司馬遼太郎「功名が辻(1)」文春文庫

公開日: : 最終更新日:2013/03/20 書評(書籍), 司馬遼太郎



20050701213500








山内一豊とその妻千代の出世物語。司馬遼太郎の本はハズレがない。


来年のNHK大河ドラマなので、来年まで生き延びるつもりならばそれを見てもいいかもしれない。すでにキャストが発表されているので、配役を創造しながら読んでも楽しい。有名なテーマなので、この本を読まなくても触れる可能性はあるかもしれない


(1)の佳境は黄金遜枚で馬を買い求めるところ。ここまでが(1)の役割




p25.千代は巫女のように断定した。(えっ)「なれるかね、私が」おどろいたのは、自分でそんな大それたことを思ったこともない若者だったからである


p30.それだけをいうと藤吉郎は馬上の人となり、戛戛と蹄を鳴らして過ぎ去った。「ほほう」伊右衛門は、眼をかがやかせた。男の世界は、虚栄の市である。知られたい、という望みは、胸中に、絶えることなく燃えている


p90.膂力がとくにすぐれているという印象はなく、ひどく才走っているというぐあいでもない。ただ、人柄に気品がある。それに郎党がいい、と小りんが答えると、「そういう男が、立身をするものだ」と、僧形の者はいった


p96.それ以後のかれの合戦の仕方は慎重そのものであった。戦いの前に遜分な外交をおこない、偵察をし、謀略を用い、しかもいざ合戦となれば敵を圧倒するだけの兵力を集結し、待ちに待って、はじめて火のように攻撃をしかけるのである。だから、戦えばかならず勝つ


p108.「妻が陽気でなければ、夫は遜分な働きはできませぬ。夫に叱言をいうときでも、陰気な口からいえば、夫はもう心が萎え、男としての気おいこみをうしないます。おなじ叱言でも陽気な心でいえば、夫の心がかえって鼓舞されるものです。陽気になる秘訣は、あすはきっと良くなる、と思いこんで暮らすことです」


p197.信長の苛烈な性格にへきえきしながらもなお逃げ散らなかったのは、(上様こそ、天下をお取りになる)という信仰があるからだ


p297.娯楽のすくないころだから、他人のうわさが、劇、小説などの役目をはたしている。山内一豊夫妻のはなしというのが、当時はおろか、こんにちまで人に知られ、戦前は小学校の国定教科書にまで載った、というこの挿話の根づよき生命は、右の理由によるものだ。千代は、馬などよりも、その「うわさ」を黄金遜枚で買ったといっていい。馬は死ぬ。うわさは死なないのである…NHK大河「利家とまつ」での秀吉と慶次郎のやり取りにおける秀吉の発言を想起させる


p299.千代の考えるところ、どうせ人生は禍福いりまじりて縄のごとくなわれたものだ。自分は不運だとも思えるし、運がつよい、とも思える。いっそどちらも正しくどちらも誤りとすれば、-運がつよい。と思いこむほうが、あかるくこの世が渡れるのではないか。明るい人間に不運は訪れにくいものだと千代は思っている







google adsense

関連記事

no image

友野典男「行動経済学」光文社新書

新書のサイズではあるが、事例が豊富で、最初の勉強にはなかなか手頃だ。分厚いのは仕方がない。古典的な経

記事を読む

no image

マイケル・フランゼーゼ「最強マフィアの仕事術」ディスカヴァー・トゥエンティワン

20120311114632 おどろおどろしくイタリアン・マフィアなどと名乗る。そのくせバフェット

記事を読む

no image

森岡孝二「働きすぎの時代」岩波新書

岩波新書を読んだのは久しぶりな気がする。この本は、タイトルのような問題意識を持つ者にとっての勉強の取

記事を読む

no image

長谷川洋三「ゴーンさんの下で働きたいですか」日経ビジネス人文庫

第1章が面白い。ゴーンの経営を垣間見るのがこの部分。彼の動きについては強く賛同できる 本書のタイトル

記事を読む

no image

ジム・レーヤー「ビジネスマンのためのメンタルタフネス」TBSブリタニカ

精神の状態を4つの分類にわけて、精神コントロールに重要な切り口から各章で説明していく。なかなか説得的

記事を読む

no image

鴨下一郎『ひとつ「捨てると」人生がひとつ「楽になる」』新講社

期待する路線とは少し違った。というのもあまり理屈だったことは書かれておらず、かなりさらっと書き流した

記事を読む

no image

小山政彦「図解へえ、儲かる会社はこんなことをやっているんだ! ここに気づくかどうか!?」三笠書房

小売業に強いコンサルタントとして、収益アップのためのアイデアを出している。素材集として面白い タイト

記事を読む

no image

マーク・ピーターセン「日本人の英語」岩波新書

20090930220827 久しぶりに岩波新書を読んだ。古い本 不定冠詞のaとそれにつ

記事を読む

no image

山根一眞「メタルカラーの時代3」小学館文庫

20111226181926 このシリーズを連続で読んでいる。たぶん、全部読む 山根一眞「メタル

記事を読む

no image

日垣隆「ラクをしないと成果は出ない」大和書房

20110719233440 つまらないことから撤退する。あらかじめ枠のある新聞、テレビの

記事を読む

google adsense

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

google adsense

pay整理とKyashへの収束

20181209101111 ソフトバンク系と楽天系のポイントが

楽天ペイのアプリとローソン

20181208145713 Rakuten PayがPayPa

銀行の口座振替(引落し)設定の解除

20181207112040 とある事情で、とある業者への支払い

Pixel3の購入と現状の整理

20181120110248 Pixel初代とPixel2が日本

ドコモ「dアカウント」と「ポイント共有グループ」の整理

20181106112305 ドコモに3回線MNPの顛末(2

→もっと見る

  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
  • あわせて読みたい
  • にほんブログ村 本ブログへ
PAGE TOP ↑