藤原和博「建てどき」情報センター出版局

公開日: : 最終更新日:2012/09/12 書評(書籍), 藤原和博



筆者が自分の家を建てるため、長い年月をかけて得た知識と経験の集大成。その知識を施主の立場において必要なエッセンスを得、また、その経験を追体験できる。家を建てるときには、ぜひ参考にしたい一冊。著者による別の著作で紹介されていたので、読むこととした


書き出しの部分は、著者の頭の良さそうな如何にもな整理があっていい。「衣食住」という大事な3つにおいて、「衣」にも「食」にも一般人でも相当詳しい人は多いが、「住」はそうでない、だから今回はこだわってみた、そのためにあらゆる本を読んだりしたので、この本でだいぶ効率的にその辺の事情を会得できる、そんな大意だった。私が裏書する


もっと内容を取捨選択してオーガナイズしてもらえればよかったように思う。著者本人や家族の事情にもふんだんに触れられている。それらを強引にバインダーしたような感じもする。家が建って一区切りついたんで関係資料を整理し束ねてグルーガンしてみました、みたいな。そんな有機的な、一家族の物語として読むのであればなかなかの読み物である。筆者の他の著作も読んでいる者にとっては、重複した部分も多いので若干の退屈を味わう部分があった。本人のこと、とりわけ本人による物の考え方のこと、そして家庭のこと、彼らのバックグラウンドなど


著者の書き物の特徴としては、相当エゴイスティックなところがあろう。いい意味でも悪い意味でも。本著では建築士と施工業者との間の行き違いを解消するために両者に送った手紙の文面も紹介されている。読んで、だいぶ鼻白む。私の個人的な受け止め方のバイアスはあろうと思う。一方で吹き抜けの有無に関する会話や「バリアフリー」など、イメージ先行の部分に対する反省、自分の頭で考えて再構成するというところには学ぶ。そのために、関係者や専門家の意見に真摯に耳をかたむけ、また海外経験をしてきたなどのインプットがあることが強み


マイホームの建築を逐一記録し、htmlにして公開しているケースがある。そんな劇場型にして、設計、施工、監理などの関係者にプレッシャーがかかり、基礎部分を作り直しさせたりしているものを昔見たことがあったことを思い出した


家などは一生物なので、生活スタイルなども相俟って、施主にとって大変難しい一大事業ということに同意。本によると、建築士がネオ・ジャポニスムの旗手だったり、施工業者が理論派の硬骨漢の若社長だったり。ドリーム・チームが羨ましい


土地を取得するくだりがなかなか興味深い。これだけ手間隙をかける必要があるので、なかなか真似ができないかもしれないことをやっていた


初版が2001年4月といささか古い本になってしまった。建材のデータなどの細かい部分は時代遅れかもしれないが、その本質は色褪せてはいない


20050722014100


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