山根一眞「メタルカラーの時代1」小学館文庫

公開日: : 書評(書籍)



20111223080312

福島の原子力発電所が事故になったせい、関東で電力供給が悪くなり、さらには関西のほうが電力供給事情は深刻だとか、また九州電力まで供給体制に不安が出てきたというのが不思議だった。個別には合理的な事情があるんだけど、全体から見ると何をやっているんだという感じ。当時、中村正三郎さんのサイトで、送電の仕組みの話の中で触れられていたのを契機に、この有名なコラムをいちど通読しておくかという気になった

文庫本になっているので、ちょっとした隙間に読み進めることができる。確か、週刊ポストかの連載なので、一つひとつの話が簡単に読み切れるのもいい。理系の話を噛み砕いて聞けるのが、文系の人間にとっては目から鱗な話が多い。ちょっとインタビュアーが前に出過ぎな気がするが、しかたがない

今回は、ツツジの話が面白い。ラクするためにツツジが多く植えられているんだ。うちの庭にも一つあるけど、確かに隅っこの日の当たらないところでも元気に育っている。そういう強さは好感を持つが、お仕着せされているとすれば、あんまり好きになれないかもな。駒込駅構内のツツジくらいになると別だけど



p265.西南戦争で官軍が勝てたのは、東京と九州を結ぶ電信のおかげだったんです。先回りして兵站計画を立てることができましたから

p265.天然ゴムって、当時最先端のハイテク素材でね。しかもアマゾンでしか採れなかった。現代なら、世界のプラスチックを独占していたのと同じことなんです。そのため、19世紀後半から20世紀初頭にかけてアマゾンに世界の富が集中した。マナウスの町は、世界で最も豊かな町といわれて、リバプールより早く市街電車が走り、大オペラ劇場までできた。その天然ゴム景気は、ちょうど勃興した自動車用のタイヤ需要でもたらされたといわれてきたんです

p279.いや、びっくりしました。草ぼうぼうで、三多摩の山よりすごい森。江戸時代には手入れが行き届いた名園だったが、昭和天皇は「手を入れるな」とおっしゃって、雑木林にしたんだと聞きました。50年以上落葉かきをしていない雑木林なんて初めて見ましたよ。地面は分厚い腐葉土で、カステラの上を歩いているみたいでした。雑草を抜いてもいけないというのは、陛下の見識ですね。もっともヒメジョオンのような帰化植物だけはお嫌いだったらしく「抜いてもよい」(笑い)

p287.サクラは非常に交雑しやすい植物で、サクラ、ヤナギ、スミレを三大浮気症と呼ぶくらい

p291.ツツジはですね、まず管理がラクというメリットがある。虫もあまりつかないし、手入れも一斉に刈り込みをいれるだけですむ。枝を切って、床に挿すだけでどんどん苗木の大量生産もできますしね

p299.新しい都庁が話題になってるけど、戦後に建てた庁舎は50年ももたなかった。最低ですよ。日本の建築家には、パリやロンドンのように200年、300年もつ建築物をつくろうという思想が欠落してるでしょう。建て売り住宅なんか20年



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