山根一眞「メタルカラーの時代3」小学館文庫

公開日: : 書評(書籍)



20111226181926

このシリーズを連続で読んでいる。たぶん、全部読む
山根一眞「メタルカラーの時代1」小学館文庫
山根一眞「メタルカラーの時代2」小学館文庫

こういうフランス人の、と総体として言ってはいけないんだろうけど、こういう考え方、好き。精神論とか排除して、しっかり合理的に動く。さらにはしっかりと情報共有と認識あわせをすることで組織として動き、コミュニケーション不足に由来する無駄な動きがない

新幹線のぞみの開始とカラスの慣れの話は興味深い。保守管理に感動する。90年代後半だっただろうか、東海道/山陽新幹線がそろそろ老朽化するのではないかと恐くなったときがあった。急ピッチの建設のためコンクリートの材料となった海の砂に含まれていた塩分のせいで腐食が進んでいるとかなんとか。その辺の心配を蹴散らすほど、少なくともレールの管理は想像を絶する細やかさだ

ほか、5万分の1の地図にある郵便局のマークの深読みとか、ニワトリのタマゴの殻は1日でできるとか、南氷洋の波の高さは30mを超えるとか、例によってあんまり本題と関係ないところが気になってメモしてしまう。興味が広いのか、目移りして落ち着かないというべきか、自分



p23.フランス人は24時間休みなしでも決して無理しない。5チームが8時間の3シフトをしき、1チームは6勤3休。極めて計画的運営です。日本は走りながら考えようとするが、彼らはじっくり計画し徹底議論し、過去の実績にこだわらず独創的なアイデアをどんどん採り入れる。しかも、極めて組織的。午前中に幹部と話し、午後現場へ行くと、「おまえはこれこれできたんだな」と、末端までしっかり伝わっている。理屈もいいますが、ひとたび決めるとバチッと守る。初めは「長い時間をかけてワインを飲んで飯食って、あんまり仕事しない軟弱な民族」と思っていたんですけど、全然そんなことない。ワーカーもマネージャーもエンジニアもみな素晴らしかった。同じ武器もって戦ったら絶対負ける(笑い)

p27.新幹線保線。もう懸命にやっています。東海道新幹線だけで、毎晩約2500人、電気のほうも入れれば約3000人が保守作業に当たってますから

p29.ええ、0.3ミリのデコボコは削正しないと。それだけでも、列車が通るとガタンガタンときますから。ですから砥石で随時レールを研いでます

p38.で、古い新聞などで調べてみると、出来の悪い輪軸を作った年は労働争議だとかで会社がガタガタしていた。必ずそうなんだ。ところが、どうしても納得できない1社があって、国会図書館で調べてもわからん。で、その会社の相談役つかまえて「この年の輪軸の出来が悪いが」とリストを見せたら、「マスコミはごまかせたが、モノはごまかせんかったか。あんたえらいもの作ったな」と

p64.のぞみの運転当初はカラスがよくぶつかりましたね。ひかりがスタートしたころもあったんですけど。不思議なんですけど、どうもカラスが新幹線のスピードを学習するらしい。で、最初は新幹線に衝突して粉々になっていたのが、後にはちゃんと逃げられるようになった

p83.知り合ったばかりの女性が海の向こうの福江島にいたもんですから。病院で働いていたので、私、わざと崖から落ちて怪我して病院へ行きまして……。それが今の女房です

p99.当社の創業者、故・立石一真の思想は、「機械にできることはなるべく機械にまかせよう。人間はできるだけ創造的な仕事をしよう」というものだったんです。そこで、電子交通信号機や銀行のキャッシュディスペンサー、そして駅の自動改札機も手掛けたんです

p164.炭酸カルシウムです。で、あのタマゴの殻って、たったの1日でできるんです。ニワトリの卵巣から卵黄が輸卵管へ1日1個ずつポンポンと落ちる。そこに精子がやってきて受精。その24時間後の産卵時には、立派な殻ができている。あの殻はわずか19時間でできるp165.殻の内側には胚からの血管が張っています。で、脱炭酸酵素の作用で殻を溶かし、カルシウムを胚に送っている。雛が誕生する直前には殻が薄くなっているので、殻が割れやすいんですね

p197.日本の古い地図は、これが不思議でね。上という概念がない。山を紙の四方の外へ向かって倒して描く。どの方向からでも読める地図。それに対して、キリスト教文化圏では、真上に視点を置いた正射図がわりと早くから作られた。紙の意識と関係するんでしょう

p200.5万分の1の地図には、必ず郵便局の〒マークが入っているでしょう。でも、手紙を出すためにこの地図を見る人はいないと思うんです。郵便局のある集落は地域の中心。軍事的には、まずおさえるべきポイントです。それに特定郵便局は土地の有力者がやっていましたから、そこに部隊の本部を置ける

p204.それを地図編集では「総描」というんです。住宅の密集した感じ、郊外のばらっと建った感じ、田園地帯という感じが出るように作るんです。作る人が原図や写真をぐっとにらんでエイッと。どう感じを出しつつまとめるかが腕の見せどころです

p241.波の予知は、風の強さ、風が吹く時間、影響を受ける距離の3つ。たとえば、日本海の波は大きいといってもたかが知れている。シベリア大陸との吹送距離が短いから。で、波がいちばん高いのは南氷洋。緯度と平行に吹く風を遮る大陸がないので、風はグルグル回る。地球を一周している海はあそこだけで、ある意味では無限の海です。30メートルの波が立ったという記録もあります

p243.中学校時代に海上保安部に雇われたんです。笠戸湾の潮汐の記録がなかった。といっても中学生を雇うわけにはいかないので、おふくろが臨時雇いというかたちになり、僕は毎日毎日正式な記録をとりました



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