阿部貴浩、加藤修平「エコカー補助金、トヨタ向け?」日経ビジネス2011.12.26・2012.1.2
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ダメな事業が退散して、新しいものに入れ替わることが妨げられる。それを国民の税金で行っているというのが、皮肉でなくなんであろうか。確かに、できもしない成長戦略などの名目でお金を配分するよりも、既存の事業を維持することのほうが成果が見えやすいが、本質に目を瞑っていないか
政府は、税金などで集めたお金を再分配するのが仕事。その再分配は国として必要な機能に限定し、特定産業の育成や、生存権を超える社会保障にはつぎ込まないで欲しいものだ。さまざまな公約を反故にしている民主党政権も、わずかに残されたベーシックインカム論はどうか維持する必要がある。これにより生活保護も年金も子ども手当もすべてキレイに生産してくれないか。公的資金の再分配に一部のしかも使い道に直接の利害関係のない人間の裁量/恣意には任せられない
しかも、それがトヨタ系議員の情実で行われたり、省組織の維持のために行われているというのであれば本末転倒
補助金については、ある民主党関係者は「トヨタを意識した『見え見え』の政策と言えばそれまでだが、やらなければ仕方がない」と語る。12月9日に発表した2012年3月期決算見通しは、単独では5300億円もの営業赤字。トヨタの苦境は各地にある中小の部品メーカーを通じて、地方経済を疲弊させる
トヨタの現状に今の民主党は敏感だ。党税制調査会の事務局長である古本伸一郎氏や、元経済産業相で党政調会長も務めた直嶋正行氏がトヨタ労組の出身。政策決定の近くにトヨタ出身の議員がいる
政府にもトヨタ支援の空気が漂う。経済産業省は原子力発電を中心としたエネルギー政策に批判が集まり、幹部が「省として存亡の危機にある」と感じるほど風当たりが強い。幹部が半導体メーカーの株式購入を巡るインサイダー取引の疑いを受けていることも痛手だ。エネルギーやIT(情報技術)に比べると、自動車業界の支援は経産省が存在感を発揮しやすい
長引く円高が自動車メーカーの経営を圧迫し、国内の雇用に影響を与えているのは事実だろう。しかし補助金頼みの国内販売は、補助金がなくなれば、すぐに落ち込む。自動車各社が補助金のある間に、今の円高でも収益を上げる体制を作れなければ、巨額の予算も単なる「一時しのぎ」に終わる
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