日下公人「男性的日本へ」PHPソフトウェア・グループ

公開日: : 最終更新日:2012/02/10 書評(書籍), 日下公人

また著者の新刊を買ってしまった
著者の良さ、売れる秘訣はこの辺か。固定観念への挑戦、新しい見方の提示、前向きで明るいビジョン、豊富な事例紹介、民間への信頼、官僚に対する不信、日本に対する愛情
細かいところでは、かなり柔らかい記述も目立つ。それぞれの専門家から言わせれば不正確な例証もあるんだろう。ただ、基本がしっかりしていると考えるし、大筋での方向性について違和感がない
エッセイ集なので、簡単に読み進められる。そもそも著者の文章は極めて平易で読みやすい。体に優しいご飯みたいな感じ
p26.たとえば、”日本は油田を支配する”と言ってみてはどうか。世界はきっと安心する。日本は公正で公平な国で、必ずや人類共通の資産である地下資源を有効に分配するシステムをつくるだろうと喜ぶ
p43.何でも現場へ行ってさわらないとダメらしい。ユニークでオリジナリティがある発想と説得力のある発言は触覚から―である。手は頭のうち
p51.麻雀を学校で必須科目にせよ。麻雀を公務員試験とせよ。リズムが良い人に政策立案をさせよ
p70.イギリス貴族の子供教育は、”Be optimistic”と、”Be brave”の2本立てだと言う。決して、決して、知識教養を身につけろとは言わないらしいが、大いに同感である
p95.日本人からこう理詰めで反論されるとはまったく予想してなかったらしい。たいへん驚くので、こちらも驚いてしまった。フリーダンさんは調査もせず、思慮もつくさず、思い込みで日本の女性の地位は低いと主張していることがわかったからである(彼女を持ち上げた当時の新聞や識者にも”本人に質問してみたのか”と聞きたい)
p100.役人は欲に囚われて正しい計算ができないのだから、役人に制度設計をさせるな、予算を持たせるな
p108.「ベルギーに限らず、ヨーロッパ中の女性は誰でも専業主婦になりたい。しかし男の給料が安いから共働きをしているのであって、日本の男性が食べさせてくれるのなら、そのほうが理想だ。それを遅れているとは何事ですか」と言ったので日本側は口をあんぐりだった
p110.子供を生み育てるのは最高のレジャーである。家族手当はお金だけ、育児休暇は時間だけ。人間サービスがいる。人間サービスは市役所の人ではダメで、やはり、おじいさん、おばあさん。実際、おしいさん、おばあさんが一緒になることが増えてきた。その世代は金持ちだから、家を買うのに援助をするが、そこで一緒に住んだほうがちょっとしたときに便利だと、お互いの意識が変わってきた。これからは子育ての苦労はずいぶん減って、むしろ楽しみが増える。
p111.男の気持ちも変わってくる。扶養義務が達成されれば気持ちは経済的向上から家族愛のほうへ移るというのは動物的本能である。「銀がねも金がねも玉もなにせむに まされるたから子にしかめやも」中流中産階級的消費の喜びを日本は卒業したから、今度は子だくさんの幸せに価値の重点が移るはずである
p117.海外生活が長い商社や銀行の駐在員のなかには、定年後もそのまま現地に残る人が多い。そういった人びとはメイドを雇った経験があるので、出稼ぎ学校を設立し教育者として第2の人生を歩んでもらうのも悪くない
p124.ただ走るだけの車は20万円でもつくれるが、それを200万円、2,000万円にするのは日本市場が求める「文化と芸術」を盛り込むのに成功したからである。すなわち製造業と言うよりは、先端産業と言ったほうが実態に合っている
p137.21世紀において、日本は経済の最先端分野を担当することなると思うが、その基盤となるべき政治、社会の姿は日本がいちばん良いものをもっている。それはまだ崩壊していない。崩壊しているように思うのは、たぶん新聞、テレビ、週刊誌の読みすぎである。もっと日本の現実を見てほしい
p170.日本人は略奪を嫌い、勤勉を好む。島国でお互いに気心が知れた仲なので、相手の気持ちや事情を察するという高級な心情と技術が成立している。内部摩擦が無くて内部コストが低い。気持ちよく働けるから、略奪するより自分で働くほうが楽しい。欧米は原始的蓄積を略奪で行ったが、日本は二宮尊徳の教えの通り自らの勤勉によって原始的蓄積を成し遂げた。日本はいくら奪われても高度な勤勉主義で困難を克服し、やがて復興してしまう。再起不能になるかと思ったら、また別の手で金持ちになる。これが日本の底力である
p178.ワシントンにいるとき、メイドさんを使った。そのメイドの話がなかなか面白いので、もう仕事はいい、給料は払うから雑談しよう。何か聞かせてくれと言うと、こんな話がでてきた。ワシントンには新聞社でも放送局でも特派員が山ほどいるが、彼らよりメイドさんのほうがすごい情報を持っているとは発見だった
p182.日本は「アメリカには道義がある」と思っていた。少なくとも「不道徳な振る舞いがあまりない国だ」と思っていた。不道徳があるとすれば中南米や中東においてで、こちらには来ないからいいと思っていた。しかし、理屈で考えれば、他にすることは日本にだってする。なぜ日本にしないのかといえば、右のような特殊状況があったからである
p204.まず「経済制裁」以外の言葉を考えるべきである。「注意喚起的指導」とか「忠告的経済手段」とか「平和維持の非常措置」など、言葉はいくらでも思い浮かぶ。「友好親善的抱擁政策」を行いますと言って、徐々に締めつける手段もある
20051104000245

男性的日本へ

posted with 簡単リンクくん at 2005.11. 4
日下 公人著
PHPソフトウェア・グループ (2005.10)
通常24時間以内に発送します。

google adsense

関連記事

no image

本田直之「レバレッジ・シンキング」東洋経済新報社

いつも思っていたこと、自分がすでにやっていることが、すべきこととして書いてあることはうれしい。しかし

記事を読む

no image

早野透「田中角栄 戦後日本の悲しき自画像」中公新書

20130405231712 これを読んだのは田中真紀子が落選したのがキッカケかもしれない

記事を読む

no image

永野良佑「銀行が超!衰退産業になったワケ」扶桑社

20121222081453 内容のレベルも精度も低い。が、それでもちょっとはノートを取れ

記事を読む

no image

須田慎一郎「下流喰い」ちくま新書

個別の事例集としては面白い。ここだけを読むのは有益だと思う。ただ、主張に関する部分には薄さが見られ、

記事を読む

no image

シティランナー編「ゼロからのマラソン」学習研究社

マラソンを最近考えていて、基礎的な理解のためにまず手に取った本。確かにタイトルどおりの内容。はじめて

記事を読む

no image

佐藤優「国家の罠-外務省のラスプーチンと呼ばれて-」新潮文庫

こういう知識欲を満足させてくれる本は、その中で別の本の紹介をさりげなく入れてくれているものだ。早速、

記事を読む

no image

松田道雄「定本育児の百科」岩波書店

多世代が同居しない家庭で育児を行うとき、この本を買わなければならない 育児本の古典。著者は数年前に亡

記事を読む

no image

渋井真帆「渋井真帆の日経新聞読みこなし隊」日本経済新聞社

確かに大学時代に日経を定期購読してみても、満足に読みこなせずにそのまま古新聞に、ということが過去にあ

記事を読む

no image

改定・保育士養成講座編纂委員会編「改定・保育士養成講座2006第10巻 保育実習」全国社会福祉協議会

保育士試験受験シリーズ(11/11) これで全10科目分のテキストの最後となる 「保育実習理論」は、

記事を読む

no image

金谷武洋「日本語に主語はいらない」講談社選書メチエ

20111113231930 言語学というのだろうか。日本語の構造についてのタイトルどおりの内容の

記事を読む

google adsense

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

google adsense

pay整理とKyashへの収束

20181209101111 ソフトバンク系と楽天系のポイントが

楽天ペイのアプリとローソン

20181208145713 Rakuten PayがPayPa

銀行の口座振替(引落し)設定の解除

20181207112040 とある事情で、とある業者への支払い

Pixel3の購入と現状の整理

20181120110248 Pixel初代とPixel2が日本

ドコモ「dアカウント」と「ポイント共有グループ」の整理

20181106112305 ドコモに3回線MNPの顛末(2

→もっと見る

  • 名前:Max 年齢:人生の2合目くらい 誕生日:夏の暑い日 一言:他言無用ということでお願いします
  • あわせて読みたい
  • にほんブログ村 本ブログへ
PAGE TOP ↑