山崎元「株式運用はプロ任せよりも自分でやるほうが有利(マネー経済の歩き方)」週刊ダイヤモンド2005/10/29

公開日: : 最終更新日:2012/02/10 書評(雑誌), 週刊ダイヤモンド, 山崎元

著者の魅力は、投資における不正、いい加減、曖昧、誤解に対する指摘と、その際の舌鋒の鋭さにある。今回も誘導の臭さに黙っていられない。現在の勤務先との関係から見ると、そっち側に属する人のはずなのに、このような正論を吐いてしまっていいのだろうか。そこに著者らしさがあると思う
批判された人の名前は、この記事で直接は出ていない。しかし、肩書きからある程度推察できそうだ。本には著者の利害が絡まないわけにはいかないので、その辺を話半分ということは、本件に限らず留意しなければならない。著者は読者の購入代金をもらっているのに、そこで虚偽になることを書いて、それで別のところで重ねて利益を上げてはいけない
これまでも、ドルコスト平均法がコストを下げていいとか、分散投資がリスクを分散していいとか、投資信託は専門家の運用で小額から行えていいとか、中でもパッシブ運用がローコストで成果も劣らなくていいとか、いやファンド・オブ・ファンズのほうが、リバランスされるので素晴らしいとか、いろいろ言われてきた。それに対する反論も存在する
これらの善悪というかプロコンは、それを利用する者の投資スタイルによっても異なる点もあり、絶対的なものではないと思う。ただ、氏が提示してくれるものには、最新の事情を踏まえた、新しい考え方の提供や、利害関係者の誤導からの引き戻しや、関係者の主張の一貫性の欠如の指摘というものに焦点が当てられているものがあり、目が覚める思いがする
先日のこのコラムを読んで、最近の氏の主張に影響された私は、持っていたインデックスファンドを処分してしまった。
本blogでは、これまで著者によるこのコラムを過去に3度取り上げている。これで4回目だ。なんと
・ある本の著者がテクニカル分析を有効なものだと思っている気配は感じられないのに、極めるならテクニカル分析だと素人に勧めている。たちが悪い
・加えて不愉快なのは、プロのファンダメンタルズ分析が素人ではかなわない価値の高いものだというイメージをさり気なく刷り込もうとしているように見えることだ
・現実は違う。証券会社や機関投資家が有利な情報を持つことはかつてよりも格段に難しくなっているし、彼らが特別に優れた企業評価能力を持っているわけではない
・邪推かもしれないが、この著者は、自らのビジネス上の都合でアクティブファンドを勧めなければならないから、素人はプロのファンダメンタルズ分析には太刀打ちできないと説明しているような印象がぬぐえない。近年、株式の委託売買手数料が下がったから、証券会社にとっては投資信託や外国債券が有力な稼ぎの場なのだ
・典型的なアクティブ運用の株式投資信託を300万円買えば、最初の1年間の手数料は総額で13.5万円。一方、ネット証券に口座を開いて1年間で5銘柄くらいに分散投資すれば往復の手数料で約1万円。5銘柄くらいの分散投資でも業種をバラして値動きの地味な銘柄を買っておくと、投資金額全体のリスクの水準は、東証株価指数、あるいは幅広く分散投資されたファンドと大差ない。ベンチマークに対しては、年間数パーセント以上の勝ち負けがあるだろうが、勝ち負けはおおまかにいえば半々なのだから、投資信託を買うよりも自分で数銘柄の株式を買うほうが、割がいいと思う。
・ネット証券としては、こんなにじっくり構えられたのでは商売にならないかもしれないが、あえてこういう方法もあることを顧客に知らせる度量も必要だろう。テクニカル分析を仕込んでバタバタ売り買いをさせたり、動きの鈍い客には投資信託を動めたりという商売の姿勢は気持ちよくない
20051025021143

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