な目的意識を持つ」、シーン4「ツイッターのようなヘッドラインを作る」、シーン5「ロードマップを描く」

p26.箇条書きなど、スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションで見たことがない

p28.キングがナプキンに描いたのは、中に都市名を書いたマルが3つとそれらを結ぶ線。シンプルだ。これだけでビジョンを理解したケレハーは、法務のコンサルタントとして契約(後にCEOとなる)。1967年、ふたりはサウスウエスト航空を設立し、米国における飛行機の利用に対する考え方を大きく変えるとともに、世界的に評判の高い企業文化を作り上げていく。ナプキンに描けるほどシンプルなビジョンにも、驚くほどのパワーが秘められているのだ

p31.ひとつだけ挙げるとしたら、聴衆に覚えてほしいアイデアはどれだろうか。それを短く、印象に残る形で、何が何をどうするという文にまとめよう

p31.講演の祖、アリストテレスは、話す題材に対して情熱を持つことが肝要だとした。スティーブ・ジョブズは、毎回、くらくらするほどの熱情を感じさせる。パッションステートメントを考えてみよう。数分で済む。次の文を完成させればいいのだ。「この製品(会社、構想、未来など)が私は大好きだ。なぜなら……」。パッションステートメントができたら、恥ずかしがらず、胸をはってみんなに伝えよう

p67.自分はおかしいんじゃないかと思う瞬間が人にはある。その異常こそ天賦の才の表れなんだ。そういう人のために僕らは製品を作っている――スティーブ・ジョブズ

p73.リーダーは未来というものを明確にイメージしているとバッキンガムは言う。「リーダーとは未来に魅せられた人をいう。変化を求めて動かずにはいられない、事態の進展がじれったい、現状に大きな不満を持っている――こういう人が、いや、こういう人だけがリーダーである」「リーダーが現状に満足することはない。よりよい未来が見えているだけに『今の姿』と『あり得る姿』のギャップにいてもたってもいられず、前へ前へと進んでしまうからだ。これを人はリーダーシップという」

p79.「クレージーな人たちに乾杯。はみ出し者。反逆者。厄介者。変わり者。ものごとが世間と違って見える人。ルールなどわずらわしいだけの人。現状など気にもしない人。彼らを引き合いに出すことはできる。否定することもできる。たたえることもけなすこともできる。できないのはおそらくただひとつ――彼らを無視すること。なぜなら彼らは物事を変える人だから。人類を前に進める人だから。彼らをおかしいと評する人もいるけれど、我々はそこに天才の姿を見る。なぜなら、世界を変えられると信じるほどおかしな人こそ、本当に世界を変える人なのだから」この広告は数えきれないほどの賞を獲得し、熱狂的なファンを生み、5年もの間使われた。5年というのは、回転が速い広告の世界では永遠にも等しい時間だ。この広告により、アップル関連のあらゆるものに注目が集まるようになった。もちろん、コンピューターの世界で因習を打破しつづける男、スティーブ・ジョブズんい対する関心も急上昇した

p90.放置してメディアにヘッドラインを作らせることなどジョブズはしない。自分で作り、プレゼンテーションで何度も使う。まずヘッドラインを打ち上げる。次に製品を詳しく紹介する。デモも使うことが多い。説明の最後は、またヘッドラインを使って締める

p142.マイクロソフトが抱えている問題はただひとつ、美的感覚がないことだ。足りないんじゃない。ないんだ――スティーブ・ジョブズ

p167.ドイツの有名画家、ハンス・ホフマンの言葉に「簡素化というのは、不要なものを削り、必要なものの言葉が聞こえるようにすることだ」というものがある。本質的でない情報を削ってすっきりさせることにより、ジョブズは、使いやすさや明快さという目的を達成するのだ

p318.「研究の結果から推測されるのは、トップクラスの音楽学校に入れるだけの能力があれば、あとは、どれほど努力するのかによって、そのあとミュージシャンとしてどこまで進めるのかが決まるということだ。それ以外にない。また、頂点に立つ人は、努力が他人より多いという程度でもすっと多いという程度でもない。圧倒的に多いのだ」『天才! 成功する人々の法則』(講談社刊)を書いたマルコム・グラッドウェルの言葉だ。この話はミュージシャンについてであるが、優れた成果を上げた人々についてはさまざまな研究が行われており、何かが上手な人は必ず練習を積んでいることが確認されている。神経科学の専門家でミュージシャンでもあるダニエル・レビティンは、1万という数字がポイントだと言う。「そのような研究から明らかとなったのですが、どのようなことであれ、世界的な達人というレベルまで熟達するには1万時間の練習が必要なのです……作曲家、バスケットボール選手、作家、スケート選手、ピアニスト、チェスプレイヤー、天才的な犯罪者と何を対象に研究してもこの数字が登場します。練習してもうまくならない人もいれば同じ練習量でどんどんうまくなる人がいるという問題は別個にありますが、でもともかく、これより短い時間で世界的な達人の域に到達した例は見つかっていません。熟達といえるほど多くのことを頭が吸収するにはこれだけの時間が必要なのだと考えるべきでしょう」

p342.衣装についてのアドバイスは、米陸軍特殊作戦部隊に所属していた英雄、マット・エヴァーズマンが教えてくれた以上のものはない。リーダーとはどうあるべきかを尋ねたところ、リーダーたるもの、他の人よりも少しだけよい服を着るべきだと教えてくれた。新しい部下に初めて会うときには、その部下よりも少しだけ余計に輝く靴と少しだけ白がきわだつシャツ、少しだけよくプレスが効いたズボンを履いておくというのだ

p373.この祝辞を、ジョブズはヘッドラインで締めた。自分が一番アドバイスしたいと思うメインのテーマ、「ハングリーであれ。分別くさくなるな」である。本書で見てきたように、ジョブズはメインのテーマを必ず繰り返し語る。このときも、まとめのパラグラフで「ハングリーであれ。分別くさくなるな」を3回、繰り返している





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