池田信夫「古典で読み解く現代経済」PHPビジネス新書

公開日: : 書評(書籍)



20120211000945

セミナーでの講演録。スミス、マルクス、ナイト、ケインズ、ハイエク、フリードマンと、まさに古典という本を著者なりのスッキリとした説明で簡潔にまとめている

いまの日本の代議士もこの辺のことをどれだけ理解して国政を行っているのか、怪しい。民主党には、子ども手当や負の所得控除という、使い途を定めない所得再分配を考えたり、歳入庁として徴税機能を一元化、消費税の重視などの魅力的な政策を訴えている。が、実現できていないし、これらのアイデアとは相反することも同時に進めている

ハイエクのところが高邁な書きぶりになってしまうのがしょうがないと言っているところが面白い



p15.なぜ労働生産性が上がったのか。近代以前の社会と近代社会を比べて何がいちばんの大きな違いかというときに、スミスが言ったのは「分業」です。ピンを1人で作ったら1日20個しか作れないが、10人で18の工程で作ったら4万8000個作れたという有名な寓話です

p17.国内でつくったら5000円のジーンズを中国から輸入したら1000円で買えるなら、消費者の所得は実質的に5倍になります。それはデフレではなく価格競争です

p19.扱っている題材は18世紀後半の出来事ですが、さすがに古典といわれる本だけあって、彼の洞察は今でも当たっているところがある。というのは、重商主義は一般には保護貿易のことと思われているのですが、スミスが見ている重商主義の根本的な問題は、むしろ国内問題です。つまり、政府にぶら下がって特権を得てきた大商人が、自分たちの特権や関税を守るためにいろいろな理屈をつけて、新規参入を妨害するわけです

p22.今たまたま商売がうまくいっている人にとっては、自分たちの利益を守るのは当然のことですが、それは既得権の外側にいる人を不利にして、結果としては損失のほうが大きい。スミスが重商主義に対して批判をしているロジックというのは、ずっと経済学者が言い続けてきたという気がします

p23.日本では地主というのは戦争で消滅しましたから、こういう話はよくわからない。イギリスは、いまだにそうなのです。イギリスでは、製造業はあまり尊敬されなくて、資産運用が立派な仕事だとされています。80年代にサッチャー政権でイギリス経済は復活したといわれています、製造業はまったくだめです。金融がGDPの13%ぐらいを占めている。金融だけでいうと、ロンドン証券取引所のほうが、ニューヨークより活発でハイテク化していますね。それはなぜかというと、昔から金も時間も余っている地主がいっぱいいるからです。彼らはすごい資産があるのですが、工場にはあまり投資しない。基本的には海外の植民地に投資した。だから株式会社は、海外投資のリスクを避けるためにできたのです。目の前の工場に投資するなら大した金はいらないのですが、インドとか遠くの国に大金を投資するときは、リターンも大きいがリスクも大きい。そういうものはしっかりしたリスク管理できる仕組みがないとお金を出さないということで、株式会社が出てきた。実は産業革命と株式会社っていうのは別々にできて、あとから一緒になったものらしいのです

p29.個人が自分のためにやった結果として社会の秩序ができるというのが、マンデヴィルの発想です。なぜそういう秩序が自然にできるのかについては、スミスは説明していません。彼は「理神論」というキリスト教の宗派の信徒でした。これは神様を合理的な存在と考え、世界の秩序は神の合理性の表現だと考える。もう一歩先へ行ったら無神論になってしまうきわどい教義です。ニューロンも理神論者だったといわれています。ニュートン力学が当時、大きな影響を与えたのは、理神論を証明したと受け取られたからです。今でも「インテリジェント・デザイン」というのがあります。

p57.貨幣は社会が個人に分解して、互いのことをよく知らない近代社会になったことの現れだ、とマルクスは考えています。彼は貨幣というものをよく神様にたとえますが、キリスト教も多様な民族が集まった集団で一つの神様を信じていれば、互いが信じられなくてもいい。いわば神を中心に放射状のネットワークができていく。貨幣の構造はそれと同じです

p81.LTCMのように合理的に考えると、利幅が大きいのだからロシア国債のほうがいい。しかし実際は、ほとんどの投資家はアメリカ国債を買った。これはまさにエルズバーグ・パラドックスの大規模な証明です。合理的に説明できないのです。それはなぜかというと、人々がやっぱり不確実性を嫌うからです。なぜ不確実性を嫌うかというのは説明がつかないのですが、たぶん人間は生存していくうえで、何が起こるかわからない、暗闇で襲ってこられるかわからないというは恐いのでしょう

p83.世の中に不確実なことはいっぱいあります。イノベーションはいいほうですが、悪いほうは金融危機とか倒産とか。そういうとき不確実性を処理するのは、保険とか金融商品ではなくて経営判断だ、というのがナイトの理論の核心です。確率を計算する根拠がないので、経営者が判断して、失敗したら彼が経営責任を取るしかない。だから決定権を経営者に集中して責任も取るのです。もう一つ重要なことは、経営者が契約以外の「残余」を取るという考え方です

p86.日本の会社がおかしくなっている重要な原因は、ナイトのいうように、誰が何を決めているのかわからなくなったところにあるのではないでしょうか

p87.「エージェンシー問題」が起こります。経営者にとっては、会社が大きくなれば利益の絶対額が大きくなって自分の報酬も増えるので、企業買収などによって会社の規模を拡大しようとするわけですが、本業以外の分野にみやみに多角化すると、不採算事業が増えて利益率は下がることが多い。株主にとっては1株あたりの利益が重要なので、これは困ります

p91.私が昔、経済産業研究所にいるときに柳井さんが講演をして「ファーストリテイリングは新事業をやります」って言ったのです。「スキップ」という野菜の直販。「大丈夫かなぁ」と思って聞いていたら、案の定すぐこけた。でも立派なのは、ほとんど1年もしないうちに撤退したのです。本当に1勝9敗なのですが、1勝のユニクロがあれだけ儲かれば、あとの9敗は何でもない。つまり経営者が自分の責任で博打を打って、負けたらすぐ損切りするというやり方で不確実性を処理するしかない。それを「独裁者」とか批判する人がいますが、企業は独裁でいいのです。国家と違って、いやな人は辞めればいいのだから。イノベーションは独裁によって生まれるものであって、トップが決めて責任も自分で取る。それは資本主義の初期の形です。つまり資本家と経営者が一体化している。柳井さんとかスティーブ・ジョブズのようにオーナーが経営している企業が成長するのは、経営判断と責任の所在がはっきりしているからです

p94.つまり、ナイトのいう自己責任による意思決定の逆で、みんなが納得するまで話し合う日本的コンセンサスが無責任で保守的な意思決定を生んで、イノベーションを台無しにしてしまうのです。全員一致というのは、言い換えると全員が拒否権を持っているということで、誰か一人でも損するような意思決定はできない。根回しに長い時間がかかり、全員が納得する無難なプロジェクトしかできない

p102.いまだに大学の経済学は、ミクロとマクロを別々に教えています。ミクロとマクロが論理的にどうつながっているのかというと、つながっていないのです。ケインズがそういうおかしな問題設定をしたため、いまだに論理的に両立しない2つの理論が並立している。それがマクロ経済について議論するとき、混乱の原因になっているのです

p105.つまりケインズの理論は、新古典派の一般化にはなっていなくて、新古典派の想定するように伸縮的に価格が動かない「短期」の理論であり、長期的には価格が動いて調整され、新古典派の均衡状態が実現すると考えると、論理的につながるのです。ケインズは新古典派が特殊な場合で私が一般だというので混乱するのですが、逆に新古典派の考えが価格の動く一般的な場合で、ケインズは動かない特殊な場合と考えるとすっきりします。これが現代の動的マクロ経済学の考え方です。ケインズの理論は固定価格経済における短期的な調整の理論と考えると、それほど悪くない。ケインズは『一般理論』では、長期の問題を考えていないのです。それは有名な「長期的には、われわれはみんな死んでいる」という言葉にあらわされています

p123.要するに日銀が不動産を買うのは、国土交通省が不動産を買って公共事業をやるのと同じなのです。それを日銀がやることは本当にいいのか。日銀は、日銀法では金融政策をやる機関であって、財政支出には国会の議決が必要だというのが原則です。政府機関が法律に定められていない業務をやるのは憲法違反だという人もいます

p135.私の学生のころはケインズ経済学が全盛でしたから、ハイエクは特殊な右翼ぐらいに思われていて、宇沢弘文先生とか浜田宏一先生などのケインジアンが、ハイエクやフリードマンをよく批判していました。よくいえば、知識人は大衆を救済しなければならないという使命感があったのでしょうが、悪くいえば大衆は無知だから政府が指導しなければいけないという家父長主義です。これは官僚機構にも根強く残っている

p136.タレブが『ブラック・スワン』の中で経済学をこきおろしているのですが、たった一人だけ認める経済学者としてあげているのがハイエクです。普通の経済学者は完全な知識と合理性を想定しますが、ハイエクは人々の知識は不完全であるということを基本にして経済学を構築しようとした。彼の理論は新古典派のような美しい体系にはなっていないのですが、少なくとも2008年の金融危機を本質的に理解できるのはハイエクだけだと、タレブは評価しています

p137.彼は1899年に生まれたので、ちょうど20世紀をそのまま過ごした人です。彼の青春時代はちょうど第一次大戦が終わったころです。ウィーン大学で青春を過ごしたのですが、第一次大戦と第二次大戦の間のウィーンは、ある意味で奇蹟的な時代です。戦間期のウィーンで、20世紀のほとんどの学問とか思想とか芸術が花開いた。フロイトもシェーンベルクもシュレディンガーもハイゼンベルクも、みんなここにいたのです。第一次大戦後のウィーンは、敗戦国ですから悲惨な状態で、ろくに食えなかったはずですが、そういうところでこういう偉大な芸術や学問が生まれたのは偶然ではないでしょう。これは前にもいったように、近代合理主義が自己を破壊する恐るべき体験で、不合理性とか不確実性を誰もが真剣に考えざるをえなくなった。その時代に青春を過ごしたことは、明らかにハイエクに大きな影響を及ぼしています。つまり、進歩とか理性とかいうものをあまり信じられないという青春を送ったわけです。ハイエクというと、何か自由とか理性を信じていると思っている人がいますが、実はその逆で、彼は生まれながらに進歩とか計画などという考え方になじめなかった、と自伝的なインタビューで語っています。この懐疑主義が、彼の思想の出発点です

p144.では価格はなにをしているのか。それは情報を伝達していると彼は考えるわけです。新古典派における価格は、需要と供給を調整する弁みたいなものですが、ハイエクにとっての価格というのは情報なのです

p146.彼が影響を受けたのは、友人だったマイケル・ポランニーです。日本では野中郁次郎さんが彼の「暗黙知」を誤解して普及させましたが、あれは職人芸のことではありません。ポランニーの暗黙知は、社会の中で共有されている潜在意識のようなものです。知識は論理学の命題のように「AはBである」という形で蓄積されるのではなく、暗黙知の上に個人的知識が積み重なる形で重層的に形成されるのです。ハイエクはのちに『感覚秩序』という神経科学の本を書くのですが、これは「脳は一種の社会だ」というのがテーマです。彼は、いろいろな情報が雑然と感覚から取り入れられ、その中で重要な情報だけが知識として記憶に残る進化論的なプロセスとして知覚を考えました。当時は脳科学の実験はできなかったので、これはまったく内省によるものだったのですが、今の脳科学の成果はそれに近い。かつて人工知能が流行したことは、脳をコンピュータの一種と考えて、大量のデータを入力すれば人間の知性と同じものができると考えたわけですが、そういうメカニカルな方法論は失敗に終わった。そのあと出てきたニューラルネットワークは、脳の中でいろんな情報がおのずから集まって、全体として一つの「私」ができるというロジックで考えています。ハイエクは、ニューラルネットの先駆者として注目されています

p150.IBMは、1970年代には1社で世界のコンピュータ業界の70%を超える市場占拠率をもり、アメリカの司法省はたびたびそれを分割しようとして訴訟を起こしました。しかしIBMを倒したのは、政府ではなく、大学をドロップアウトした若者のつくったベンチャー企業、マイクロソフトでした。だから問題は、競争が完全か不完全かということではなく、競争があるかないかです

p151.ハイエクは、競争にとって本質的なのは新規参入だと考えます。彼はパレート効率性のような静的な基準を認めないので、独占や寡占で価格が限界費用より高いといった問題は大したことではない。効率的な価格より高い価格をつけていたら、新しい企業が参入するでしょう。そういう競争を妨害する行動は禁止すべきだが、政府が市場シェアなどを監視すべきではないという考え方です。これは独禁政策の考え方として「シカゴ学派」と呼ばれ、限界原理を基準にして価格やシェアを政府が監視すべきだという「ハーバード学派」と対立する考え方です。最近はグローバル競争が激しくなったので、ハーバード学派のような国内シェアを規制する考え方は、日本の公取委もとらなくなりました

p155.ところが政治家は、政策に優先順位をつけることを嫌い、あれもこれもやろうとする。官僚は自分たちの仕事の目標を数値的に明示するのをいやがり、正しいデータを提供するインセンティブがないのでデータに信頼性がない。結果的には、実際に計算を行う以前の段階で計画が破綻してしまいました。10年ぐらい実験をして最後に理解したことは、「ハイエクの言うとおりだった」とこる内は書いています

p156.60年代後半からケインズ理論はおかしいという話になってハイエクが見直され、1974年にノーベル賞をもらうわけです。本人はそんなことになるとは思わず、自分は傍流のままで死ぬだろうと思っていたようです。ハイエクの奥さんがいつも困っていたのは、彼が講演をやると必ず卵をぶつけられてスーツが汚れるということです。保守反動として憎まれる存在だったのですが、結果的にはハイエクとかミーゼスとか、ごくわずかな人たちが言っていたことが正しくて、新古典派やケインズが間違っていたのです

p157.ハイエクは計画を否定しているわけではありません。たとえば会社の経営を、計画なしで行き当たりばったりでやるわけにはいかない。一定の目的が決まるところでは、その目的関数を最大化する計画が必要です。他方、そういうローカルな秩序が集まってできる社会は、必ずしも計画できない。社会全体の目的がないから。何を基準にして人々がコーディネートするか決まらない。そういうときには、人々や企業がやりたいようにやった結果として、社会全体を動かしていくしかない

p166.結果として、ハイエクがいったような政策が80年代以降、先進諸国で採用されるようになって、日本でも中曽根内閣のころから行革を少しやって、そのあと本当は小沢一郎氏が90年代にやる順番だったけど、そこで失敗して20年ぐらい間が空いてしまった。小泉改革でちょっとやったけど、また元に戻ってしまった

p168.日本では個人主義とか自由主義が根づいていないので、NHKは「無縁社会」とか、朝日新聞は「孤族」とか変な言葉をつくって、古きよき有縁社会に戻そうみたいなキャンペーンを張っている。それを批判したら驚くほど反響があって、ほとんどの人が「親父のノスタルジーは気持ち悪い」といっていました。それを見ると、日本人はコミュニティが好きだとか人間関係を求めるとか思われているけれど、意外と個人主義が育っているのではないかという気がします

p174.フリードマンはハイエクと違って、思想的には大しておもしろくない。フリードマンもアングロ・サクソンじゃなくてハンガリー系の移民の家系ですから、多少屈折したところはあるのですが、ハイエクのように哲学的な話はほとんどしない

p179.しかしどこの国でも、政府はインフラを直接コントロールしたいのです。それは政治家の利権の源泉になり、日本では官僚の天下りの温床になるからです。そういう既得権を擁護するとき使われるのが、「市場原理主義にまかせたら貧しい人が困る」という温情主義。これは古今東西を問わず、ありふれたレトリックです

p181.寿命は医学的に決まると思っている人が多いと思いますが、私の友人の医者は「寿命はカネ次第」だといっています。金持ちだったら、かなり延命できる。つまり寿命は所得の関数なので、医者がもっと供給されて医療サービスの価格が下がれば、寿命が延びる可能性があるわけです。特にアメリカは医療費がめちゃくちゃだから、貧しい人は医者へ行ったら治る病気もかかれないで死ぬ

p182.医療については議論が分かれるのですが、医療以外の免許で絶対必要なものがあるかというと、私はないと思います。会計士も税理士もおかしい。税務申告は自分でできるのに、なぜ税理士以外の人がやったら違法なのか。税理士免許があるのは、日本とドイツだけです。会計士や税理士の免許停止が不正行為を防ぐ効果はあるでしょうが、独占の弊害のほうが大きい。航空機のパイロットの免許がなかったら危ないという話がありますが、無資格のパイロットを雇う航空会社はないでしょう。つまり、航空会社が雇用する段階でスクリーニングできるので、個人の職業免許を与えなければならないケースはほとんどない。ではなぜ、職業免許はあるのかということもフリードマンは分析していますが、医者とか弁護士は最古のギルドだからです。ギルドが自分たちの特権を守る政治的なロビイングによって、職業免許は残ったのです。日本にたくさんある「なんとか士」の免許のほとんどは利権にからんでつくられたもので、一級建築士とか理髪師とかを濫造したのは田中角栄です。つまり、供給制限によって利潤を維持するためにつくったのです

p183.これは経済を政府がコントロールするのか、市場でコントロールするのかという原則の違いです。ケインズは、民衆は愚かだから賢い官僚がやるというエリート主義でしたが、フリードマンはそれに反対します。政府は裁量的に市場に介入するのではなく、最小限のルールに従って行動する。民間は政府の行動を予想して行動する。つまり政府は、特定の目的にそって民間を指導するのではなく、人々が自由に行動するためのルールを決めて、それを守る役割に徹するべきだということです

p193.フリードマン自身がブルックリンの貧しい移民のことして育ったので、そういうスラム化を防ぐためにバウチャーを提案したのです。貧しい子供にもレベルの高い利子津学校に行けるチャンスを与えることが目的です。そういう理屈を普通の人は知らないので、労働組合が「格差が拡大する」とか何とか嘘をふりまく。このように労働組合の抵抗があまりにも強いので、最近いわれているのは保育バウチャーで、イギリスの保守党政権が実施しました。さすがに保育園で受験教育とはいえないから、労働組合のレトリックが通用しないわけです。日本のように保育所に直接補助するのではなく、ある程度の基準を満たす保育所はすべてバウチャーで補助して、どこの保育所に行ってもいいようにすれば、新規参入も増えて、待機児童の問題は解決するでしょう。これは多くの経済学者が提案しているのですが、民主党は聞く耳をもたない。いま検討されている「認定こども園」なんて、逆に幼稚園も国営にしようという話です。ただハードコアのリバタリアンはすべての補助金に反対ですから、バウチャーも認めない。フリードマンは穏健派で、多少の所得分配とか補助金は認めるのです。ただし政府が直接お金をばらないてはいけない。民主党がやろうとしている高校無償化なんて最悪です。なぜ公立高校が無償で、私立高校は有料なのか。これは差別であり、公務員の既得権保護です。このようにきわめて合理的な提案が、合理的であるがゆえに50年たってもほとんど実現していない。フリードマンが労働組合や左翼の人々から攻撃されるのは、彼らのぶら下がっている既得権を危うくするからです

p198.フリードマンの提案のもっとも重要な点は、これ以外の社会保障を全部やめて負の所得税に一元化しようといっている店です。所得再分配は年齢とか地域とかに関係なく、すべて所得を基準にして税でやればいいのだから、厚生労働省は廃止してもいいのです。そしてこれが、どこの国でも(本来の意味での)負の所得税が実現しない理由です。ほとんどの国で政府支出の最大の部分を占めているのは社会保障支出で、これを廃止したら大量の官僚が失業するでしょう。これは「ベーシック・インカム」と結果的には同じです。ベーシック・インカムというのは、一定額の金を政府が老人から赤ちゃんまで無差別にあげ、そのうえで所得に応じて課税するのです。そうすると、じつは負の所得税と同じ式になるのです。ベーシック・インカムは、フランスの5月革命のころ左翼的な平等主義の発想で出てきた話なのですが、おもしろいことに数学的にはリバタリアンの負の所得税と同じなのです



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