桜井進「面白くて眠れなくなる数学」PHP

公開日: : 書評(書籍)



20120317000255

秋葉原の某大型書店で平積みになっていたことが切っ掛けで読み始めた一冊

夜話のスタイル。一つのトピックで3-4ページぐらいしか分量がないので、どんどん割り切って読み進められる。数学そのものというよりも、それを取り巻くトリビアの紹介。だから、本質が分かってなくても、それなりに知的満足を得られる。タイトルに偽りなく、面白くて眠れなくなる。ベッドに潜りながら夜遅く眠る直前に読んでも眠くならなかった

数学の世界は日本の独自の発展がありつつ、数学という普遍的な学問だから共有の物差しで測れるところが興味深い。例えば円周率の計算の歴史で急に日本人が出てきたりというところが、しかも江戸時代のいわゆる鎖国の時代だったりするのが味わい深い

高校生の数学というイメージで作られているのかな。中学生には難しいけど、大学生になるともはや専門的な分岐を経てしまっているくらいなんだろうか。それでも一般常識としても面白い話題ばかり



p018.「美しい数字には美しい文字がよく似合う」ということです。ギリシャ文字にはなんともいえない曲線の美しさがあります。ローマ字、ギリシャ文字は字画が少ないので書きやすいのです。ギリシャ文字の小文字の多くは、たった一画で書くことができます。曲線美と機能美という2つの美しさを併せ持った文字を、数学者は好んで使ってきたのでしょう

p024.日本の読み方は、イコールの発音以外に間違いがあります。「’」を「ダッシュ」と読むのは適切ではありません。多くの国々では「prime(プライム」と読まれています。ダッシュは、日本でもそう読まれるように、国際的には記号「―」が常識です。「”」は「ツーダッシュ」ではなく「double prime(ダブル プライム)」です

p033.数学は、人類がつくり出した最強の言語といえます。自然の美や、宇宙の調和さえも表現できる言語が数学です。数学という言葉で、この宇宙を理解することに私は感動をおぼえます

p042.言ってみれば、人間の感覚は足し算ではなく、かけ算で感じていることがわかったのです。これが1860年の「ウェーバー=フェヒナーの法則」です。「感覚の強さRは刺激の強さSの対数に比例する」。これは「精神物理学」といわれる学問の発端となった発表でした。「精神物理学」は、心理学者ウェーバーが「心理学の世界を定量化できないか?」と考えたことからはじまりました。人の感覚というのは、とても主観的なものです

p046.相手はその公開鍵である「5893」を使って原文(数)を暗号化します。この暗号文(数)を依頼主に送ります。暗号文(数)を受け取った依頼主は、「5893」を素因数分解した「71」と「83」の2つの素数を知っていますから、これを用いて暗号文を原文に戻すこと(復号化)ができるのです。このやり取りは、インターネットを通すと不特定多数の人に見られる可能性はありますが、公開鍵である「5893」の因数分解は容易にできないので解読は困難になるのです。もちろん実際には「5893」よりもはるかに大きな数を公開鍵に使用することで安全性はさらに高いものになっています。因数分解は”面倒”だからこそ、セキュリティとして役に立つのですね

p065.コピー用紙には「A4」「B5」などの規格やサイズがあります。ここで縦横の長さに注目してみましょう。実はここに√2が隠れているのです。どのサイズも縦横の費が1対√2となっています。例えば、A4用紙を縦に半折りにしてみてください。すると、A5用紙になります。相似形をしているのです

p065. 黄金比。最も美しいとされる長方形の縦横の比「1対1.618((1+√5)/2)」のことです。名刺やカード類、正五角形(桜の花びらなど)などは、この黄金比が基になっています。人は黄金比によるバランスの整ったフォルムに美しさを感じるのです

p079.身のまわりのエネルギーも「変換」のなせる技です。水力発電、風力発電、バイオマス発電、太陽光発電などからつくりだされる電気エネルギーは、すべて太陽エネルギーが変換されたものです

p091.音楽CDは、基本的には「16ビット」です。そこで、「2の16乗(=65536)分割」して電圧を数値化(デジタル化)します。これが「44.1キロヘルツ」「16ビットサンプリング」などと言われるものです

p098.ピタゴラスが発見した協和音の関係を、弦楽器の弦の長さで表してみました。2つの音は特定の比率によって協和します。実際に協和する音をつないでいくと、ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ→ファ→ドとなり、ドレミファソラシドのまとまりが作り出せることも、ピタゴラスは見いだしました。「ピタゴラス音律」と言われますが、これを踏まえるときれいな旋律(メロディー)の音楽を作り出せるのです

p106.πの正確な値の探究は今から4000年前にはじまりました。紀元前2000年ごろにエジプトで約3.1と示され、紀元前3世紀にはギリシャのアルキメデスが約7分の22(3.142…)と計算。5世紀に入ると、中国の天文学者、祖沖之が約113分の355(3.141592)とし、18世紀には日本の建部賢弘が小数点以下41桁まで計算しました。時代を超えて世界中で計算が続けられたのです

p117.このように偉大な数学者ガウスは意外にも大学教授にも教師にもなったことがありません。ガウスにとって数学を研究する最大の報酬は、数学それ自体の美しさと調和の発見にあったからでしょう。79歳まで生きたガウスは、数学のあらゆる分野を開拓し、最高の業績をあげました。質、量ともに彼ほどの仕事をした人は、彼の前にも後にも現れていません。ガウスは生まれてから死ぬまで数学者として生き抜いたのです

p124.万物の根源を探ることを目標としているのが物理学です。物理学の有力な仮説の一つに10と深い関係がある理論があります。物質の究極の構造は、粒ではなく弦、それも超弦だとする「超弦理論(スーパーストリングセオリー)」です。この理論は、驚くべき自然像をわれわれに提示しています。「超弦理論」は、素粒子を弦の振動として表します。弦の振動の違いが様々な粒子に対応します。そして「超弦理論」によれば、時空の構造は「10」次元であるというのです

p151.AMラジオ放送局の周波数はすべて9の倍数ということになります

p166.自然数は、子供の頃に「自然に覚えるようになる」ことからそう呼ばれるようになりました



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