田坂広志「深き思索 静かな気づき 『仕事の思想』を高める25の物語」PHP研究所

公開日: : 最終更新日:2011/09/07 書評(書籍)

じっくり読んでも30分くらいで読み終わる本。価格も本体1,100円と安い。しかし、内容はそれらを超えていると思う。30くらいの短いエッセイが収録されている。著者の過去の経験の上澄み液を抽出したような内容。社会を知らない大学生くらいの若い方向けではないかもしれない
実はこれ、著者のウェブサイトのコンテンツを書籍化したものだった。一時期、著者のサイトを見ていた私にとっても、「30センチ幅の道」は過去に読んだ記憶が甦った
多いのは偉い人の発言からのインスピレーションという形。その中でも、将棋の羽生善治とノーベル賞のイリヤ・プリゴジンと宮沢賢治が複数回登場する。羽生については、奇しくも先日読んだ本”羽生善治「簡単に、単純に考える」PHP文庫”における対談が引用されていた
著者のことは、正直よく存じ上げていない。しかし一部で支持者がいるグル的な人物のようだ。興味深くも、あの多摩大学で教授になっているという。著者の本がまだ何冊か私の書棚に積読状態になっている。今後読み進めて行きたい
この類の、すなわちインターネットから書籍化も目立つようになってきた。よくあるのが、一般人なんだけどインターネット上で言論していくうちに、それが一つの集合として出版に漕ぎ着くような形。これまでに読んだものでは、”田口元「起業・企画・営業・雑談のネタは日常の諦めている不便利から」英治出版”というのがあったし、有名な”死ぬかと思った”も確か出版されていたのではなかったか
もう一つはネットの盛り上がりを見て、それを紙の世界に落とした人。地球が100人の云々、とか、いま流行の電車男とかがそうじゃないかな。”のまネコ”もその分類なんだろうな。うーん、既述の”不便利”も”死ぬかと思った”も、投稿をまとめたものなので、こちらの類になるのかな。でも著者は、発案者で胴元でもあるし
p36.いま、サイコロの目が、偶数の「実施決定」を示した瞬間に、/心の深くから、「いや、違う」との声が聞こえた。/自分の直観は、やはりプロジェクトの実施見送りを教えている。/自分は、その直観を信じるよ
p29.張本勲選手「理想のバッティング・フォーム?/もし、君がそれを知りたいのならば、/一晩中、素振りをしなさい」
p40.広岡達朗氏「あのファインプレーは、/悪いファインプレーです。/そもそも、あの選手は、/この場面での守備位置が間違っている。/だから、自分のいないところに球が飛んでくる」
p43.君、それでは瓦は割れないよ。/なぜなら、君は瓦の表面を狙って打っているからだ。/もし、瓦を割りたかったら、瓦の表面ではなく、/表面のその先、数センチ奥を狙って打たなければダメだ。/そのとき、瓦の表面での破壊力が最大になるのだよ
p69.我々の「こころ」は、/「寒さ」と「痛み」のジレンマの中でしか、/「最適の距離」を見いだすことができないのでしょうか
p82.我々の能力は、/ただ「恐れ」を心に抱くだけで、無残なほどに萎縮してしまう
p89.パリには、本物の絵がたくさんあるからだよ
p94.ああ、それは、/鉄筋とコンクリートの複合構造物ですよ。/いま、世の中には、/この若者のような説明が溢れています
p114.我々が、日々の生活や仕事において使っている/「論理」というメス。/それもまた、/「知識」を得るための道具であるとともに、/「生命」を見失ってしまう陥穽なのです
p138.亀井勝一郎が、その「読書論」のなかで、述べています。/読書とは、著者の魂との邂逅である。/しかし、いつか本を書く立場となって、思います。/この言葉の逆をこそ、心に刻まなければならない。/そう思います。/執筆とは、読者の魂との邂逅である
20050922013810

深き思索静かな気づき

posted with 簡単リンクくん at 2005. 9.22
田坂 広志著
PHP研究所 (2002.7)
通常2-3日以内に発送します。

 

google adsense

関連記事

no image

河田惠昭「津波災害」岩波新書

20140901232857 津波災害――減災社会を築く (岩波新書)著者 : 河田惠昭岩波書店発

記事を読む

no image

荒濱一、高橋学「 結局「仕組み」を作った人が勝っている」光文社

タイトルに惹かれて購入した本。簡単に読み進められるし、内容的にも事例の紹介の部分と、その纏めと主張の

記事を読む

no image

竹村健一「竹村健一の最後に勝ちを拾う発想法」青春出版社

微妙だよな。興味深い事例に溢れており、楽しく読み通すことができる。そして著者の主張にも概ね首肯できる

記事を読む

no image

津田大介「情報の呼吸法」朝日出版社

20120912234428 今回は水色だ。前回は黄緑色(グリーンズ編「ソーシャルデザイン ―

記事を読む

no image

野口悠紀雄「ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル」新潮社

面白い。東海岸と西海岸の違い、ゴールドラッシュとシリコンバレーの要点を理解できる。それだけではない。

記事を読む

no image

藤原和博「給料だけじゃわからない!」ちくま文庫

仕事に関する新たな視点をビジネスマンに提示。全体的なトーンは賛同。ルーチンワークに疲れたサラリーマン

記事を読む

no image

幸田昌則「下がり続ける時代の不動産の鉄則」日本経済新聞社

ちょうど2年前に出版されている。内容は若干古くなっているが、先日発表された路線価を思い起こしても(都

記事を読む

no image

江藤淳「閉された言語空間」文春文庫

ずっと、名前が残る作家と、同世代の支持のみで終わる作家がいる。江藤淳という作家は後者で終わるのかもし

記事を読む

no image

岩崎夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」ダイヤモンド社

それなりに面白かった。じっくりと練られている うまくドラッカーを伝えられている。また野球というスポ

記事を読む

no image

団藤重光「法学の基礎 第2版」有斐閣

20120211212529 久しぶりにこんな硬い本読んじゃったなあ。基礎というものの、難しくて最

記事を読む

google adsense

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

google adsense

ドコモ「dアカウント」と「ポイント共有グループ」の整理

20181106112305 ドコモに3回線MNPの顛末(2

ワイモバイルにMNP

20181104115802 この記事を見て、小一時間考えてMN

ドコモに3回線MNPの顛末(2018/09)

20181029231515 ちょうど1カ月が経つので、思いつく

キャッシュレスまたはクレジットカード

20181023225403 政府がキャッシュレスを進めているみ

MediaPad M3 LTE プレミアムモデル購入して2か月

20170409130135 もう2か月が経ってしまったけど、記

→もっと見る

  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
  • あわせて読みたい
  • にほんブログ村 本ブログへ
PAGE TOP ↑