金川千尋「危機にこそ、経営者は戦わなければならない!」東洋経済新報社

公開日: : 書評(書籍)



思っていたよりもあっさりした内容。しかし実績を出しているから自信にあふれた物言いであり、読んでて気分がいい

お祭りやパーティーは好まないところは好感

CIがダメだと言うので、IRについての評価も期待していたら、逆に大事と言われた。肩すかしを食らった。アメリカのコンサルに無駄金を使うというのともかく、むしろ逆のような気もするけど

人員は大事にしつつ、その前後ではしっかりとしているメリハリがいい。採用は無闇に行わないとか、逆にクビを切ることも意識的に、適切な処遇で断行する状況が描かれている



p141.企業の合理化について、私の基本的な考え方は、少数精鋭主義ということになります。20人分の仕事をする一人のプロを育てるということです。私はこのことを話すとき、いつも戦闘機のパイロットにたとえるのですが、太平洋戦争で開戦当時の日本海軍のパイロットは、ゼロ戦一機で敵を10機も落としていたといいます。職種にもよりますが、知的労働においては10人分以上の働きをする人は実際にいるものです。例えば営業では、一人で10人分も20人分も売る人がいます

p144.また、間接部門にもムダな人員は置いていません。ムダを取り除く極意は、不要な部門を置かないように、最初から企業運営を考えるということです。例えば、シンテックには売上代金の回収について専従の者はいません。私の女性秘書が回収係もやってくれているからです。彼女の場合、私がアメリカの事務所に常時いるわけではないので、そんなに秘書の仕事は多くありません。そこで、回収の仕事も頼んでいるわけです。私はいわゆるコレクション(回収)・マニュアルをその秘書に教えたのですが、彼女はこれを忠実に実行し、なかなかの成果を上げています。例えば今月の末に支払日が来るならば、1週間ないし10日前にそのことを先方にさりげなく伝える。それから、支払日から、1日、2日過ぎても入らないようなら、すぐ電話する。相手はお客さんなのだから絶対に自分が怒ってはいけない。また相手を怒らせないようにする……などという具合です。今では、彼女は回収のベテランです。お得意先の担当者の顔はもちろん、誕生日まで知っていて、花束などを贈っているようです。このように、普段から彼女は担当者との良好な関係をつくっているので、電話一本で、実にうまく回収しています。彼女がいれば、資金回収については専従の人間など不要なのです

p153.私が社長になる前の1980年代後半、当社はCI(コーポレート・アイデンティティー)に40億円以上も使ったことがありますが、私はムダなことだったと思っていました。あのときにやったことと言えば、海外ロケまでしてテレビCMをつくったりなど、およそ素材メーカーらしくないことばかりでした。それで現在も残っているものと言えば、社名のロゴをつくって、看板や名刺を変えたことぐらいで、そのほかには何も実がありません。あれは、アメリカから来たCIの専門家だという妙な人たちの言うがままになり、結局は金をむしりとられたようなものでした。40億円もあれば研究所が2つもつくれます

p172.これ以降、私が社長として直接シンテックを経営することにしました。このときからシンテックは業績を伸ばし始めたのです。私はこの経験から、それがたとえ外国であっても、経営を人任せには出来ないと思うようになりました。アメリカでは部下が「アメリカではこうだ」と言うことがありますが、「あなた方はローカルなんだ。インターナショナルではこうなんだよ」とぴしゃりと言います。すると、彼らは忠実にボスである私の指示に従います。リーダーに適性がなければ、自分でやったほうが早いわけです。使えない人を採ってしまえば、事後処理に大変なエネルギーを必要としてしまいます。それを考えれば、自分の時間をさらに節約し、自分でやったほうがはるかに早いし確実です。海外でも自分の経営哲学を貫くべきなのです

p217.私は”お祭り”には参加しません。例えば、オランダの会社を買収する際、その契約が締結されるときもそうでした。1年半もかかった交渉が終わり、1999年末に最終的にすべての条件が整ったので、契約締結の運びとなりました。契約を締結するため、先方はロンドンへ来てくれと言ってきたのですが、そうなれば、当然のように契約締結のパーティーのようなものが行われるでしょう。でも、私は、「勘弁してくれ。契約のサインはファクスでやるから」と言って、締結式はやめてもらいました。出来れば、こうしたことで私は動かないようにしています。本当は当然行くべきで、いろいろな人と会うことも大切なのですが、私はより重要な案件に時間を使いたいのです。というのも、このような仕事に参加すると体が大変に疲れるからです。それで事実上数日間はほかの仕事が出来ません。そこで、悪いとは思いましたが、サインはファクスで済ませ、お祭りは遠慮させてもらいました

p218.夜の会合やお付き合いのようなパーティーには、原則として出ないようにしています。ただし、昼間のものは出ることがありますし、大事な人に会う場合や、勉強になるトップとの会合など、例外的なものには夜でも出席します



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