篠原匡「マネジャーを助けるトラッカー 抜け漏れ防ぐ”追跡者”(経営新潮流)」日経ビジネス2012.1.16

公開日: : 書評(雑誌), 日経ビジネス



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プレイングマネジャー。プレイに夢中でマネージが疎かになる。このマネジャーの役割を秘書によって補充したという事例

事実上のこととしてはありがち。この事例でもあるような、秘書だったり、または地域で雇用している女性事務職が、こういった役割を担ううちに誰よりも業務のロジスティクスに知悉してしまう。その後、その人にはグッドエンドとバッドエンドのどちらかが用意されている。お局様的な安泰な立場に出世することもあるし、職場での女性差別解消とかコスト削減といった昨今の構造的な要因により、派遣に入れ替わってしまったり。しかしいずれも職場を所有者の立場から見たら微妙だ。後者の場合には人に蓄積されたナレッジが断絶してしまうが、前者もその人が結婚などで退職してしまうと、やっぱりノウハウは途絶えてしまう

そんな地域雇用の女性事務職の役割を、割り切って開き直って、制度としてしまった。半導体製造装置大手のディスコ

会議に参加できない場合には、参加者から聞き取って追跡するというから、プレイに夢中なプレイングマネジャーにとっては至れり尽くせりだ。しかも「うっとうしい存在」という役目まで引き受けてくれるときた。プレイングマネジャーは、プレイするために部下や同僚に対して悪役にはなれない。パワハラの問題もある。スケープゴート的に上司の孤独も引き受けてくれる

これでマネージでなく、プレイに注力できる者は、表面上の多忙を謳歌し、それを言い訳としてマネージを行わないものの、戦術面では大活躍するんだろう。主将で4番でピッチャーとして。しかし、これで監督になれるのだろうかと思う



・組織の課題や宿題を拾い集め、整理、周知していくことがトラッカーの主な役割だ。トラッカーとは「トラッキングする人(追跡する人)」という意味の造語である

・チームリーダー会議など部内の会議に参加、会議中に議事録をまとめ、話題に上った課題や宿題を抽出し、最後に読み上げる。会議に参加できない場合は参加者に取材して課題を集めるというから徹底している

・社長AR(Action Required)の締め切りは月末。それまでに回答できれば、社内の管理会計制度上のルールで100万円の報奨が得られるが、回答できなかった場合は、逆に社長室に100万円の罰金を払うことになる

・トラッカーは全社で60人を数える。勤務地の変更がない事務所で採用された女性がメーンで、約2カ月の研修を受けた後、トラッカーを必要としているマネジャーのところに派遣される。今では、ほぼすべての部署にトラッカーがおり、通常業務とトラッカーをかけ持ちしているケースがほとんどだ

・成功事例は、トラッカーを集めて半期に1度開催する会合、All Tracker Meeting (ATM)で共有する

・トラッカー制度は2007年1月、関家社長の鶴の一声で生まれた。当時、ディスコでは案件の伝え漏れや問題発見の遅れ、立ち上げたプロジェクトが完遂しないといった問題が目立っていた。原因がプレイングマネジャーの増加にあると見た関家社長は、多忙なマネジャーに代わって進捗管理を代行する存在が不可欠と考えた

・トラッカーは初めのうち、部長やメンバーに煙たがられた。放置されている課題や宿題を認知させることは大切だと理解しているが、部員の中からは「余計な指摘をされなければそのままやらなくて済んだのに」といった不満も漏れた。会議や取材で根掘り葉掘り進捗状況を確認するトラッカーを「うっとうしい存在」と思う部長や部員もいた

・トラッカー導入に際しては、「そもそもマネジャーの役割ではないか」という声も出た。確かに、課題や宿題を部下に割り振り、進捗を管理するのは管理職の本業だ。ただ、プレイングマネジャーが多い同社の実情を考えると、それはあまりに理想論。課題の回収や整理、周知徹底はトラッカーに任せた方が得策と関家社長は判断している

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