山崎隆「大震災改訂版 東京のどこに住むのが安心か」講談社

公開日: : 書評(書籍), 防災



20130405011526





これは、ちょっとふるい本で、2011年11月に出版されている。その後に事実は変わってきているかもしれないが、追いかけてはいない

JR、各私鉄の沿線の端的な評価が面白かった。登場順に整理すると、JRは盤石、小田急は落ち目、京王は再評価、東急東横線は最先端、東急田園都市線は不安とか

またエリアごとの評価を個別に整理しているのが面白い。よくも調べたなとも思う。しかし、住んでいるところの周辺の新築マンションの販売を冷やかしていても、かなり丁寧に地元のことを調べているのだから、このくらいは普通だろうか。自分ではとても真似できない。一部に絞って動くべきかな

あと、著者の独自の見解というか、それでも正しいのかもしれないが、一方で別の専門家が真っ向から反対のことを言っていたりするのが不動産業界という気がする。まだまだ収益機会が多いのではないかと期待してみたりする



p18.郊外への人口移動は今回が初めてではない。関東大震災の直後にも、下町から西部に人口の大移動が起きている。その結果、生まれたのが後の高級住宅街の一つである田園調布であり、成城などだ

p21.阪神・淡路大震災の際、神戸の六甲アイランドでは大規模な液状化が起き、不動産の価値が大きく下落した。震災後3年は公示価格も「測定不能」となった。しかし、その後は資本が入り、再建が進んだ結果、不動産の価格相場は震災前に戻ったとも一部に言われている

p22.私は湾岸の埋め立て地を絶対にすすめない

p25.住宅地として歴史のない街には住んではいけない

p28.隅田川から東、こうしたエリアにも江戸時代から人々が暮らしている。重要なことは、かつてこの場所に暮らしてきた人々はリスクを理解していたということだ。理解した上で、どうそのリスクと折り合いをつけるかを考えて暮らしてきたと言ってもいい。たとえば、高層建築物はけっして建てなかった。その一方で、水害で被害を受けることに備えて、自宅の裏庭に船を用意している家も多かった。浸水に耐えられる蔵を建てて食料も備蓄していたという。今からみれば、非常に賢かったのだ

p35.水害で厄介なのは、地盤は強固でも水が溜まりやすい場所があることだ。都内なら、善福寺川、神田川、石神井川の周辺地域がそれにあたるが、これらのエリアの地盤はけっして悪くはないのだが、大雨が降ると川が氾濫して家屋に浸水するリスクが高まる場所は少なくない

p38.特に湾岸エリアの超高層マンションの安全性に関しては考え方を根本から変えるべきだろう

p41.事故直後にアメリカ政府が日本国内にいるアメリカ人に対し福島第一原発の半径50マイル(80km)圏から離れるように指示を出したが、あれが国際的な安全基準なのではないか

p47.富裕層の間で東京とは別にセカンドハウスを購入する動きが活発化している。セカンドハウスとしてとくに人気が高いのが沖縄だ。なにしろ沖縄は地震もなければ、原発もない。津波に襲われるかもしれないが、その場合も島の周囲を囲んでいる珊瑚礁が天然の防波堤の役割を果たしてくれるため、ほとんど被害は出ないらしい。IT企業がコールセンターやデータの保管場所を沖縄に設置することが多いのは、人件費や土地の安さもあるが、実はこうした安全上の理由も考えているからである

p51.江戸時代の寛政3(1791)年の大地震では大きな津波が襲い、深川一帯が水に浸かったという記録も残っている。一説では文京区の六義園あたりまで水が押し寄せたという

p60.日本橋はオフィス街だから宅地としての評価が低いと考える人がいるが、これは正解ではない。六本木や赤坂などは、繁華街でありビジネス街だが、住宅地として高い評価を得ているのをみればわかるように、宅地としての評価が低いのは地質的にネガティブな要素を抱えているためである

p61.下町はいつの世も”庶民の街”と呼ばれる。それはイメージの問題ではなく、土地の成り立ちから考えれば、むしろ当然の帰結といっていいだろう

p66.新浦安は岩盤までの深さが特に深い。建物を建てる際の杭も新浦安は100m近い杭を打っている場所も珍しくない

p67.できるだけ自然災害を受けにくい場所を選んで線路は設計されている。貨物船も含めてJR系の歴史のある路線は、安全で優良な住宅地を見極める上で大きなヒントとなるのは間違いない

p73.八王子の人気は突然降って湧いたものではない。むしろ、忘れられていた存在に、人々が気づいたと言うべきかもしれない。歴史がある街は、一時的に落ち込むことがあっても、ちょっとしたキッカケでやがては復活する場合もある

p75.住みたい街No.1で人気の吉祥寺がなぜ、すすめられないのか。理由は単純で、価格が高すぎるのだ

p77.下北沢のような学生が大勢集まる街は衰退しない。常に街が活性化するからだ。人口動態が活発な街は不動産市場も活発に動くため、賃料も下がりにくい

p81.ローンで家を買うという行為はそれほど昔からある慣習ではない





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