山口正洋ほか「ヤバい日本経済」東洋経済新報社

公開日: : 書評(書籍), 山崎元



20141019105250
著者 : 山口正洋
東洋経済新報社
発売日 : 2014-08-01
久しぶりに通しで楽しく読めた一冊。タイトルの「ヤバい」とは肯定的な意味でのようだ。著名な3人の鼎談を活字に落とした形となっている。読みやすい。自分としてはもっぱら国際投資との関係で読んだ。しかし、それ以外の観点からも各国の事情について多くの気づきがあった。また各国景気における不動産価格の大切さや、投資回収期間の短いゲーミング市場の魅力などが、印象に残った。

p22.山口 本当に日本経済が「おお、来たね!」と実感できるのは、バブルが起こって土地の価格がグーンと上がったときですよ。
p26.山口 すごい反論が出てくるだろうけど、日本の国債を5億円分買った外国人には日本の国籍をあげる、といったら世界中から金持ちが集まってきますよ。それも中国人が大量に。そうなれば財政赤字も減ると思う。5億円もポンと払えるような中国人がいるとしたら、その人たちのほうが絶対に僕ら普通の日本人より洗練されている(笑)。
p31.吉崎 『中央公論』の議論が秀逸だったのは、若い女性がいなくなったらもうダメだという非常に根源的なところを突いていたこと。
p53.山口 欠勤率は中国が圧倒的に多いですが、世界的に見ても最初から10%は見込んでおかないと工場長は失格です。それが東北では0.3%程度ですから、これはもうほぼフルに出勤しているということです。しかもみな遅刻しないですから生産効率はすごい。
p65.山口 ゲーミングというちゃんとしたインダストリーとして認識されているんですね。で、この産業は投資回収期間がめちゃくちゃ早い。
p107.山崎 「2強プラスその他」という構造はどういう業界でも作られますよね。単純にシェアに応じてコスト競争力があるとすると、トップシェアの会社は2番手のコストに合わせて価格等で競争すると十分に利益が出るので、とりあえず2番手を生かしておいて、苦しいところにいる3番手以下のシェアを食っていけばいい。
p139.山崎 名前はあげませんが、経営者、学者、作家で存在感のある人の多くが、背が低かったり、学歴に難があったりする人たちですね。残念なのは、そうやってがむしゃらに頑張る経営者は概して見栄えがあまりよくないので、なかなか若い人から憧れられる存在にならないところですかね。
p152.吉崎 台湾もセルフエスティームを強く打ち出さなくていい社会なんだと思うんです。台湾の親しい知人と話していたら、こんなことをいうんです。「台湾は日本のサイレントパートナーですから」って。
p192.山口 ロシア人のほうがはるかに共通項がありますよ。クラシックの話をしてもいいし、バレエの話をしてもいい。文学の話をしてもいいし、とりあえず付き合いの導入部はいくらでもあるんです。そういう意味からすると、日本人とロシア人は仕事をするにはいい。お互い得意、不得意がはっきりしていますしね。向こうは資源を持っていて、それを付加価値をつけないでそのまま売るしか能がない。こっちは資源を輸入してきて、そこに付加価値をつけるのは得意。両者が組めばいいのだろうと思うんですけれどもね。
p200.吉崎 きれいな英語で話すということ自体、インドではある種のタブーらしいんです。きれいな英語を使うと「あいつは仲間じゃない」と思われてしまう。
p252.山崎 日本はこれから、かなり速いピッチで緩やかな階級社会に向かっていくのかもしれませんね。




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