山田昌弘「拡大する地域間格差 大変化する家族形態(The compass)」週刊東洋経済2006.1.21
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著者は最近ベストセラーを出して有名になった人だ。ビジネス誌でも去年の発行物の中で強く評価されていた。ただ、どうも理解が難しい。たとえば、この記事は、本当だろうか?と悩んでしまう
同じ号の末尾にある「データ&ランキング」では、結婚適齢期の人口性比が出所を総務省の住民基本台帳として紹介されている。それによると、結婚適齢期の男性が女性を上回っている比率の都道府県別のランキングにおいては、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、東京などの人口の多い県が軒並み上位を占めている。人口が多くて下位にあるのは大阪府、兵庫県と福岡県くらいだ。山田氏の主張は、結婚や出産に関係するような、若い女性と長男以外の若い男性は過疎地から大都市に移動するとあるが、数字はそうなっていないというべきではないか。ちなみに1位の神奈川県は、女性100人に対して男性が111.9人。最下位の鹿児島県は女性100人に対して男性が93.6人である
私は、こういうデータの読み込みみたいなのに自信があるほうではないが、そう思ったということをメモしておく
・過疎に悩む県は、女性1人当たりの出生数は多くても、多くの人数の若い女性が大都市へ出て行くので、出生数は少なくなる
…この記事の中では明確なデータが示されているわけではないようだ。信頼できる言葉だろうか。その理由も書いていない
・過疎の山村では、跡継ぎの長男以外の子どもは都会に出てしまい、未婚の中年男性が高齢の親と残される。経済的に将来性がない状況では、嫁の来手はめったにいない
・高度成長期から列島改造論のころまでは、都市部以外の周辺でも、道路の新設などインフラ整備で、より便利な生活ができるという希望が持てた。希望が持てたから、地域に残る若者もいれば、嫁にくる女性もいて、子どもが生まれ育った…要は、こういった希望がないから女性が大都市に出て行ってしまうということのようだ
…なんか直感に合わない
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