国定浩一「株は値下がりもある(十字路)」日経平成17年10月20日夕刊
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最終更新日:2012/03/31
書評(新聞)
企業買収が世間を騒がせている。明治からの日本における株式会社制度の歴史の中で見れば別に新しいことではない。しかし、最近の騒ぎは、企業買収という事情以外の理由で報道が過熱している。
(1)マスコミが関係者になっている。元々おしゃべりが大好きな人たちには、ライバルのお家騒動は舌も滑らかになるに違いない
(2)マスコミは規制業種である。その一方で一般の企業と同様に上場している。攻めるのはマスコミが脅威を持っているインターネット。業界における新旧対決という切り口
(3)世代間闘争。大体一世代異なると考えていいのではないか。団塊と団塊ジュニア。企業買収を選択肢としてこなかった、社内バカまたは業界内バカが内部競争のみで出世して経営者になる一方で、経営者が業界に対するこだわりなく、取りに行く若い世代。その証拠に買い手側は、金太郎飴のようにビジネスの内容が同じ。ネットショップをやって、ブログをやって、ネット証券をやって、オークションをやって
このコラムで、なんとも言えない気分になった。最初の指摘は正しい。しかし、後ろの二者はどうなんだろう。これだけ株式会社制度が発展した資本主義社会において、阪神ファンをバカにするな、という気もする。自らを取り巻く環境を経済の切り口から捉えることが、教育上、どのように問題なのだろうか
著者は大阪学院大学教授
・大学で経済を教える立場の者として「上場している以上、村上ファンドが市場で株式を合法的に取得することには問題なし」と答えるようにしている
・タイガースの上場に関して、村上氏は株価が上下に変動する点をもっとはっきりと示した方がいい。「そんなことは言うまでもなく、常識だ」との反論もあるだろうが、阪神ファンは経済に明るい人たちばかりではない
・一ファンとしては、2,000万人ともいわれるタイガースファンの応援にカネを結びつけてほしくない。親子で「お父さん、巨人に勝ったから明日は株が上がるね」などと言う会話が交わされるかと思うと、教育上も首をひねりたくなる
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